18年前の想像を遥かに超える瓶熟 | 緑家のリースリング日記 ~Probieren geht über Studieren~

18年前の想像を遥かに超える瓶熟

それにしても昨今の円安にはほとほと困ったもので、1ユーロ165円を超えそうな勢いである。

2023ヴィンテージが続々と出回り始めるこの時期、心惹かれるリースリングは枚挙に暇が無いものだが

折からのワイン価格の上昇傾向に加えてのこの極端な円安は

ワイン自体は勿論のこと、輸送コストにもモロに反映されて、買い向かおうとする意欲が萎えてしまうほどである。

 

そんな訳で当分の間、今までのように節操無く買い漁るのは抑えて

在庫の、飲み頃になったであろう(?)熟成リースリングをボツボツ開けて行くことにしている。

今夜はミュラー・カトワールの2004年産ハールター・ビュルガーガルテン・シュペートレーゼ・トロッケン。
これは2005年11月に我が家にやって来たボトルで、約19年の瓶熟...まぁ単なる飲み残しなんだけどね。

 

 

外観は少し黄金色がかったイエロー。洋梨やパイナップル、熟したバナナなどの果実に、湿った木や土、

軽いペトロールの香り。香木やフローラルなニュアンスもあって、しっとりと落ち着いた熟成感のある香り。

口当たりは甘く柔らかな優美な果実味が印象的で

酸は背後に控えているのか或いは全体に溶け込んでいるのか目立たず、トロッと滑らかな喉越し。

 

そして舌にピリッと来るスパイシーなミネラル感とナッティーな余韻。

これが今ピークにあるのかどうかは判らないが、少なくともまだまだ余力は充分過ぎるほどに感じられて

辛口とは言えこの生産者のシュペートレーゼのポテンシャルは末恐ろしいほどである。

それにしても柔らかな飲み口...瓶熟によって、未だ若い頃に感じられたカドのようなものが全て取れた感じ。

 

抜栓2日目。蜂蜜香。凝縮感が増して相変わらずポテンシャルの高さを感じさせる。

18年前からは想像もつかない程の素晴らしい瓶熟。これで当時の蔵出し価格、たったの10ユーロである。

フレッシュなリースリングも良いが、ちゃんと熟成したリースリングも堪えられないなぁ。89/100

 

2004 Haardter Buergergarten Riesling Spaetlese trocken

Weingut Mueller-Catoir (Haardt/Pfalz)
A P Nr 5 174 079 09 05,Alc 13%vol