土壌を反映するジルヴァーナー
雑色砂岩と貝殻石灰...土壌違いの飲み比べ、但しいつもと違ってリースリングじゃなくジルヴァーナー。
教材はビッケル・シュトゥンプの2020年産オルツヴァイン(村名)、テュンガースハイムとフリッケンハウゼン。
教科書的にはフランケンのベライヒ・マインドライエックと言えば貝殻石灰土壌が基本なのだが
この醸造所の所有するテュンガースハイムの畑は、土壌の上層が雑色砂岩であるのが特徴なのだそうな。
実はこのジルヴァーナーの土壌違い飲み比べ、一昨年やっているのをすっかり忘れてしまっていた。
この稿を上げるにあたってそれに気付いたのだが、一昨年は村名格と一級格との比較だったので
正確には今回のこの村名格同士の比較で以て初めて、完全な水平試飲をしたと言える。
で、2本の香りや味わいには明瞭な差が描出されていて
ジルヴァーナーもリースリングに負けず劣らずテロワールを表現出来る秀逸な葡萄なのだなぁと感じた次第。
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スクリューキャップ。外観はともに軽く緑色がかった明るいレモンイエローで
グラスに注ぐと比較的粒の大きめの気泡がポツポツと壁に付着。
まず1本目。瑞々しい青リンゴや洋梨を感じさせるピュアな果実香。
ふっくら肉厚ジューシーな果実味はある程度の残糖を思わせる。ジルヴァーナーにしてはちょっと甘めか。
酸はある程度凝縮感があって、意外にアフターへと伸びる。リースリングだと言われても判らないレベルかなと。
マッタリと甘苦いアフターにジルヴァーナーらしさの片鱗を見る。
飲み比べてみると酸のシャープさにかなり大きな差がある。
ミネラル感が吟味し辛いので、シンプルに酸と果実味のスタイリッシュな好バランス。酸は質的には発散性。
端的に言うと、「果実味がスマートで抜けが良く、酸が走る」。→これは雑色砂岩でしょう。(正解)
開栓4日目。相対的にシャープでサッパリした味わい。残糖4g/l、酸量6.6g/l。85/100
(過去のヴィンテージ→2018年産)
2020 Thuengersheim Silvaner Qualitaetswein trocken - Buntsandstein -
Weingut Bickel-Stumpf (Frickenhausen/Franken)
A P Nr 3055-011-21,Alc 13%vol,輸入・販売元「ヴァインベルク」,3200円
2本目。トップは燻製っぽい香りで最初果実感に乏しいが、徐々に果実香が顔を覗かせる。
ザウアーやビュルガーシュピタールのジルヴァーナーによくある香りで、スワーリングすると青リンゴっぽくなる。
酸は相対的に地味でマイルド。そのためか果実味は更に甘く感じる。フワッと柔らかで穏やかな味わい。
但し酸がマイルドなぶん、ややゴツゴツとした果実以外の存在を感じる。これがジルヴァーナーのミネラル感?
時間が経つと燻製香は抜けて、ジューシーでやや苦汁系のミネラル感。→貝殻石灰でしょう。(正解)
開栓4日目。丸みがかった透明感のある果実味とマイルドな酸のジューシーな味わい。
ジルヴァーナーらしさを感じさせる、甘苦いフィニッシュとその余韻。残糖4.9g/l、酸量6.2g/l。85/100
2020 Frickenhausen Silvaner Qualitaetswein trocken - Muschelkalk -
Weingut Bickel-Stumpf (Frickenhausen/Franken)
A P Nr 3055-032-21,Alc 13%vol,輸入・販売元「ヴァインベルク」,3200円