特別なピノ・ブラン | 緑家のリースリング日記 ~Probieren geht über Studieren~

特別なピノ・ブラン

日頃ピノ・ブラン(ヴァイスブルグンダー)という品種に思い入れは無いが

シュロス・ザールシュタイン醸造所のピノ・ブランだけは特別で、手に取る度に

瓶詰めされたばかりのボトルをエバートの旦那から手渡された際の光景が、今でも鮮明に脳裏に蘇る。

 

もう11年も前の話になるのか...日々の生活に流されてすっかり遠ざかっているうちに

今や厄介なウイルスのせいもあってますます縁遠くなってしまった感のあるドイツ。

元気なうちに再訪は叶うのだろうか?エバートの旦那は元気でやっているのか?そんな事を思いつつ開栓。

 


スクリューキャップ。緑色がかったライムイエロー。グラス壁に付く気泡はポツポツ。

青リンゴ系の淡い果実香に少しカーボンチックな鉱物のニュアンス。輪郭はスマートながらも肉厚な果実味。

酸はまぁこの品種にしてはある方だとは思うが、この造り手のものにしては穏やか。

他方、非リースリングによくあるアフターのホロ苦さがちょっと目立つ。

開けていまいちパッとしなかった時は早々に撤退して、日を置いてから寿司に合わせるのが自分流。

 

で...開栓3日目。アタックは甘苦くて舌にピリピリッと微炭酸の刺激。

でも何となくモッサリとした味わいで、普通のピノ・ブランと変わらんなぁって感じ。寿司との相性は悪くないが。

開栓4日目になるとさすがにアラも目立たなくなっているが、同時に美点も見出し辛くなってまぁ凡庸な印象。

84/100    (過去のヴィンテージ→2017年産2009年産2008年産2007年産2006年産

 

*

 

ちょっとアラ探しし過ぎたが、それでも10ユーロ足らずのこのピノ・ブランが

「美味しい、美味しくない」とか、「面白い、面白くない」とかいうのを超えた存在であるのが面白い。

 

エバートの旦那、どうしてるかなぁ...そう思って検索していると、最近の醸造所の動画が引っ掛かって来た。

さすがに多少歳をとったようには見えるが、新しいパートナーの女性も登場して、なかなか元気そうで安心した。

人が年齢を重ねようとも、葡萄畑や醸造所の佇まいはちっとも変わらない。

なんか人間がちっぽけな存在に思える、そんな動画(→ココ)。それにしても懐かしい...。

 

2019 Pinot Blanc Qualitaetswein

Weingut Schloss Saarstein (Serrig/Saar)

A P Nr 3 555 014 02 20,Alc 11.5%vol,9.50€