リーザーの方は酸っぱ過ぎ | 緑家のリースリング日記 ~Probieren geht über Studieren~

リーザーの方は酸っぱ過ぎ

先月末の日銀による金融の追加緩和、いわゆる「黒田バズーカ2」のせいだろう。
とにかく円がどんどん安くなりユーロは日増しに高くなって行く。今日は遂に1ユーロが148円を超えてしまった。
一方、17日に公表されたGDPのマイナスを受けて「アベノミクス」が失敗したの何だのと騒いでいる向きもあるが
現在の我が国の経済状態を考えれば、他の選択肢があるようには思えない。
これはもう降りる事の出来ない「最後の賭け」なんじゃないだろうか、今更どうしようもないだろう。

他にデフレ脱却の方策も無いだろうから、こうなりゃ前進あるのみじゃないのか?と、そんな風な事を考えながら
いつもの調子でワインを発注しようとネットショップに入ったところでふと我に返った。
よく考えると、ユーロ激高でワイン代が滅茶苦茶騰がってるって事じゃん。洒落になんねーよ~。(;´Д`)
とりあえずポチッとするのは止めて、手元にあるシュロス・リーザーの2013年産シュペートレーゼ辛口を開ける。


緑がかったレモンイエロー。注ぐと細かい気泡がグラス壁に比較的たくさん付着する。
トップは木のニュアンスのあるリンゴ系の果実香で、スワーリングすると土や塩ビ系の鉱物香が前に出る。
少し主張の優しいシーファー香とでも言おうか。一瞬、動物園を思わせるような香りがして驚くが、錯覚か?

口当たりはまろやかながら、その直後からグーンと加速度的に鋭さを増してアフターへと伸びて行く酸。
果実味は細身で、口当たりの後は完全に酸に置いてけぼりを食って影が薄い。
ミネラル味は金属的で冷たく平板で、これまた酸に置いて行かれて余韻にホロ苦さを残すのみ。
完全に酸が突っ走ってしまって味の要素がバラバラな状態。うーん、らしくない。
さすがにシュペートレーゼだけの事はあって単に痩せているだけのモノではないけれど
やっぱり酸の鋭い、尖ったリースリングの典型。

2杯目、3杯目に入ると香りはかなり焦げ臭く変化して来て、やっと果実味と酸、ミネラルが協調し始めて来た。
それにしても酸性人でも結構持て余し気味の酸っぱさである。
翌日。相変わらず酸が突っ走っているがバランスは初日より良くなっている。
でもまぁ例年ほどのインパクトは無し。85/100
(過去のヴィンテージ→2012年産2011年産2010年産2009年産2008年産

因みに発売されたばかりの2015年版ゴーミヨー誌で、シュロス・リーザー醸造所、つまりトーマス・ハーク氏は
Winzer des Jahres(今年の最優秀醸造家)に選ばれ、ついに評価も4つ星から最高の5つ星へと昇格した模様。
先日ワイン会に持って行ったニーダーベルク・ヘルデンGGは確かに素晴らしかったから、それもまぁ良しとしよう。
だがこのシュペートレーゼはイマイチである。2013年というヴィンテージはGGだけが良い生産年なのだろうか。

2013 Riesling Spaetlese trocken
Weingut Schloss Lieser - Thomas Haag (Lieser/Mosel)

A P Nr 2 589 314 06 14,Alc 12.5%vol,16.00€