広域化の意味するところ | 緑家のリースリング日記 ~Probieren geht über Studieren~

広域化の意味するところ

今夜はモーゼルのシュロス・リーザー醸造所 、2011年産シュペートレーゼ・トロッケンを開けてみる。

開けてから気付いたのだが、このヴィンテージからエチケットにはリーザーLieserの村名表記が無くなり

単なる「シュペートレーゼ・トロッケン」とだけ記されている。つまりは単なる醸造所名のシュペートレーゼ。

実家から分割相続したブラウネベルク村の畑からの収穫も使われているということだろうか。


そう言えばこの辛口シュペートレーゼ、

2007年産 までは「ニーダーベルク・ヘルデン」という畑名がちゃんと記されていたが

2008年2009年2010年 では村名「リーザー」のみの表記となり、今回からついに村名も取れてしまった。

辛口シュペートレーゼのこの広域化には、エチケットの簡素化という目的以外に何か理由でもあるのだろうか。

もちろんこれはドイツワインの話であって、広域化が直ちに品質の低下を意味する訳ではない。

法律とは別の部分で、醸造所にはそれぞれマーケティング上のいろんな思惑があるのだろう。


ひょっとしたら...ふと思いついて醸造所HPの商品ラインナップの部分 を覗いてみた。

なるほど。いよいよブラウネベルクの特級畑、ユッファー・ゾンネンウーアのGGをリリースし始めたのだ。

今ヴィンテージから辛口に関しては、下からグーツワイン、カビネット、

そしてこのシュペートレーゼという3段階の商品構成。これに2枚看板のGG(グローセス・ゲヴェクス)。

2つのグランクリュで選別をしながら、その過程で落とした葡萄を糖度により3段階に分けたのだろう。

両方の畑の葡萄が入っていればそれはもうリーザーでもブラウネベルクでもない、という訳か。


新・緑家のリースリング日記


緑がかったレモンイエロー。まずは柑橘系の香りが来て、次いで青リンゴやラムネっぽい香りが加わる。

微かに酵母っぽさもあり。アタックのシャープな酸は、例年に比べるとやや輪郭が丸く伸びも程々。

果実味も中肉で、酸とのバランスは悪くない。ミネラルも2011年産にしてはそれほど主張する事なく

どちらかと言うと果実味とミネラルの間により一体感があって、酸は抜栓後程なく予想外に大人しくなる。


時間とともにシーファー香とも言うべき鉱物香が露わとなり、時折フローラルなフレーヴァーも感じられる。

次第に各要素のバランスがとれて纏まりは良くなるが、三竦みと言うか少々小ぢんまりとした感は否めない。

でもまぁ畑名の無いシュペートレーゼとしては充分過ぎる内容で、これ以上過大な期待は禁物である。

翌日はやや鉱物感が前に出た香り。

バランス的には香りと同じく土臭いミネラルが酸や果実味を一歩リードする形で、若干重心低めの味わい。

87/100


GG2つとも、売り切れないうちに早く確保しておかないと。σ(^_^;)


2011 Riesling Spaetlese trocken

Weingut Schloss Lieser (Lieser/Mosel)

A P Nr 2 589 314 06 12,Alc 12.5%vol,15.00€