らしくない香り、アンスガー | 緑家のリースリング日記 ~Probieren geht über Studieren~

らしくない香り、アンスガー

最近ウチの駐車場に居付いて困っていた子猫を、断腸の思いで近くの杜に連れて行って放した。

まだ生まれたばかりでミャーミャー鳴くのが本当に可愛いくて、息子も飼いたそうにしていたのだが

生憎ウチには猫好きは居ないし、一時の感情に左右されて飼っても最後まで面倒をみる覚悟は無い。

特にここ数日は車のタイヤの下に入り込んで危ないので、今日は意を決してミルクとパンでおびき寄せて

子猫が警戒を解いたところを捕まえ、箱に入れて拉致するという悪辣な手口で。


目的地で箱を開けると、子猫は一目散に杜の中へと逃げて行った。

ここなら公園もすぐ傍だし、飲み水や残飯など餌には困らないだろう。誰か優しい人に拾って貰うんだよ。

なんだか悪い事をしたような後味の悪さを感じながら帰宅し、これを払拭すべくリースリングを開ける。

今夜はモーゼルのアンスガー・クリュッセラート醸造所 、2011年産トロッケン「フォム・シーファー」。

例によってワインショップへの入荷が遅れ、8月半ばになってようやく手元に届いたボトルである。


新・緑家のリースリング日記


スクリューキャップ。僅かに緑がかった明るいレモンイエロー。

香りは熟した柑橘系で、これにアプリコットや花梨、加えて少々燻した感がある。

果実味はスマートで、当たりのやや緩い酸は抜群の伸びで、口の中で加速度的にパワーを発揮する。

舌を中央・側方と多角的に刺激し、歯にも沁みるし胃にも来る来る。こりゃ破格の酸である。

ミネラルは酸と一体で柑橘の薄皮的な余韻が長い。


ただ惜しむらくは、名匠アンスガー・クリュッセラートらしくないカーボンチックなニュアンスがあるところ。

2010年産の他の生産者のリースリングでも時々経験したネガティヴな香り。下手な除酸でもしたのか?

翌日はこの不快な風味も飛んで酸が落ち着いた分全体にまとまりが良くなるが、やや凡庸に。84/100


子猫に酷い事をしたから罰が当たったか?単なるコンディション不良なのか、もう一度確認してみないと。

(過去のヴィンテージ→2010年産2009年産2008年産


2011 Riesling Qualitaetswein trocken -vom Schiefer-

Weingut Ansgar Cluesserath (Trittenheim/Mosel)

A P Nr 2 607 269 11 12,Alc 11.5%vol,9.20€