コルク不良なのか谷なのか
ちょっとした事情があって、とうとう2010年産の入手が叶わないまま年が明けてしまった。
欲しいリースリングが手に入らないというのは何ともやるせないもので、こんな思いをするのは久しぶりである。
まぁこのまま無しには生きて行けないので、そのうち直接的実力行使に出るしかないが
それまでは在庫ボトルをチビチビ開けては食い(飲み?)繋いで行かねばならない。
今夜は久しぶりに、虎の子の2008年産シュロス・ザールシュタイン・シュペートレーゼ・トロッケンを開けてみた。
淡黄緑色。香りは閉じ気味で、熟したリンゴと仄かにペトロール、そしてミルキーなニュアンス。
最初は酸の当たりは意外に穏やかだが、さすがに破格の凝縮感で中盤からアフターにかけてグンと伸びる。
逆に果実味はやけに地味で素っ気ない。酸が強いのでミネラルも目立たず、
全体としては若干ケミカルで無機質な味わい。皮肉にも「酸だけ」って感じになっていて面白くない。
じっくり飲んでいると時々どことなく(対照的な収穫年だった)2003年産 と同じような雰囲気が感じられるので
あまり先に期待は出来ないかもしれないなぁ、なんて気もしてくる。
同じ「谷」にあるとは言えグリュンホイザーと違って酸は相変わらず元気だが、他の要素とのバランスが悪い。
翌日はミント調のペトロールが香る。残念ながらこれは個人的にはネガティヴな要素。
相変わらずストイックなまでの酸は衰えを知らないが、31ヶ月前 や20ヶ月前 に比べると明らかに落ちている。
コルクに同じ香りがするので、ややコルク不良?という気がしないでもない。
2日後はペトロール香も飛び、相変わらずギンギンの酸ながら、果実味が膨らみを増して
肉厚で凝縮感満点のバランス。これをみる限り再浮上のポテンシャルはまだ充分にある様子。
いずれにしてもこの日が一番本来の姿っぽかったなぁ。これはやっぱりコルク不良かも。
だが確認するために開けるほど在庫に余裕が無いのが残念。85/100
2008 Schloss Saarstein Riesling Spaetlese trocken
Weingut Schloss Saarstein (Serrig/Saar)
A P Nr 3 555 014 07 09,Alc 12%vol,11.34€