ヴァイル3兄弟のトゥルムベルク
ラインガウの名門ロバート・ヴァイル醸造所 。
薄いブルーを基調とした色鮮やかなエチケットやキャップシールは、一度見たら忘れられない印象的なもの。
この世界にハマり始めた頃は、ワイン売り場に行けば必ず棚の上の方のカギのかかる場所に陳列されている
文字通り「高嶺の花」なリースリング達であった。
バブリーなベーレンアウスレーゼやトロッケンベーレンアウスレーゼは勿論のこと
シュペートレーゼですらなかなか手が出ない価格設定だったためか、時が流れて不景気真っ只中の昨今では
ヴァイルのボトルなどほとんどお目にかかることはなくなり、まさに絶滅危惧種に成り下がってしまった。
そんな訳で日本では僅かに裾モノのトロッケンや甘口QbAが、ネット中心に出回っているのを見かけるのみ。
だが本国では相変わらず強気の価格設定で、結構流通しているのを見かけるし、世評も高いようである。
おまけに我らが畏兄weingauさん お膝元の造り手となれば、やっぱりある程度は掘り下げておかねばなるまい。
醸造所の看板畑、キードリッヒKiedrich村のグレーフェンベルクGraefenberg、トゥルムベルクTurmberg、
そしてクロスターベルクKlosterbergからの3本の辛口、人呼んで「ヴァイル3兄弟」はweingauさんの命名である。
このうち今夜開けるのは、次男格の2010年産トゥルムベルク・トロッケン。この畑は醸造所の単独所有。
エアステス・ゲヴェクス(EG)並の価格設定には自ずと期待度もアップするというもの。
淡黄緑色。注ぐとグラスに細かい気泡が付着する。梨や洋梨系の爽やかな青い果実の香り。
口当たり軽い苦味と甘味を伴うしっかりとした果実味。かなり歯が染みるので酸は決して弱くはない筈だが
不思議とマイルドに感じられる。肌理の細かい凝縮されたミネラルが印象的で、アフターも非常にミネラリッシュ。
このミネラルは力強いが決して重くなく、むしろ軽やかで清涼感すらある。
このあたりがラインガウの真骨頂で、これは他の地方ではなかなか出せない味わいである。
それでも今ひとつ、心を揺さぶるような魅力に欠ける気がするのは端正な造りに過ぎるからだろうか?
翌日もやはりサッパリした香りだが、全体のバランスは良くなり味にまとまり感が出て明らかに初日より美味い。
果実味を中心に厚みのある味わいは、食中酒ではなくそのまま単体でじっくりと愉しみたいリースリングである。
87/100
2010 Kiedricher Turmberg Riesling Qualitaetswein trocken
Weingut Robert Weil (Kiedrich/Rheingau)
A P Nr 34 003 016 11,Alc 13%vol,24.20€