何故か桜の咲く頃に | 緑家のリースリング日記 ~Probieren geht über Studieren~

何故か桜の咲く頃に

こういうのを花冷えと言うのだろう、桜が咲き始めたというのにやけに寒い。

おまけに今年はどういう訳か庭のリースリングの芽が膨らむのも遅く

例年なら桜の開花に歩調を合わせるかのようにほころび始める新芽は、まだまだ固いままである。

手塩にかけて育てているだけあって(実際には殆ど手入れせず放ったらかし)

「まだ寒いからもうちょっと寝かせといてくれ」 ってな感じで、季節感まで主人に似てしまったのだろうか。


さて今夜は、モーゼルのシュロス・リーザー醸造所 の2009年産シュペートレーゼ・トロッケンを開けてみた。

基本的にはリビングに置いてあるセラーの中から、何も考えずにその日の気分でボトルを選ぶのであるが

後で去年の記録を調べてみると、偶然なのか2008年産のコレ もやっぱり同じ時期に開けているのに気付いた。

そう言えばワインに限らず普段から日記のようなものを付けていると、こんな事は決して珍しくない。

同じ頃に同じ場所に出かけていたり、同じ店で飲み食いしていたり、或いは1年前と全く同じ様な事を書いてたり。

毎年何も考えず(ある意味本能のままに)ワンパターンな生き方をしてるもんだなと我ながら感心するのである。


新・緑家のリースリング日記


淡黄色。酵母や鉱物感のある黄色いフルーツの香りで、花梨やスモモ、熟したリンゴなどに混じって

上品な白い花の香りも顔を覗かせる。しっかり熟した密度の濃い果実味と、骨太い酸のバランスが秀逸。

ミネラルの構築は繊細な部品から成るも、全体像はガッシリとした骨格。若干にがりチック。

余韻に酸とこのミネラルが心地良くたなびく。一本芯の通った酸が凛とした存在感を見せている。

時間が経つとますます酵母臭くなり、これにシーファーっぽい土臭さが加わってかなり無機質な味筋に変化。

この終始酵母臭くてビールっぽいところを除けば、なかなか見事な辛口リースリングである。

翌日になると蜂蜜香が顔を出す。酸が引っ込み果実味と土臭さが前に出るせいで、バランスは微妙に崩れて

初日ほどのインパクトは無い。3日後、すっかり酵母臭さは抜けて透明感のある果実の香味がお見事。87/100

2009 Lieser Riesling Spaetlese trocken

Weingut Schloss Lieser (Lieser/Mosel)

A P Nr 2 589 314 6 10,Alc 12.5%vol,16.00€