ミネラリー・リースリング
今夜はモーゼルのシュロス・リーザー醸造所 、村名格の2008年産シュペートレーゼ辛口を開けてみた。
淡黄緑色。意外と鉱物臭くしかも酵母臭い香りで、その陰に淡い果実が有るような無いような。綺麗に伸びる酸と
ほっそりとした果実味、ゴツゴツとしたシーファーを思わせる無骨なミネラル。残糖の少ない造りで飲み口は軽い。
青リンゴを丸齧りした時のような味わい。だが時間が経つと、密度の濃い起伏に富んだ鉱物味が主体となり
これに一貫して伸びの良い酸が伴う。まさにシーファーそのものの味わいが果実のフレーヴァーを圧倒する。
美味いが、シュペートレーゼにしては肉付きがやや物足りないような気がしないでもない。86/100
さて飲みながら感じるのは、果実味が実に繊細であること。ミネラルの主張が強いぶん余計に物足りなく感じる。
この味の傾向から類推するに、リーザーの土壌はブラウネベルクのそれよりもいくぶん軽く、つまりシーファーの
風化の度合いが低いのではなかろうか。そして水捌けの良い土壌であるか、もしくは湿度の籠らない風通しの
良い畑に違いない。こう考え、それが正しいのか調べてみた。
結果はまったくの反対。醸造所がリーザー村に所有する畑 ニーダーベルク・ヘルデンNiederberg Heldenは
むしろより風化の進んだ青デボンシーファー土壌で、下層は非常に保水力に富む とある。見当違いも甚だしい。
では何故こうもアッサリ果実なのか?まずは飲む時期の問題、つまり現在やや下りに入っているという可能性。
そしてシュペートレーゼであるとはいえ、この辛口が畑名のない村名格であるということも考慮すべきだろう。
あるいは単に2008年が完熟の難しかったヴィンテージだというだけのことなのだろうか。
いずれにしても先日実に美味かった 、父と弟の造るフリッツ・ハークのブラウネベルク・ユッファーに比べると
どうしても見劣りして感じられるのは、やはり土壌のポテンシャルの違いということになってしまうのだろうか。
つまらない事を考えているうちにボトルが空いてしまった。下手の考え休むに似たり。
2008 Lieser Riesling Spaetlese trocken
Weingut Schloss Lieser (Lieser/Mosel)
A P Nr 2 589 314 5 09,Alc 12%vol,購入先「Moevenpick 」,11.68€