、狭霧は思い直して座るの | 0.0のブログ

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悉ⅳ辘蓼护螭琛Q迕麡敜椁猡匀~を預かっておりますが……彦名様は、明日訪ねるようにとのことです」

「明日? ――そこの館で待っていらっしゃるのは誰なのですか? 彦名様は、その方にご遠慮なさっていませんか? なにか、へん……」

 気味悪い悪寒がこみあげて、触れ合ったままだった高比古の手をきゅっと握り締めた。

「客人の大館にいくみたいだよ? そんなところで待っている人だなんて、いったい誰だろうね。真浪様……っていう感じの出迎えじゃ、ないね。真浪様なら、ご自分でわたしたちを探しにいらっしゃると思うし――」

 武人たちに聴こえないようにと、狭霧は小声で高比古に話しかけた。

 高比古は答えなかった。まぶたを閉じたまま、息を忘れたふうに静かにしている。

 そして、ある時、こめかみをぴくりとさせて真顔を歪めた。

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『なにか、おかしい――』

「おかしいって?」

『いま、さっきと同じように透視をしてみたんだ。でも……いや、それに――狭霧』

 高比古は慌てていた。狭霧を探そうとして、つなぎ合った手にしきりに力を入れている。その手を、狭霧は両手で丁寧に包みこんだ。

「わたしなら、ここだよ」

『あんたか? あんただよな。あんただよ――』

 しばらく落ち着いていたのに、高比古の物言いは数日前に戻ったかのようにたどたどしくなった。だから、狭霧も首を傾げた。

「――なにか、あった?」

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 狭霧と高比古を客人用の大館へ送り届けると、案内をした振野たちは、館の前庭にすら足を踏み入れることなくその場を去っていく。

 庭を横切って館の入口へ続く階(きざはし)を上がり、中へ――。そこで二人を待っていた男の姿をたしかめると、狭霧はあんぐりと口をあけた。そこにいたのは、大勢の部下を従えて、何度も戦を切り抜けた武人ならではの屈強な目と、体躯をもつ男――狭霧の父、大国主だった。

「とうさま、どうしてここに……」

 狭霧と高比古がやって来ると、奥の上座であぐらをかいていた大国主は、蛇が鎌首をもたげるように首を動かして二人を見やった。

 しかし、狭霧の問いには答えずに、二人の足を自分の正面まで進ませた。

「近くへ来い。顔を見せろよ、高比古」

 二人を呼び寄せるものの、大国主が見つめたのは血のつながった実の娘、狭霧ではなく、狭霧が夫とした青年、高比古だった。
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 大国主には、目を合わせた者を即座に魅了する奇妙な華がある。今もそれに満ちていて、強い力をもった目や言葉は、腕を引かれたり、怒鳴られたりせずとも、おのずとそばにいる者を従わせて、狭霧たちの足を進ませた。

 二人が目の前まで進み、そこで腰を下ろそうとすると、大国主は娘に尋ねかけた。

「狭霧、高比古はどうだ。比良鳥と同じ呪いがかかったと聞いたが」

「それは、はい――。目も耳も喉も使えないままですが、高比古は、事代の技を使って話をすることができます。手と手を触れさせれば――ね、高比古?」

 目の見えない高比古が歩くのを助けるのに、狭霧は高比古の背中と腕に両腕を回して支えていた。

 二人は、大国主の正面で足を止めていたが、話が進むと、狭霧は思い直して座るのをやめた。高比古が大国主と話をするには、手で触れ合う必要がある。上座へ近づくべきだと思ったのだ。

 でも、一度足を止めると、高比古はそこから動こうとしなかった。

『ここでいいよ、狭霧』

「でも、手をとらなかったら、とうさまと話ができないんじゃ……」

 狭霧はふしぎに思って見上げたが、その時、高比古は、今に脂汗が垂れそうなほど神妙な真顔をしていた。

『いや……なぜだろう?