JMA(日本能率協会)創立周年の節に推進する「KAIKA(開花・開化)する経営」の発表に招かれて参加させていただいた。大きな時代の変化をとらえたもので、(私見だが)端的にいえば「人」に焦点をおいた原点回帰の経営を模索したもので、時宜を得たものであると思った。
「思えば遠くへ来たものだ」との歌もあるが、あらゆるものが急速な変化のなかで必死に駆け上ってきた経済成長の末に、思わぬところに来ていることに気づき始めたということであろう。
もう一度、始まりのころの思い(原点)に立ち返り、そのときに抱いた志を思い出し、本来目指してきた目標へと軌道修正して歩み始めなければならないときなのである。
そのときに開催された専門パネラーによるシンポジウムでは、それが国内だけではなく、むしろ海外のトップリーダーの間では、すでに原点に立ち返った新たなビジョンを描いているとの話もあった。
「KAIKA」との名称にはピンと来るものはなかったが、そもそも同協会のスタートにさかのぼる志や思考のなかに、「KAIKA経営」といった種があったものだと思われた。
はや散った桜ではないが、ようやく開花のときを迎えたといえよう。ただ待っていても開くものではなく、原点に立ち返った開花の準備と努力が今時なのではないだろうか。
その原点は「能率」であり、馴染みのある言葉ではあるが、どんな意味かを端的に述べるのはむずかしい。対語となる英語はなく、これは日本人の感性が生んだ造語である。能率は人の感性が善く成すもので、けして(今は流行の)AIにはむずかしい。
JMAにいただいた本を読ませていただき、共感するところが多かった。そのなかに、まさしく善く能率を成せる人材として上げられた次の要素がある。
■無から有(価値)を創り出そうとしている人材。
■大きな組織に属しているが、組織内での異質な動きをしている人材、あるいは特別なミッションをもつ人材。
■無謀なオーダー、前例のないオーダーがきたとしても、「それならあの人でしょ」「あの人ならなんとかする」と、組織内で指名のかかる人材。
■個人の趣味嗜好ではなく、組織全体最適と好奇心をベースにして動く人材。
■本業と直接関係ない、多くのゆるいつながりやネットワークをもつ人材。
■健全な“山っ気”(冒険、リスクテイクを楽しむ心)と拡散志向のある人材。
■議論、企画、評論にとどまることなく、実際にアクションベースでコトを動かしている人材。
この箇条書きを見たときにすぐに思い浮かんだのは、嬉しくも私の周りにいる、けして少なくない方々(私は「奇人」「変人」と呼ぶが)である。あらためて、そんな人たちに囲まれて仕事ができていることに感謝とともに、ありがたさを感じるものである。