水底
幼少の頃、
川のそばに住んでいたことから、
泳ぎを覚える前から、
よく川遊びに興じた。
或る日、
前日の雨で増水した川へ行った。
浅瀬の激しい流れに引かれて、
僕は、その流いに近寄った。
恐怖への魅力というものかも知れない。
その激流に流れてきた物に、
手を伸ばした瞬間、
僕は流の中にあった。
深みに注がれ、流はゆるやかに転じた。
安堵の心がめばえた時、
僕は水底に引き込まれた。
そこは全く違う流れ、
水底の岩に、右の脇腹をしたたかに打ち付けた。
脱力感が全身を支配した。
僕は、「川で溺れ死ぬ人は、こうなるのか」と思った。
すると、脱力が功を奏したか
不意にからだが水上に浮いた。
僕は「助かる」と思った。
まだ泳げなかったが、
岸に向かって、必死で手足をばたつかせた。
何とか、無事に岸へたどり着くことができたので、
今、こうして生きている。
ああ、水底に確かな流あり
時の変化は常に
目に映る刺激的な水上の現象よらず
水底の確かな流れによって生まれる
水底は、うねっている
大きく 大きくうねっている
そのうねりの前に
僕たちはあまりに無力だ。
僕は、大地に突き立った1本の竿だ
うねりにもまれ、呑み込まれる
時に、大地を踏みしめた足は
ふわぁと浮き、必死に水をかく。
ああ、うねりの過ぎたあとに
一体、何が残るだろう。
すべて消えてなくなるかも知れない
小さな 小さな足あとが2つ
水底の大地に残るかな
うねりの流れに抗して2つ
うっすら 確かな足あとが
うねりの去った新世界
小さな 小さい足あとは
次への確かな種となる
きっと希望、花となる
ひとりまた1人とつながって、
新しき世界は創られる
幼少の頃、
川のそばに住んでいたことから、
泳ぎを覚える前から、
よく川遊びに興じた。
或る日、
前日の雨で増水した川へ行った。
浅瀬の激しい流れに引かれて、
僕は、その流いに近寄った。
恐怖への魅力というものかも知れない。
その激流に流れてきた物に、
手を伸ばした瞬間、
僕は流の中にあった。
深みに注がれ、流はゆるやかに転じた。
安堵の心がめばえた時、
僕は水底に引き込まれた。
そこは全く違う流れ、
水底の岩に、右の脇腹をしたたかに打ち付けた。
脱力感が全身を支配した。
僕は、「川で溺れ死ぬ人は、こうなるのか」と思った。
すると、脱力が功を奏したか
不意にからだが水上に浮いた。
僕は「助かる」と思った。
まだ泳げなかったが、
岸に向かって、必死で手足をばたつかせた。
何とか、無事に岸へたどり着くことができたので、
今、こうして生きている。
ああ、水底に確かな流あり
時の変化は常に
目に映る刺激的な水上の現象よらず
水底の確かな流れによって生まれる
水底は、うねっている
大きく 大きくうねっている
そのうねりの前に
僕たちはあまりに無力だ。
僕は、大地に突き立った1本の竿だ
うねりにもまれ、呑み込まれる
時に、大地を踏みしめた足は
ふわぁと浮き、必死に水をかく。
ああ、うねりの過ぎたあとに
一体、何が残るだろう。
すべて消えてなくなるかも知れない
小さな 小さな足あとが2つ
水底の大地に残るかな
うねりの流れに抗して2つ
うっすら 確かな足あとが
うねりの去った新世界
小さな 小さい足あとは
次への確かな種となる
きっと希望、花となる
ひとりまた1人とつながって、
新しき世界は創られる