渡米2

英語の習得もなく、まさに心一つで渡米。
ロスからアトランタ、モービルへ。
タラップを降り、最初にアメリカの地を踏んだ
その時の心境を理解できるだろうか。
不安もなくはなかった。
でも、それ以上に期待と希望で燃えていた。
少し大袈裟かもしれないが、
まるで、コロンブスがアメリカ大陸に初上陸する心境だ。

スプリングヒルカレッジの人が出迎えてくれ、
当面、必要なものを途中で購入した。
英語がほとんどできないため、全て「YES」に近かったと思う。
僕のベットのシーツが「ピンク」となったのはそのためだ。

そうして、カレッジでの寮生活が始まったわけだ。
カレッジも校内も、自然に包まれた素晴らしい環境だった。
周囲はほぼ外国人(そこでは僕が外国人だが)、話す言葉は外国語、
すべてが全く新しい、そして新鮮だった。
しかし、英語が聞けるようになり始めた約3ヶ月を過ぎた頃から
徐々に心がうすれ始めた。
惰性の訪れだ。

そこは、自由の国アメリカ。
でも、毎日は朝起きて、学校へ行く。
週末にはパーティーといった繰り返し。
大好きな朝日が美しく見れなくなった。
ふっと気付くと、日本にいた頃と変らない自分がいた。
「おかしい、こんなはずでは」と思った。
「このままではいけない。よし、学校を中断してアメリカ中を旅しよう」と考えた。
全く無謀な話である。
そして、僕は中古車を探し始めた。

「幾山河 越え去りゆかば  寂しさの はてなん国ぞ きょうも 旅ゆく」との
若山牧水氏の和歌を知っているだろうか。

僕は、求める答えを自身の中に見い出すことができず、
僕の渡米は、まさにこの牧水氏の歌に始まったのだ。
そして、また逃げ出そうとしていた。

続く・・・