知人に紹介され、ついに観賞できた映画「人生フルーツ」。小さな劇場を転々としながら、もはやロングランといえる。
観賞してはじめて感じたが、小さな劇場であることも、このストーリーの一部である。
映画に限らず、タイトルをつけるのはむずかしいことだが、これは実に言いえて妙のタイトルで、「これ以外にはない」と思える。ドキュメンタリーの撮り方もすばらしいが、何よりも主人の二人という素材であり、人生である。
すべてが自然で、自然だからこそそれ以上に足し引きすることはなく、余計な雑念も不要である。映画に度々出てくる言葉に「風が吹くと枯れ葉が落ちる。枯れ葉が落ちると土が肥える。土が肥えるとフルーツができる」がある。
それが二人の生き方であり、そのままを生きたといえる。30代のころに、理想の公団住宅建設に注力するが、大きな思惑に思うような建設とはならず、その第一線から身を引くが、同じ場所に土地を購入し、そこに理想のわが家を築き50年以上も、いわば実証実験を試みる。
その建築の実証と理念が、思わぬところで求められ、人生最後に30代の頃の夢を果たすことになる。生き方はそれぞれだが、自分で決めることである。毀誉褒貶はあるにせよ、まるで自然のように一つの思いに貫かれた人生が、これほどにすばらしいのかとの、感動と驚嘆に胸が一杯になった。
まさにおいしいフルーツを食べたように・・・。
小さなことをコツコツコツコツ、そうすれば見えてくるものがある、と津端さんはいう。