何事も捉え方ひとつで得られる効果には大きな差が出るものです。
4月は新年度の始まり。
街中や電車内では、まだシワ一つないスーツに身を包み緊張と期待が混ざったような表情の新入社員を見かける季節です。
しかしこの時期に心を揺さぶられているのは若者だけではありません。
多くの企業で人事異動が行われ、職場環境が一変した中堅・ベテラン社員も多いはずです。
希望の部署へ進み胸を躍らせている人がいる一方で、到底納得のいかない辞令に悶々とした気持ちを抱えている人も少なくないでしょう。
池井戸潤さんの小説『半沢直樹 アルルカンの道化師』にこんな印象的な台詞があります。
「サラリーマンの人生は人事で決まる。故に人事は公正でなければならない」
果たしてどれほどの組織が公正な人事を行えているでしょうか?
そもそも組織における「人事」とは適材適所によって組織のパフォーマンスを最大化し、同時に社員の能力開発を促すための重要な事柄です。
性善説に基づけば、個人の適性や実績を正当に評価し本人のキャリアプランに沿った「公正な配置」が行われているはず。
しかし現実の人事はそう単純ではありません。
組織の政治的な力学、部署間の力関係、あるいは上司の個人的な感情や時には「欠員を埋めるための数合わせ」といった身も蓋もない事情が優先されることも多々あります。
公正であらねばならないはずの人事が、実態としては不透明で不可解な決定に満ちている。
これが多くのサラリーマンが直面する綺麗事ではない現実です。
私自身、27年間にわたる会社人生の中で平均して3年に1度、合計8回もの異動を経験してきました。
その多くは正直に言って納得のいかないものでした。
「なぜ私が、このタイミングで、あの部署に?」という問いが頭を離れない夜もありました。
部署が変われば仕事の細かい作業は覚え直し。せっかく築いた人間関係もいちから作り直しです。
まして転居を伴うなら引っ越し作業など面倒が増える一方。
人間は本能的に変化に対してネガティブな傾向があります。
慣れ親しんだ環境や人間関係の中に留まる方が精神的なコストがかからないからです。
ですが世の中の変化や進化のスピードが早い現代において「現状維持」を選択することは「退化」を意味します。
変化を恐れずいかに前向きに捉えるかがその後の人生を決定づけます。
たとえ不本意な異動先であってもそこには必ず未知の知識、新しい人間関係、そして自分でも気づかなかった能力の発見が隠されています。
新しい環境が与えてくれる「学び」は、あなたをより多角的な視点を持つタフな人間へと成長させてくれるはずです。
その異動が「不運」になるか「転機」になるか。
それは異動を命じた組織が決めることではなく、その後のあなたの振る舞いにかかっています。
ところで、物語と現実は違います。
半沢直樹のように組織の不正を真っ向から糾弾し、正義を貫き通そうものなら即閑職へ左遷でしょう。
現実においては変化という波に身を任せ、したたかにうまく立ち回るのが正解です。
お粗末さまでした。
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