バイト職場で待機してたら、一匹のハエが
ぶんぶんと飛び回る。

あれま、どっから入ったのかしらん…
追い払おうと
ハンガーを振り回したのだが、
何が気に入ったのだか
なかなか出て行ってくれない。

こなくそ!
とハンガーを振ったらみごとクリーン・ヒット!
ハエは床に落下し、ピクリとも動かなくなった。

おやおや、無駄な殺生をしちまったぜ、
出て行けば殺すつもりはなかったのによ、
全くキジも鳴かねば撃たれまいとはこのことだぜ、

と無駄にハードボイルドな気持ちになって、
ハエをフーッと出口に吹き飛ばした。


そして40分も経ったころ、トイレ行こうと
出口を見たら、ハエがいなくなっていた。

あれれ?
正社員さんがハエの死体片付けてくれたんかな?
ご苦労ご苦労(注:私はアルバイトです!)と、
立ち上がってふと足元を見たら…




ぎゃ~~~~っ

ハエが、ジリジリと私の足元まで

にじり寄っている~~っ!!!




死んでいなかったのか!


さっきのは仮死状態だったんだな、
コロリと騙されたぜ!
と思う。

何十分もかけて何故
私の足もとまで這ってきたのだろーか。
その根性が恐ろしいぞ、ハエ。


なんだかハエから怨念を感じてしまった私は、
トドメを入れとくのもはばかられて、
ハエをちり紙につかまらせて、そのままポイッと
ゴミ箱に捨てた。

アデュー。

恨むなよー。


ところが…
このハエ野郎がですね…
いや、女の子で
ハエ子さんかもしらんのですがね…

15分おきとか…忘れたころに、
ゴミ箱の中で
ブンブン羽音をひびかせよるのですわ!!
そしてゴミ箱は私の足元にあるのです。

いかん。

ゴミ箱から半死にのハエに飛びつかれたら
ホラーだ。
テロルだ。



私はお客がいないことを確認すると、
そ~~っと
従業員控え室のゴミ箱を、
売り場のゴミ箱とトレードした。
(い け ま せ ん !)

ふう、やれやれだぜ…。

やっと私は安息を手に入れたのであった★