久しぶりに医学部時代の話。
医学生には「研究バイト」というものがあった。
講義に診療に研究にと何かと多忙なドクターのため、
比較的ヒマな医学生が、代わりに研究をしてあげる
アルバイトである。
むろん、医学生が主体となって研究を推し進める
…なんてことはあまり(ほとんど)なくて、
医学生はバイトで単純作業を受け持つのだった。
そこでは、清潔な状況で作業するために
手先のみ外界から隔離することもあった。
画像はイメージですよ。
ちょっとわかりにくいけれど、
中央のキャップをつけた人物が、何か
プラ容器みたいなもんに両手をつっこんでいるでしょ。
まあそんな感じだと思いねぇ。
クラスメートのKちゃんが、このバイトをすることになった。
時間は深夜帯である。
別にこのバイトは朝でも講義のない昼間でも
放課後の夕方でもよかったのだが、なぜかそのときは
深夜にことにあたっていたのだった。
深夜ゆえ、研究棟には人が少なかった。
少なくとも、Kちゃんは部屋に一人きりであった。
そこへ、誰か…いや、何かがやって来た。
肩に、ほとっと
何かが落ちる気配がした。
作業に熱中していたKちゃんが、ふと振り返れば
そこには…
なんと、よく肥え太り、
黒々としたゴキブリが、
鎮座ましましていたのである。
キャアアアアア!!
Kちゃんは絶叫した。
(明日につづく)