さて、映画「どろろ」を見てきましたっ!

小学1年生で手塚治虫先生にはまった私はもちろん

「どろろ」も大好き。原作は未完で終わってるけれど。

アニメ版は見たことがないの。


どろろ (第1巻)  どろろ (第2巻)  どろろ (第3巻)  どろろ (第4巻)




そのへんが映画でどのように描かれるのか、楽しみにして

いたわけで。


でもこの映画、キャスティングですでにネタバレなのねー。



こっから、

未読&未見の方はご注意を。


☆~☆の間は白文字になっています。


どろろは、実は☆☆だった!というのが原作のサプライズ

だったのに、どろろ:柴咲コウ では堂々のネタばらし。


コウちゃんはがんばっていたけれど、どうして大人の女性に

演じさせることにしたのか、そこんとこが不満といえば不満。


生首トビまくりゆえ、PG-12指定であります。

12歳以下は保護者同伴で見てね、という。


冒頭の歌姫(っつーよか踊り子だが)が、ビキニでくねくね

踊りまくるシーンは、


おお!さすがPG-12指定!

と思った(爆)


dororo

↑百鬼丸の着ている服の布地が、20年熟成モノというのは

映画オリジナルの設定だそう。

そりゃあ、さぞかしくs(以下略)

どろろも風呂入らないっ子だからなあ。

二人が真剣に心配だ。



俳優、いいとこさがし

・中井貴一は存在感アリ

・柴咲コウはとにかくがんばっていた

・妻夫木聡もそれなりに

・土屋アンナ演ずる☆妖怪☆奥様がよかった!

あんな色っぽい奥様なら騙されてしまう…。



脚本、演出への不満もある。



・妖怪の安っぽさ

全然おどろおどろしくないのだもん…。

廃寺に止まる眼状紋の蝶なんかは、いい演出だと思ったのだが

その後がなあ。

CGゆえの存在のカルさ、つくりものっぽさが出てしまう。

マイマイオンバは、幼虫だけよかった。

本体の出来を見て、


うわぁなんじゃこりゃー!!仮面ライダーの怪人かっ!?


と、思ったくらい。

原作では、妖怪本体登場シーンは、

能みたいに日本文化の情緒あふれる演出をしてるわけなのね。

だから、妖怪をムリにCG化しないで特殊メイクでも

よかったと思うのだ、私は。



・はしょりすぎ

人間ドラマのイケてなさ。

2時間以内におさめるためには仕方ないんだが、

原作の大切なところ…親との葛藤、兄弟の戦いをもうちょっと

強調してもよかったと思う。

あのラストではなあ、原作と☆死ぬヒトちがうジャン、☆というのもあるし。


マイマイ本体や巨大胎児の出来がいまいちなことを除けば

鯖目の奥方のシーンは丁寧だったと思う。


でも、中盤の戦いダイジェストは、どうよ?


ウルトラマンか仮面ライダーかって感じでしたわよ。

あのシーンいらないんじゃないのかなあ。

私は、もっと戦闘シーンは絞っていただいて、

妖怪を愛あるつくりにしてほしかった。



・百鬼丸の設定


キズが、みるみるふさがってゆくのですわー。

生い立ちからしてマンガ原作を越えてエコエコアザラクの

ブラック・ジャックですわ。


あのマッドドクターシーンはやりすぎじゃないのか、と。

内蔵までってのはちょっと。

へそとか鼻とかにしておけと。


もっと原作を生かせば「からくり」っぽい感じじゃないのかなあ、と。

不死身にしちまっちゃあ、まるで無限の住人 (1)
無限の住人 (1)
でしょ。



舞台が日本でないことについては、まあ仕方ないかと思う。

生首が日常風景として街角にさらされているシーンとか、

ばんもんのさびしくわびしい感じはよかったと思う。


とにかく、妖怪のシーンがいちじるしく作り物すぎた。

どうも対象年齢がよくわからん映画でございました。

横に小学生の人々がいたんだけれど、

彼らはどろろのおおげさな身振り手振りや、

百鬼丸の両手チャンバラに大うけしていたよ。


お子様向けかな~って演出の割りに、PG-12。

解せません。


こっから本気のネタバレ。白文字ゆえ、反転させてください。


ココカラ☆どろろが追っていたカタキが百鬼丸の父親だったことを

知り、刺すシーン。百鬼丸は不死身なので事なきを得るが、

心臓ぶっ刺しちゃったら、終わりでしょう。

もっと迷うとか、ためらいとか、せいぜい腕やワキを刺すとか

にしておいてほしかった。


結局、どろろが女だという意味はどこにあるのか、という

問いに対して、本作は

「女だったら百鬼丸とくっついちゃえ!」

と作ってみた、原作の悲しいやりきれないところから

逃げ、かりそめのハッピーエンドを与えてみた、

そういう作品としか、私には思えない。

要するに、アニメに対するアニパロのような。


どろろ役に成人女性を起用した理由は、

百鬼丸とくっつけるためなんじゃないか。

それしか私には思いつかない。☆ココマデ



2/24追記:


どろろ完全図絵
どろろ完全図絵

メディアファクトリーから出ている、映画解説ムックを読んだの

だが、手塚治虫の知られざる「どろろ」没設定などが

載せられていて、興味深かった。

もしもその設定が生きていたならば、マンガは現行版と全く

違った展開になっていただろう…。