さて、映画「どろろ」を見てきましたっ!
小学1年生で手塚治虫先生にはまった私はもちろん
「どろろ」も大好き。原作は未完で終わってるけれど。
アニメ版は見たことがないの。そのへんが映画でどのように描かれるのか、楽しみにして
いたわけで。
でもこの映画、キャスティングですでにネタバレなのねー。
こっから、
未読&未見の方はご注意を。
☆~☆の間は白文字になっています。
どろろは、実は☆女☆だった!というのが原作のサプライズ
だったのに、どろろ:柴咲コウ では堂々のネタばらし。
コウちゃんはがんばっていたけれど、どうして大人の女性に
演じさせることにしたのか、そこんとこが不満といえば不満。
生首トビまくりゆえ、PG-12指定であります。
12歳以下は保護者同伴で見てね、という。
冒頭の歌姫(っつーよか踊り子だが)が、ビキニでくねくね
踊りまくるシーンは、
おお!さすがPG-12指定!
と思った(爆)
映画オリジナルの設定だそう。
そりゃあ、さぞかしくs(以下略)
どろろも風呂入らないっ子だからなあ。
二人が真剣に心配だ。
俳優、いいとこさがし
・中井貴一は存在感アリ
・柴咲コウはとにかくがんばっていた
・妻夫木聡もそれなりに
・土屋アンナ演ずる☆妖怪☆奥様がよかった!
あんな色っぽい奥様なら騙されてしまう…。
脚本、演出への不満もある。
・妖怪の安っぽさ
全然おどろおどろしくないのだもん…。
廃寺に止まる眼状紋の蝶なんかは、いい演出だと思ったのだが
その後がなあ。
CGゆえの存在のカルさ、つくりものっぽさが出てしまう。
マイマイオンバは、幼虫だけよかった。
本体の出来を見て、
うわぁなんじゃこりゃー!!仮面ライダーの怪人かっ!?
と、思ったくらい。
原作では、妖怪本体登場シーンは、
能みたいに日本文化の情緒あふれる演出をしてるわけなのね。
だから、妖怪をムリにCG化しないで特殊メイクでも
よかったと思うのだ、私は。
・はしょりすぎ
人間ドラマのイケてなさ。
2時間以内におさめるためには仕方ないんだが、
原作の大切なところ…親との葛藤、兄弟の戦いをもうちょっと
強調してもよかったと思う。
あのラストではなあ、原作と☆死ぬヒトちがうジャン、☆というのもあるし。
マイマイ本体や巨大胎児の出来がいまいちなことを除けば
鯖目の奥方のシーンは丁寧だったと思う。
でも、中盤の戦いダイジェストは、どうよ?
ウルトラマンか仮面ライダーかって感じでしたわよ。
あのシーンいらないんじゃないのかなあ。
私は、もっと戦闘シーンは絞っていただいて、
妖怪を愛あるつくりにしてほしかった。
・百鬼丸の設定
キズが、みるみるふさがってゆくのですわー。
生い立ちからしてマンガ原作を越えてエコエコアザラクの
ブラック・ジャックですわ。
あのマッドドクターシーンはやりすぎじゃないのか、と。
内蔵までってのはちょっと。
へそとか鼻とかにしておけと。
もっと原作を生かせば「からくり」っぽい感じじゃないのかなあ、と。
不死身にしちまっちゃあ、まるで無限の住人 (1)
でしょ。
舞台が日本でないことについては、まあ仕方ないかと思う。
生首が日常風景として街角にさらされているシーンとか、
ばんもんのさびしくわびしい感じはよかったと思う。
とにかく、妖怪のシーンがいちじるしく作り物すぎた。
どうも対象年齢がよくわからん映画でございました。
横に小学生の人々がいたんだけれど、
彼らはどろろのおおげさな身振り手振りや、
百鬼丸の両手チャンバラに大うけしていたよ。
お子様向けかな~って演出の割りに、PG-12。
解せません。
こっから本気のネタバレ。白文字ゆえ、反転させてください。
ココカラ☆どろろが追っていたカタキが百鬼丸の父親だったことを
知り、刺すシーン。百鬼丸は不死身なので事なきを得るが、
心臓ぶっ刺しちゃったら、終わりでしょう。
もっと迷うとか、ためらいとか、せいぜい腕やワキを刺すとか
にしておいてほしかった。
結局、どろろが女だという意味はどこにあるのか、という
問いに対して、本作は
「女だったら百鬼丸とくっついちゃえ!」
と作ってみた、原作の悲しいやりきれないところから
逃げ、かりそめのハッピーエンドを与えてみた、
そういう作品としか、私には思えない。
要するに、アニメに対するアニパロのような。
どろろ役に成人女性を起用した理由は、
百鬼丸とくっつけるためなんじゃないか。
それしか私には思いつかない。☆ココマデ
2/24追記:
メディアファクトリーから出ている、映画解説ムックを読んだの
だが、手塚治虫の知られざる「どろろ」没設定などが
載せられていて、興味深かった。
もしもその設定が生きていたならば、マンガは現行版と全く
違った展開になっていただろう…。