夫・光良の職場で上司2人と面談を終えたあと…



私の気分は極悪であった


くどくどねちねちこちらをいたぶる支店長、

さくっと傷つくことを言い放つ鬼縞部長。


このペアと1時間も話をしていると、

げっそりとしてしまう。


ついつい私は、怒りを光良にぶつけてしまった。


「だいたい、支店長って

同じこと何度も何度もききすぎだよ!

自分でくどいと自覚があるのに

どうしてくどくどきくのかね?!」



「でも、支店長は審査会に出るんだし。

おれは出なくっていいし。

代理で出るのなら、くどくっても

しょうがないなあと思う」


光良、あなた人がよすぎですよ…。



「あの人たち、信じられない!

あなたは病み上がりなんだよ?

そのあなたにあんな思いやりのないこと

よく言うよね?


好きで休んだわけじゃないじゃん!

ストレスで動悸と不眠が出て、

ぼろぼろになって仕方なく休んだんじゃん。


なのになんで、休んだせいでおれが

たいへんだったとか面とむかって言うの!!


同僚の妊婦さんも産休をとったからって

言ってたけど、わざわざ産休のタイミングと

あわせて休んだんじゃないのに!!」



怒り心頭の妻に、光良は静かに言う…。




「ああ、○△(産休をとった妊婦の同僚)さん、

ちゃんと休めてよかったなあ。


臨月なのに飛行機乗るようなとこへ

出張に行けとか上から言われていて、

万一なにかあったらって気にかかっていたんだ。


大丈夫?ほかの人にかわってもらえば


ってきいてみたけれど、本人が大丈夫だって

言っていて。

おれがダンナだったら止めるのになーって

思っていたの。

産休がとれてほんとによかった」



自分がいびられまくった直後に、同僚とはいえ他人の

心配をはじめるだなんて…


まったくお人よしなダンナだ…


…そこがよくって結婚したのだが、

それにしたってほどがあるのでは、ないのか…



「でもさぁ。支店長から、産休と同時に

休まれたっていやみ言われたじゃん」



「それは組み合わせした上司のミスだよ。

おれは関係ないよ」



この一連の会話、なんかおかしくないですか?


…なんだか認識の違いがあるようですが。


日本では、

労働者の権利として、産休って認められてますよね。


だってデッチ奉公の大学病院研修医でさえ、

妊娠・出産するなら休暇を認められていたぞ。



なのに、あなたの会社って産休取るべき人に、

飛行機乗るような出張行かせようとするの?


それって、ひどくない?


ひょっとして本人の希望?そうなの??



そんな職場が日本に存在することの方が恐ろしいわ!!



カルチャーショックに私がふるえていると、



「いやー、こわいわー。

おれ、正直言って支店長や鬼縞部長より、

あんたが怒ってるほうがこわいしいやだわー」



「ななななんですと!!

赤ん坊から近所の子供にまでナメられまくってる

人類最弱の名をほしいままにするこのわたくしが、

怖いわけがないでしょうが!!」


夫は、あろうことか上司よりも私が不機嫌なのが

恐ろしいというのであった…。


…ありえない。

ありえない夫だ…。


常識からいくと、こんな職場はもっとありえないが…。

(審査会の結果、につづく)