精神科に通院していた夫・光良の胸にナゾの発疹が!
まさか薬疹?妻・純子は服薬をやめさせる。
幸い、土日だ。
私の仕事も休みだから、なにかあったらすぐ対応できる。
彼のそばで見守るのだ…。
この「××との戦い」シリーズは危険な内容を含むために、
たてまえフィクションに
なっています。もくじはこちら。
http://ameblo.jp/joyblog/entry-10020580503.html
精神科というデリケートな話題でもあるし、
今まで職場と私たち夫婦以外の人には知らせないで来た。
だが、やはり知人の意見をきいてみようという話になり
夫が銀山支店に異動する前に、親しくしていた友人に電話してみた。
その方の
「その精神科、へんだね。
診断書を出さないって時点でおかしいね。
精神科も、ラーメン屋と同じで
すきすぎているところは問題があるものさ」
というお言葉に励まされる。
ところがその後、久々にほかのおうちに電話したせいもあってか、
光良の話がヒートアップ。
しかも、先輩にあたる方に対して、最初は敬語だったのに
だんだんタメ口になってきている。
やばい。
失礼にあたってはいけないので、電話をやめさせた。
…私は激しく落ち込んだ。
夫婦二人っきりで顔つき合わせているのもアレだから、
ストレス解消になればと思ったけれども…
彼の精神が高揚しているのは、
昼ごろまで服薬していたクスリのせいなのか?
それとも、この高揚は彼の内面から生じたもの
…≪そう≫なのか?
はたして、そうなのか?
なぜ今回、市立病院に行ったのか…
予約待ちがなく、
即日かかれるのは市立病院の精神科しかなかったからだ。
精神科開業医は、短くて1週間待ちだったので、
早く治したい光良は市立病院を選んだのだった。
だが、そこで最初に医師から
「オレの指示通り服薬しないなら、
よそへ行ってもらうよ!」
とクギをさされ、
素直に服薬していた。
それなのに、一回クスリに意見しただけで
(合わないみたいです、と言っただけだ)
なぜか診断書も書いてはもらえず、
入院の必要があると言われて
入院設備のある精神科開業医院へ、
一通の紹介状とともに移ることになった。
私としては、
問診もあまりせず、
カウンセリングもほとんどなく、すぐクスリという
市立病院の医師の治療方針に不満があったので、
病院を移ることには賛成だ。
だが、市立病院のきぜんとしたドクターの態度に好感を持っていた
光良は、ドクターに切り捨てられたような思いを持っているようだ。
かつて慶應大学病院の医学部生だったころ、
当時のK病院長が学生たちに、
ヒミツの心得を授けてくれた。
それは名医の条件だった。
わからないと感じたらわかる医者にまわせ。
合わない患者が来たらよそへまわせ。
患者を無理して自分だけでかかえるな。
…である。
当時は当然なことに感じられたけれど、
今回市立病院の精神科医師が、光良にやったのはこれと
同じことだ。
合わない、と感じたので紹介状を出されたのだ。
それは名医の条件かもしれない、でもそうされた患者側には、
割り切れぬ感情のわだかまりが残るのだと、
病院を辞め、患者家族側の立場になって初めて知ったのだった。
(つづく)