精神科医から入院をすすめられた夫・光良。
心ゆれながら、妻・純子は夫から診察の様子を聞きだした。
女上司と三者面談のように行われた診察である。
いったい、そこでは何が話されたというのか…?
この「××との戦い」シリーズはビミョ~な内容を含むため
たてまえフィクションでおおくりしています。もくじはこちら。
http://ameblo.jp/joyblog/entry-10020580503.html
純子「にゅ、にゅ、入院ってどういうことっ!!」
光良「ん、薬を飲んだらハイになりました、って
伝えたんだけどね。
薬で人格が変わることはないって。
躁転したって言われた」
純子「…躁!!!!
躁うつ病だって言われたの?」
光良「【病】とは言われてない。
ただ、躁転したって」
純子「じゃあ、
双極性障害って言われた?!」
双極性障害…躁うつ病は、ハイになる躁状態と
気分が落ち込むうつ状態が繰り返される疾患だ。
光良がそうなのか?
光良「うーん、それは言われてないと思う。
ただ、入院が必要な状態になるだろうって。
で、市立病院には入院設備がないから、
開業医を紹介されたの」
彼の手に、一通の灰色の封筒がある。
きっちりのりづけされた上から印鑑を押して封印された
封筒が。
私は彼の手から封筒を奪うと、
窓におしつけ日光にすかしてみた。
もしや中身がすけて見えないかと思ったのである。
だが、当然のように中身は見えなかった。
X線で見たい。
うちには設備がないが。
光良「ちょっと、そんなことよしなよ…」
純子「くーっ、なんにも見えないっ。
双極性障害って、書いてあんのかなあ?
蒸気でのりづけはがしちゃうかな?
うちの親 みたいにさ」
光良「とにかく、
市立病院とは縁が切れたんだから
あなた的にはよかったんじゃないの。
妻が[ケンカしちゃうかもしれない]って
言ってました、って伝えたら
『会いたくないからつれてこないでくれ』
ってさ。」
純子「そりゃ、むこうだって多忙なんだろうし、
そんなこと言ってる患者家族には
ふつう会いたくないだろうね…」
光良「おれはドクターを信頼していたから、
最後に
今までお世話になりました、
診てくださってありがとうございました、
ってあいさつしたの。
でも、ドクター無言だった…おれが
薬合わないみたいです、
って言ってから急に冷たくなった感じ。
悲しいよな」
そして光良は、紹介された入院設備のある開業精神科医院…
それは、もともとカウンセリングしていたところであったのだが…
に電話し、予約を入れた。
予約は一番早くても、次の週の金曜日なのであった。
彼の話は、まだつづく。