動悸と不眠ゆえ精神科を受診した夫・光良は、
うつ状態と言われ数種類の薬を処方されることに。
しかし、想像もつかない事態が妻・純子を襲った。
いったい、私たち、どうなってしまうの?
この「××との戦い」シリーズは、内容が微妙ゆえ
たてまえフィクションでおおくりします。
もくじはhttp://ameblo.jp/joyblog/entry-10020580503.html
夫は一日三度の薬を飲み始めてから、
ハイになってしまった。
ただ陽気なだけであればハッピーなのだろうが、
そわそわと落ち着かず、怒りっぽくなってしまったのだ。
その日も、彼はあまりに落ち着かないので、
こんな状態では仕事が出来ないと言い、休むつもりだった。
だが、職場から容赦なく呼び出しが。
どういうことか、支店長と鬼縞部長の前で状況を説明しろと
言うのだ。調子が悪くて休むと言っているのに、
今から職場に来いとは…なんともはや。
光良が来ない場合、鬼縞部長がうち(自宅)を家庭訪問すると
言うので、光良は
「そんなの落ち着かない!
うちは休むところなんだから。
おれが行って済むなら行ってくる」
と、一人出かけていった。
光良は、説明を果たすと帰宅した。
光良の様子がよほどふだんと違ったのだろう、
2、3日休んでいいと言われたようだった。
彼は帰宅してからこんこんと眠った。
疲れたのだろう…。
からだが悪いわけではないので、昼過ぎに私は
光良を散歩に連れ出した。
軽い運動は、精神的にも
いい影響を与えると言われている。
気分転換になってくれ、と祈りながら、
肌寒い秋風吹く中、私は彼と歩いていた。
片道25分ほどかかる図書館まで行き、ついでに本を返して、
また借りて。
私は、うつに関する本を借り出した。
そして適応障害についての本も借りた。
図書館からの帰り、
彼は、銀行に用事があるので行きたいと言い出した。
キャッシュカードがひびわれてきたのが気になっていたので、
ちょうど平日に休んだのだから、新調しに行きたいのだ、と。
だが…もう、時刻は2時40分過ぎ。
銀行窓口は3時には閉まってしまう。
そして、最寄りの銀行までは、徒歩では30分近くかかってしまう。
駆け足でなくては、間に合わない。
3時過ぎでもギリギリ受け付けてくれることもあるが、それよりも
明日確実に開いている時間に行った方がいいのではないかと思い、
私は言った。
「えー、やめようよ。明日にしよ。
間に合わなかったらバカバカしいじゃん」
すると、あろうことか、
彼は道ばたで怒り出したのである。
「バカバカしいとはなんだっ!
そんならもういいっ!」
…あの温厚だった彼が。
めったに声など荒げなかった彼が。
平日昼間、住宅街の真ん中の道ばたで、
怒りの表情を浮かべて私をどなったのだ。
「おれが今、
精神的に不安定なのがわかってて
どうしてそんな言い方するんだっ!
帰ればいいのだろ、帰れば!!」
「バカバカしい、って…言い方は悪かったけど
銀行間に合わないのわかってて行くのは
合理的じゃないじゃん…
消原支店まで、けっこう距離あるし…
ムダ足になっちゃうと思ったから…。
それに、もう図書館まで往復しているんだよ?
私、もう足が痛いよ。
疲れたよ…」
私は不安で、街中なのに泣き出しそうだった…
すると、光良はいつもの穏やかな表情に戻った。
だが、私をもっと戦りつさせることは、このあとにこそ
起こったのである。