心身不調により、市立病院精神科に通院することになった夫・光良。
妻・純子は夫の意志を尊重することにした。
しかしそれが、新たな苦しみを生み出そうとは…。
この「××との戦い」シリーズはビミョ~な内容を含むため、
たてまえフィクションでお送りしています。
今までのもくじ
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夫はうつ状態なのだろうか。
肩こりと不眠はあるが、食欲旺盛、意欲低下なし、
悲哀状態でもなし、体重の増減もない。
だが、医師を信頼して早く治す、そして早く仕事に戻るという
彼の意向をくむことにした。
精神科主治医の指示通り、彼はまじめに服薬した。
一日三度の抗不安薬と抗うつ薬、
そして寝る前に睡眠導入薬を。
彼は薬を飲みながら、仕事にはきちんと出ていた。
しばらく服薬していたら、
彼はびっくりするほど見た目が変わった。
顔がむくんだように丸くなり、下腹が急に出てきたのだ。
そんな彼を見た会社の若き後輩のひとりが、
「光良さん、たいへんだ顔が…!
何かにとり憑かれてんじゃないッスか?!
おはらいした方がいいッスよ!」
と言ったほどであった。
「おまえ、おはらいって何だよー。
おれは今から病院行ってくるんだよ」
と彼は答えたそうだが…。
確かに、彼の容貌はいちじるしく変わった。
それははたして、
精神科の薬の副作用なのだろうか?
- ジョイ・アダムソン, 藤原 英司, 辺見 栄
- 野生のエルザ〈改訂新版〉
私は、かつて読んだ野生のエルザを思い出した。
シリーズのどれだったかは忘れたが、
ライオンのエルザに麻酔をかけるシーンが出てくる。
獣医のふれこみでは、麻酔は1日もすればさめますよ、
ということだったのだが、
エルザは今まで薬物を投与されたことがほとんどない。
そのため、
ふつうは1日で切れる分量だったにもかかわらず、
麻酔薬を投与されたエルザは、
4日間もこんこんと眠り続けて著者を心配させるのだ。
光良は、
ふだんはバリバリ健康で風邪もめったにひかず、
クスリなどほとんど飲んだことのない人である。
夫をライオンと比較するのは失礼かもしれないが、
ふだんあまり薬を飲まない人が急に服薬し始めると、
作用が強めに出てしまうことが
ありえないとは言い切れないんじゃないかと思った。
論文の裏づけなどない、ただの想像、
ドキュメント小説からの連想である。
しかし、
弱い容量にもかかわらず服薬し始めてから急に
かわりゆく彼を見ていて、
もしや「野生のエルザ」現象なのでは…
と「野生のエルザ」が脳裏をよぎったことは否定できない。
そして、夫が変わったのは、見かけだけではなかった…(つづく)