解剖実習終了後、ご遺体・ご遺骨は白木のお棺に納められ、
火葬のち慰霊祭が行われた。
ご遺体を扱う科目…
解剖・病理・法医の三科目合同での慰霊祭である。
先生方と、解剖に携わった学生は慰霊祭で献体された方々の
ご冥福をお祈りするのだった。
ところが。
クラスメートの女子・Mちゃん が青い顔…
その時、Mちゃんのファッションは、
ひらひらしたピンクのブラウスに
清楚な白いミニスカート、
そしてピンクのミュールであった。
Mちゃんは、
モテ系だった。
めちゃ可愛かった。
カンペキだった。
困ってるようだけどどうしたの?ときいてみたらば、
「私、慰霊祭の日にち、かんちがいしてた…」
というMちゃん。
確かに。
女子大生らしい愛らしいカラーリングの服装ではあるが、
慰霊祭に出席するにはピンク色すぎる…。
too much pinkである。
「アパートに帰って着替え持ってくる時間ないし、どうしよう…」
うつむくMちゃん。
よっしゃ!まかせなさい!
クラスで一番家の近い女子は、私。
借りたアパートは、なにしろ大学から5分である。
もし引っ越すなら後釜は私に!
と、クラスメートからラブコールを送られる部屋なのだ!
慰霊祭のため、私とMちゃんはアパートにひた走った。
私の服と靴を貸してあげるためである。
ナイスアイディアで一件落着と思われたのだが、
またもや問題が生じた。
私はLサイズのデカい女…
かたやMちゃんは、
XSサイズのきゃしゃな体型だ。
身長だって、10数センチ違う。
足の大きさも1cm以上違う。
だが、2人に選択の余地は無かった…
白いブラウスはダブダブでもまあなんとかなった。
だが、
私の黒い膝下ロングスカートは
Mちゃんのくるぶしまである
マキシスカートになった。
おお、マジック!
彼女の方が細いので、腰ばきに
ならないようにウエストを安全ピンで固定。
細い彼女に、私の乙女心ズキズキ…。
私の黒いクツがそれしかなかったので、
可愛いミュールをKaepaの黒いスニーカーに
はきかえたMちゃん。
歩きづらそうにしながら、大学に戻る…。
大学に戻ったMちゃんを見た学友達がひとこと、
「スカート長すぎ、
昔のスケバンみたい…」
うん、実は私もそう思った…
今でこそ
女子高生のスカートはミニなほどイケてる
ことになってるようだけど、大昔
スカートが長いほど不良、
スケバンはひきずるほど長いスカートという文化も
あったのよね。
ごめんよMちゃん…。
でも、黒いスカート他にこれしか無かったんだよ~。
そして足元は、ベルクロテープをきっつきつに止めても
まだなおデカい、サイズでかすぎのスニーカーだ。
Mちゃんが歩くたびに、パッコパッコと音がするほどだ。
な、
なんだかすごい格好になっている
Mちゃん。
…それでも、今日は大切な慰霊祭。
背に腹はかえられんのですよ!!
その出で立ちで、いざ慰霊祭の行われるZ寺に向かう
Mちゃん、私とその他クラスメートたち。
(つづく)
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