気が弱くて自己主張がヘタで、声が小さくて身体も弱い…
研修医としていいとこナシな私でも、
採血だけは自信があった。
自信があると言っても同期の中では、という程度で
ベテランナースの神業には脱帽であったのだけど。
ここからちょっと可哀想な描写があります。
動物好きの方はご注意くださいませ…
動物超好き!な私は、医学部の動物実習がとてもつらかった。
あるとき、命をとるわけではないのだが、
学生時代ウサギの耳から採血する実習があった。
時間ごとに成分をみるため、何度も採血しなければならない。
最初、班のみながひととおり採血したら、あとは役割を
分担するということになった。
ヘタレな私はウサギに針を刺すことが苦痛で、
可哀想さに自分の心が痛むのがいやで、
自分可愛さに一度だけ採血済ませると記録係に徹していた。
しばし順調に進んでいた実習だが、新たな記録が渡されてこない。
どうしたのかと採血場に行くと、
ウサギの両耳、針を刺し尽くしてしまったのだという。
一度針を刺したところから下流はつぶれてしまって使えない
ので、上流へと進むうちにほとんど使ってしまったのだった。
そして、一箇所だけ…
片方の耳の根本の3,4mmほどの部分だけ、まだ針を刺す
余地があった。
やってくれ、と言われたのでやるしかない。
このウサギで失敗したら実験は最初からやり直しなので
覚悟を決めて…一発でとれた。
つつがなく実習は終了したのだが、
最初から私が採血係になっておけばこんなにウサを
傷めずにすんだのに…と後悔した出来事だった。
でも、それじゃ他のひとの練習にならないのか…?
採血だけは自信を深めてポリクリへ。
外来&病棟実習である。
患者さんの採血なども上級医の指導のもと、させていただく。
泌尿器科をまわっていたころのことである。
教授外来の見学をしていたとき。
ある病で、K大OBの●◎先生が
患者さんとして来院された。
すると当時の泌尿器科教授が…
「J先生、採血して」
と、私にオーダー。
はい!と私は駆血帯、アルコール綿、カット綿と
注射器一式が入ったトレイを準備し、駆血帯…
(採血の時、腕をしばるゴム管のようなものです)
で患者さんの腕をくくっていたところ、
教授がぽつりと一言。
「きみは知らないだろうけど、
●◎先生はすごいえらい先生なんだよ。
きみに●◎先生の採血が出来るかな?」
ぐっ、と一時停止する私。
学生にぷ、プレッシャーをかけるなんて。
教授、いじわる~!!
なんの、私はウサ耳から採血出来た女よ。
えらい先生であってもとれないはずはない!
そして一発で取りました。
幸いなことに●◎先生は太くすこやかな血管の持ち主で
あらせられたのであります…。
と、とれて良かった…。
ただでさえ緊張しやすい医学生を、おどかさなくても…
しかし、あれが教授なりの愛のムチだったのかも、しれません。
今日は珍しく自慢話でありました…☆