春爛漫、春と言えば進級の季節。

試験の成績はABCDであらわされ、
全てが必修科目であるから、
一科目でもDが付いたらそれは留年を意味した。

まず一回目の試験Aコン、

追試ビーコン、

再々試ダブルビーコンがあり、

三度のチャンスで合格点を取れなければ、
教授会の進級会議の俎上に乗り、
留年が決まったり温情で進級させてもらったりする。


私がまだピカピカの一年生だった時のこと。



Nの泣き落とし



と言われる、 おそるべき伝説 があった。

真偽はわからないのだが、本当にあった話だとして
先輩から語り継がれたうわさ話である。


N先生はドイツ語講師である。

ある時、医学部生でドイツ語の苦手なものがいた。


しかし、学習態度は真面目であるし、
ドイツ語以外の成績はそこそこ優秀であるので、

会議では

「まあ、進級させてやりましょうか」

との方向で話が決まりかけた、


その時である。


「う…っ」


突如、涙ぐむN先生!


「あいつは、やれば出来る子なんです。

1年、1年私に預けてください。
1年あれば、もっと伸びる子なんです!」



泣きながら、その学生の留年を訴えるN先生。


教授会では、N先生の気迫にのまれたのか、
進級させるはずだったその医学生を留年組に入れたという。



いや、ほんとかどうかはわからないんだけどね。


教授の息子や娘がふつうに医学生としているような
学校だったので、こんな裏話が学生に広まっても
不思議ではない。


クラスメートは
「預けてほしいなんて言われて、
留年させられたらたまったもんじゃないよな~」

とN先生を恐れたものであった。



そのおかげで(?)ドイツ語試験第1回の平均点は
なんと100点満点の85点!

新入生は、N先生のドイツ語を必死に勉強するように
なりましたとさ…。


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bana02