世界的に名を知らしめた、T.M.氏。
彼女は外科からNASAへ行ったというスーパーウーマンである。
残念ながら、お会いしたことは一度も無い。
ヒヨッコの私は彼女の武勇伝を人伝えに漏れ聞くのみだった。
よその大学では外科に女性が入局する、と
言ってもあまり奇異なことではあるまい、
ところがギッチョン(古いね)、
K大学では女性の入局者はいないことも珍しくなかった。
彼女の人物史と日常とは夫であるM.M.医師の著書が
素晴らしいので、私ごときが書けることはない。
そこで、外科の大変さについて触れ、そこで働きぬいた
彼女がいかに強かったかを浮き彫りにしようと狙ってみた。
外科。
これは心臓外科、血管外科、腹部外科、脳外科等に細分される、
手術を主とする科の総称である。
実習でまわった時、学生どもは外科カンファレンスルームで
のんびりしていたのであった。
そこへ、一年上のフレッシュマン(研修医一年生)がフラフラと
やって来た。
見るからに蒼い顔をした彼は、息も絶え絶えこう言って
仮眠室に入っていったのである。
「外科入局希望者いるの?
やめといたほうがいいよ。
マジ、生き地獄だよ…。
二人組の相棒が身体壊して辞めちゃったから、
俺仕事2倍なんだよ、マジ死ぬよ。
国家試験落ちてりゃ良かったよ、
そうしたらこんな苦しい思いしないで、
どこの科に入るか考え直せるのに…。」
(つづく)
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