医化学の実習でだっただろうか、
ピペット なる器具を使う必要が生じた。

ピペットというのは
目盛り付きガラスストロー
のようなもので、それで液体を微量吸い上げろと
いうのだ。


予算潤沢らしい国立大と違い、寄付金と高い授業料を
生徒から取っても負債が億単位で存在するという、
私大の台所事情ゆえなのか。

ガラスストロー…じゃなかった、
ほとんどのピペット吸い口は
割れ、欠け、ヒビが入っていた

のである!

そんなに金がないのか大学。

それとも生徒が使う備品をケチっているだけなのか。



いやーん。
吸いたくなぁ~い。


というのが本音ではあるが、そんなことを言っていては
単位がもらえないので、比較的マシなやつを選んで使う。

うう、クチビルにガラスひびの鋭利な突端が当たるんですけど。



マジ切れそう(クチビルが)。


口唇切れたらどうしてくれんだよー、大学さんよォー、
なんて雑念のせいか、集中力を欠いた私はやってしまった。



本来はピペットの目盛りの高さまで吸うはずだった

フェノール
お口の中まで吸い込んでしまったのである。



うっ、
うおええええ!!





急いでうがいし、微量でもあるし事なきを得たが、
フェノールって言えば毒性があるですよ。
大昔こそは消毒としての用途もあったけど、
患者が不幸な転機を取ったりして毒性が認知され、
もうとっくに人体には使われなくなったという噂の。

青ざめて肩で息する私に、となりの男子学生が

「ねえ、どんな味だった?
どんな味がしたか教えてよー♪」


とうれしそうに繰り返すではないか。

…味って。

おまえは鬼か!
他人の不幸は蜜の味ですかっ?!


と思ったけれど、もとが小心者の私は
「すぐうがいしたから、よくわかんなかった♪」
と答えてあげましたとさ。
ほんとは、少しすっぱいような刺激的な味だったような…。
少なくとも、二度と味わいたくはないお味では、あった。



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