出産入院、新生児育児の思い出と気づき | 女医ときどき患者

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そしてときどきママ。

実は第3子を出産していました。持病や投薬のせいで、妊娠出産できるのかずっと不安だった過去の私に、3人も出産するよ、と伝えてあげたい。

とはいえ、さすがに3人目は高齢でもあり、合併症も種々おこり、大変でした。ようやく出産にこぎつけた感じで、産後も大変でした。

 

出産入院中、新生児育児の思い出と気づきの備忘録的羅列です。

・入院中の生活は医師よりも看護師さん頼りな面が多い。看護師さんが優しい、しっかりしている、気が利く、と安心できる。

・病棟の若手の医師。イレギュラーに採血しに来たので、何のためか聞くと、「わかりません。上の先生に言われたから来ました。」と。良くない。採血くらい、と思っているのかもしれないが、何のための検査か把握してから患者さんの元に来るべき。また自分がした検査の結果は必ず患者さんに伝えること。

・一晩でも身動きがとれない(帝王切開だったため術後翌日まで寝たきり)、というのは相当に不快。ストレス。身支度できない、水も自由に飲めない、というのは・・。それが何日も何ヶ月も続く病状の人のことを思う。

・入院中の食事に魚がたくさん出てくる。毎日ほぼ毎食魚。栄養士さんの考えてくれる健康な食生活というのはこんなにも魚が多いのか、と改めて実感。

・あたたかいお茶を飲む、というのは思っていた以上に大事。心が救われる。以前は入院患者にあたたかいお茶を配ってくれていたのだが、コロナウイルスの関係でそれが中止になった。病棟においてあった給湯機もなくなり、共有スペースのレンジのみ。レンジでお湯をつくってお茶をつくった。

・個室はありがたかった。入院期間が長引いても個室の差額料金くらいはカバーしてくれる保険に入りたい。持病があっても入れる保険、今調べ中。

・そして、やっぱり、出産での入院は、合併症があろうとも、「考えうる限り一番幸せな理由で入院している」と有難く思った。

 

・新生児授乳は大変。赤ちゃんもどうやって吸ったらいいか最初はよくわかっていない。助産師さんが授乳方法を教えてくれるのだけど、「こことここを合わせて、この高さ。はい、このタイミングでパクッ!」みたいな。まるでスポーツ!そういえば、私、運動音痴なのを思い出した。。(1カ月もすれば簡単に。近くに乳首があれば当然のように咥える息子。成長を感じた。)

・母乳育児神話、何、と思いながらもやっぱり心のどこかで気にしていた。3人目にして生後2か月くらいから完母達成!妙な達成感。

が、保育園に入る時の面接で「完母です!(ドヤッ)」というと保育士さんに嫌がられる。「入園前にミルクの練習してきてくださいね~。」と。そしてそのタイミングで授乳減らしたから私は乳腺炎になった。ほんと頑張って完母にする必要なし!特に卒乳前に保育園に入れなければならないお母さん。

・マタニティブルーになった。退院後から始まり、2週間くらいで上向きになってきたけれど、これが原因で自殺しちゃう人がいることがわかったくらいには重症だった。高齢出産はリスクらしい。

・3人目育児。上と年が離れているせいか、必死さがなくなり、純粋にかわいいかわいい、と思える。マタニティブルーの間でさえ、子供の可愛さはちゃんとわかった。

・いろんなところで日本の家族は、両親+子供1人/2人が典型とされている。住宅もそう。3人のとたん、うわ~子だくさん!と思われる。子供3人といっただけで、ネガティブな反応がけっこう増える(うるさそうとか3人もいらないとか)。

・4人のお子さんがいる素敵な同僚が言ってくれた。「子供1人のときは親2人:子供1人。子供が2人になると子供同士1:1、上下の関係ができる。子供が3人になって初めて子供同士の『社会』が誕生するんですよ。3人いるといいですよ。」

妊娠が判明してから3人も育てていけるのか不安でメソメソしていた自分を救ってくれた言葉だった。

・手が回らない、と開き直って、上の子2人のできることをちょっとずつ増やしている。自分のことは自分で。お手伝いもしてもらい。上の子たちの成長にも良いはず。幸い上の子2人とも3人目が大好き。大切にかわいがってくれている。


備忘録追記

・そういえば、麻酔科の先生で素敵な先生がひとりいた。かなり上の立場の偉い先生なのだけど、帝王切開前夜、私の合併症のために麻酔方法を変更することに。

どんな場合にはこうするけど、あなたの数値はこうだから、こうしようと思う。でもこういう対策を取るから心配しないで。万が一手術開始後こうなったらこうする。ということをかなり具体的に説明してくれ、急な変更にも関わらず安心できた。

麻酔導入中から手術中もこまめに状況を確認してくれ、薬を追加した後に「これ、気持ち悪くなる人いるけど、どう?大丈夫?」等と確認してくれて、薬を変更してくれたり。

若い先生に任せず、患者の状態を直接確認してくれる働きぶりは、ありがたいし、若い先生もそこから学べる点が多いと思う。プロフェッショナルな仕事ぶりで良い先生だなぁ、と感嘆。そして私の病歴やバックグラウンドをよく把握してくれている病院での出産で良かった、と思った。