先ほどからゲラチェックをしている。6時半を回ってようやく少し空が青味を帯びてきた。
冬の寒さの中で、朝方仕事をするのは、実はなかなかいいものだ。ちょっと特別感がある。足元のヒーターが必需品なのだが、これがなんとなく特別感を醸し出してくれている。

頭寒足熱


みなさんはこの言葉をご存じか?
昔の人は、実に利のあることを端的に後世に伝えることがうまい。

ボクは子供の頃、風邪で熱を出しうんうん唸っているときに、親からこう言われながら足元を毛布でくるまれた覚えがある。
「頭は冷やして、足は暖めるのよ」とは言わない。あくまで「頭寒足熱」とボクの親は言う。小学生くらいだったボクの頭に「頭寒足熱」の四文字が浮かぶわけもなく、「図鑑そく熱」?が代わりにボクの頭にあった。「熱」だけは辛うじて当たっていたが、「図鑑をみたら何が載っていたのだろう?」
と熱でボーっとしたボクは考えていた。

話が脇へそれた。
この「頭寒足熱」の本来の意味は珍しくボクの親の使い方が正しく、身体によいこととして昔から奨励していたものが語源になっている。でも健康のためだけではないだろう。寒い冬の朝、原稿書きなどをしている人にとっては、足元を暖めないと冷えてしまって身体が動かないし、かといって暖房で頭まで暖まると思考が弛緩してしまい考えに集中できなくなってしまう。


余談だが、英語でもまったく同じ表現がある。

keeping one's head cool and feet warm


思っていた以上に、身体にとっての大切な環境設定のノウハウなのだ。