2023年本日読了した本 その22 ワークプレイス・パーソナリティ論 | 美しく、素敵に、幸せに

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2023年本日読了した本 その22

 

ワークプレイス・パーソナリティ論: 人的資源管理の新視角と実証 

鈴木 智之 (著)

https://amzn.asia/d/7LYOw2E

 

著者の名古屋大学大学院経済学研究科准教授の鈴木先生は人に関わる仕事に携わる人たちのコミュニティ「名古屋HRコミュニティ」にご参加いただいたご縁

研究に没頭する大学の先生というよりも、オンとオフを軽やかに楽しむ社会人大学院生という雰囲気の方

 

採用、選抜、育成、評価、それぞれの人事活動に関連する世界中のパーソナリティ研究を体系的・包括的にレビューし、かつ、鈴木先生独自の実証研究によってこれからの日本企業への提言がまとめられた一冊

 

採用や選抜に用いる適性検査とは人の内面の何をみているのか、育成や評価において実績だけでなくその人の「器」をみるとはどういうことなのか、といった「『仕事』だけでなく『人』をみる」ことについて興味を持つ方におすすめ

 

なお、下記の抜粋は敢えて具体例を挙げていません

理論の事例や、実践事例等は、本書を手に取ってご覧いただければと思います

 

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ワークプレイスの心理的安全性を破壊するような社員がいる。組織内で他者からの高い評価を求めながら、他者との軋轢を自ら生むような組織行動をとる社員がいる。1on1ミーティングによって部下の業務熟達を促進できる上司とできない上司がいる。入社後すぐに会社に馴染んで活躍する社員と馴染めずに伸び悩む社員がいる。これらの社員の心理を理解するためには、パーソナリティ理論が必要不可欠(P2)

 

ワークプレイスにおけるダーク・トライアドは、問題行動という限られた一側面のみからでは十分に理解が進まない。それぞれのパーソナリティ特性のダークな部分の達成のために、ダークとは見えない組織行動を採用するところにワークプレイスにおける人間の複雑さがある(P66)

 

パーソナリティ特性を考慮しない経験学習は、学習理解のための視点の一つが不足しているとも言える(P159)

 

ワークプレイスにおいて美的感受性因子は自己効力感と有意な正の相関関係を有し、また、仕事からの疎外感や仕事によるストレスとは無関係であることを示した(P162)

 

ジョブ型の導入に伴って1on1という場を設けること、ノー・レーティングに伴うリアルタイムフィードバックの場を設けることが今日の取り組みの主眼になっているが、本来は、「評価する・評価される」という「評価」の経営活動について、人間心理へのより深い洞察が必要になる(P182)

 

人間の公的自意識にはそれだけではなく、他者からの賞賛獲得は高くないが、他者からの批判回避が高い人がいる。他者からの賞賛獲得は高くなく、他者からの賞賛への恐怖が高い人がいる。ワークプレイスという場は、働く人にとって日常的な場であるが、そこで想定されている公的自意識像は「他者からの賞賛獲得」を全員が求めるという、人間の一側面に限ったものになっている(P183)

 

自尊感情が低い人は、自分に対して後ろ向きの態度をとっており、自分が何かに役に立つと考えない傾向が強いとされる。「自分はできる」というイメージが弱いため、サポートやリソースが不足するような状況で困惑してしまい、具体的なアクションがとりづらいものと解釈される(P185)

 

業績評価は、本当の自尊感情が低く、随伴性自尊感情が高い人にとっては、自尊感情を脅威にさらす、心理的不適応を生じさせるリスクのある経営活動になる可能性がある(P186)

 

「協調性のある人物」という表現に対して、チームで関係構築をして、メンバーの良い面を引き出し、チームの課題解決や方向性の決定に貢献するような人物という像にまで拡張するような企業例もある。協調性は自己主張の乏しさが長年のパーソナリティ研究で指摘されているため、この拡張には無理がある。協調性という特性のみにそこまで期待するのは難しい(P223)

 

良い上司がいなくて、組織の未来は訪れない。良い上司を選抜するとともに、そうではない人物が上司の立場にならないよう、人間心理のリアリティに真摯に向き合った人的資源管理が今、日本企業に求められている(P227)

 

HSP研究が示した通り、敏感な人が全てのストレッサーに過敏に反応するわけではない。敏感な人と一括りにするのではなく、下位概念によって刺激への反応は異なるため、どの下位概念が強い敏感な人なのかを明らかにした上で、ワークプレイスでの配置や育成などを考える必要がある(P227)

 

心理的安全性が高まればすぐに何らかの成果が創出されるのではなく、心理的安全性が状況変数の影響を受けて、他の組織行動などを媒介した上で成果が創出されると考えるのが妥当である(P231)

 

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