終わりある旅

終わりある旅

過去、現在、そして未来へ続く人生の旅。一人の人間が日々思うこと。泣いて、笑って、楽しんで。


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どこか混沌として愛が枯渇しているようにも感じる今のこの世界。

人間は破滅を望んでいるのか、それともー。

 

生まれ変わりなど夢物語で、俺はこれまで人生一度切りだと

思って生きて来た。

難しい選択や辛い想いもたくさんあったけれど、

その時の自分の素直な心に従って生きて来たためか

反省はしても後悔する人生では無かった。

そんな中、最近聞いた一つの言葉が不思議と心に響いた。

「見えない世界が存在することを肯定して生きてみて。」

見えない世界が存在する…もし魂というものが本当に実在して

何度も生まれ変わるのだとしたら。

あなたはそれを考えた時、果たして今の世界にもう一度

生まれ変わりたいと思えるだろうか。

もしそう思えないとしたら、それは今の人生やこの世界に

それだけの価値をまだ見出せていないからに他ならない。

 

この問いを自らに問い掛けた時、意識が大きく変わるのを

感じずには居られなかった。

自分が生まれ変わるなら、もっと身近にたくさんの愛を

感じられるような争いのない平和な世界に俺は生まれたい。

どんな世界を望もうが個人の自由ではあるが、

世界が大きな集合意識の方へと動いて行くのは確実だ。

俺が想い描く愛の世界を実現するためには、この地球に住む

出来るだけ多くの人たちが同じ意識を持つことが必要不可欠になる。

例え今すぐにはそれが無理だとしても、それを願う人たちが

一人また一人と広がって行けば、やがて大きな力となって

きっと世界は望む形へと少しずつ変化して行くだろう。

 

もしあなたも同じことを思うのなら、ほんの少しだけでも

その意識を変えてみて欲しい。

今の自分の中にはまだ誰かに与えられるほどの愛が

備わっていないと思う人が少なからずいるかもしれない。

だが、本来はそれぞれが与えられるだけの愛をすでに持っており、

今はまだそれに気付いていないというだけに過ぎない。

ただ誰かに愛されているという喜びを感じられるだけで、

誰かに与えられるだけの愛は自ずと湧き上がり始めるだろう。

それでもやはりどこか満たされない。

そう思っている人たちに今こそ伝えたい言葉がある。

 

この世界に生まれて来てくれてありがとう。

誰に言われなくたっていい。

俺はあなたを愛してる。

人間は愛すること、愛されること、どちらか一方だけでは決して満足できない。

愛することは自分主導だが、愛されるかどうかは相手次第となる。

この愛されたいという欲求は誰の中にもある最も強い願望であり、その願望が成就し昇華された時に無償の愛は完成する。

 

もう一度誰かと深く愛し合いたい。

そんな中、立ち止まって本当の自分を見た時に内から溢れ出る愛を見つけた。

こんなにも溢れ出る愛にさらに愛が与えられたとして、俺はそれを果たして感じる事が出来るのだろうか。

例えるなら、バケツの底から沸き上がり溢れ出る水に対して水道の蛇口からさらに水が注ぎ込まれるようなもの。

注ぎ込まれた水はその瞬間、バケツから零れ落ちることになる。

一度愛される事を知った人間に本当は愛されたい願望などもう存在しなかったのだという事にようやく気付かされた。

何故、これまでの恋愛が上手く行かなかったのか。

それはこれ以上求める必要のない愛を欲してしまっていたからだ。

 

あの人の愛が俺の中に眠る愛を目覚めさせてくれた。

俺の愛は既に与えられる事を必要とせず、常に与え続けられるだけのものになっていたんだと確信し、これまでのことが全て腑に落ちた。

そして、同時に新たな一つの疑問が湧いて来る。

この溢れ出る愛の源は一体どうなっているのか。

なぜ沸き上がった愛は未だ途絶えることを知らないのか。

そんな謎が解ける日もそんなに遠い未来ではないのかもしれない。

真実の愛は時空を越えるーー

 

気付いてみれば、あの人と会えなくなって16年もの年月が流れていた。

この間、本当の自分はずっと眠り続けていた。

そして、その長い長い眠りから最近ようやく目覚めることとなった。

自分の内から燃え盛る情熱の炎が再び湧き上がるのを感じずにはいられない。

 

浮かんでは消えるあの人の幻影。

傍に誰もいなくなるとあの人は決まってその姿を現す。

それでもこれまでの俺は幻影を振り払い、常に前だけを見て歩き続けて来た。

でも結局何をどうやってももう一度真実の愛を見つけることは叶わず、ついに足を止めて完全に立ち止まることになった。

 

俺は全ての余計な思考を停止して、深く深く自分を見つめてみる。

漆黒の中で輝きを放つ中、膝を抱えて座る少年の姿があった。

心の最も深いその場所にずっと眠り続けていた本当の自分を見つけた。

 

「初めから分かっていたんだろう?

 彼女の代わりなどどこを探しても見つからないって。

 君にとっては彼女しかいないんだ。

 真実の愛は誰にとってもたった一つしかない。

 君は彼女と出会うために生まれて来たんだから。」

 

それを聞いた時、心の中でブワッと光の波動が広がって行くかように感じた。

それはまるで自分の魂が解き放たれて行くかのようだった。

俺は何者でもなく俺であり、その俺は今でも深くあの人を愛している。

そして、それが自分の世界でたった一つの揺るぎない真実。

どこを探しても見つかるはずのない、偉大で大き過ぎる宇宙のように無限に広がる愛が自分の内にしっかりと宿っているのを確かに感じた。

これまでの自分に唯一足りなかったのは、この真実と共に生きる覚悟だった。

 

長い年月が経ち、あの人がどこでどうしているかは分からない。

あの人が今でも俺を想い続けてくれているのかどうかさえも分からない。

それでも俺はこれからもずっと君を愛し続けて生きて行くだろう。

 

「何よりも誰よりも君に会いたい。

 そして、ずっと一緒にいたい。」

 

どうか神よ、このたった一つの願いを叶え、あの人と俺を今一度引き合わせてはくれないだろうか。

永久不変の愛があると言うのなら、今でもお互いに深く想い合っていたとしたら、その時にだけ奇跡という名の神の采配があるのかもしれない。

あれから十数年の月日が流れた。

少しずつ自分という人間も整理され、自分の長所や短所もはっきり分かるようになって来た。

だが、そんな俺は未だに真実の愛をみつけられてはいない。

 

愛を知ることは俺の人生にとって最も重要なテーマだと思っている。

この間、何度か恋と呼べる出来事はあった。

でも両思いになる出会いはなかなか訪れず、

俺はある時、神様にこんなことを願った。

「次に俺が好きになる人は、俺のことを心から大切に想ってくれる人だけにして下さい。それ以外の恋はもういりません。」と…。

 

それから間も無くして、ふと思い立って赴いた場所で一人の女性と出会うことになった。

初めて彼女を見た瞬間、

「ずっと探していた人をようやく見つけた!」

そんな言葉が初めて脳裏に浮かんだ。

彼女の目を見て話していると、あの人と過ごした時と同じ、瞳に吸い込まれるような感覚が確かにあった。

彼女と会って話す日はとても幸せだった。

ただ、彼女は心身のバランスを崩すことが多く、大切に思えば思うほど、そんな彼女を見て負担を掛けまいと積極的には成り切れない自分がいた。

彼女と出会って1年が過ぎたある日、

最後の時は突然やって来た。

誰かに頼ることなく自らの力で立ち直って欲しい、そんな気持ちとの葛藤の中、

「何か困ったことがあれば、俺がいつでも力になるよ。」

今まで見たこともないような悲壮感漂う彼女に別れ際その一言が言えなかった。

 

その彼女と会えなくなって、2年の月日が流れた。

もう一度人生の糸が彼女と交差する日は来ないかもしれない。

あの時、あの言葉を口にすべきだったのではと後悔の念に駈られることもある。

それ以外に反省すべきことも多々あった。

ただ、今はそれを踏まえて、また新しい自分として進化して行こうと前向きに考えている。

 

そんな風に心に平穏を取り戻すと、決まってあの人が現れる。

俺の中には今もずっとあの人が居て、最近ではこんなことさえ思うようになった。

もしかしたら、俺は気付かない振りをしているだけで、自分が探している真実の愛にはもうとっくに辿り着いているんじゃないか、と。

結局、恋をすることはあってもこれまで心から愛しく想えたのはあの人だけだった。

そして、あの人を思い出すたびに思う。

 

今が幸せでありますようにーー

 

今日はあの人の誕生日。

あの人と出会えたからこそ、今の自分がある。

これから先もずっと君のことを忘れはしない。

「誕生日おめでとう」

照れ臭そうにあの人は微笑んだ。

あの人と話せなくなってから、どれくらいの月日が流れたのだろう。

振り返ってみれば、時間が経つのも短いようで長いものだ。

あれから俺は様々な経験を重ねて来た。

だが、それらの出来事はすべて泡のごとく浮かんでは消え、

何事もなかったかのように記憶の彼方へと忘れ去られて行く。

それでも、あの人と過ごした時間だけは他の出来事とはまるで違い、

今でも昨日のことであったかのように鮮明に思い起こせる。


当時、俺の心は不安定なままずっと揺れていた。

誰かの幸せを壊してまで自分の幸せを求めることは間違っている。

でも、ずっと一緒に居たい…ずっと一緒に生きて行きたい。

この内から湧き上がるジレンマに一体どう対処すればいいのか。

そんなことを毎日のように考えていた。

そんな俺を見兼ねてか、あの人の方が少しずつ俺との距離を取り始めた。

このままでは俺は駄目になってしまう。

そう思った時、いつか聞いたことのある一つの言葉が浮かんだ。


本当の運命ならば、決して逃れることは出来ない――


俺はこの言葉を自分の人生を通して確かめてやろうと思った。

這いつくばってでも前に進んでみれば、きっと何かが変わるに違いない。

俺の気持ち、あの人の気持ち、周りの環境の変化。

答えを焦らなくてもいい。

ただ、自分にそう言い聞かせるように…。

時間の経過は、やがて世界と俺を少しばかり変え始めた。

新しい経験や恋もした。

でも、それは俺にとって大きな変化とは言い難いものだった。

どんな理屈を並べても、どこか焦っている本当の自分に気付かされた。

そんな中、数ヶ月前、偶然にもあの人との再会を果たすことになった。


久しぶりに会ったあの人はどこかぼんやりしている印象だった。

「最近、物覚えが悪くなった。」

そんなことを冗談っぽく話していた。

そして、誰かにとっては何気ない言葉に過ぎないのだけれど、

俺にとって深く印象に残る言葉をあの人は発した。

「どこでもドアが欲しい。」


その瞬間、当時の記憶 が呼び起こされた。

けれど、それ以上に驚いたのはこの言葉だった。


「タイムマシンも欲しい…。」


それから、またあの人は姿を見せなくなった。

たった一度の再会だったけれど、俺の中に眠っていた心の灯火が

再び熱く燃え上がろうとするのを感じずにはいられなかった。

あれから、俺は何も変わってなどいないのかもしれない。

傍に居ようが居まいが、心の奥底にずっと閉じ込めたままの真実。


今でも君を愛してる――