空想が始まると止めどもなく空想が沸き上がってしまうという悪癖が僕にはある。

以下はそのような戯言に過ぎない。

軽く流して読んでいただきたい。

 

 

愛国おじいちゃん「くうぅ、今日もネットでバカにされた 一言も言い返せなかった 
ボクは日米安保は日本がタダ乗りだから日本にとって得しかないんだって言ったんだ
そしたらあいつら、そんな事あるかよ〜って大爆笑したんだよ!
ママひどいよね、ボク間違ってないよね?」

「保守」を体現したママ「また例の非国民の連中に虐められたのね!かわいそうなぼくちゃん わたしの大事な愛国坊や さあ、ゆっくりお休み 靖国の子守唄を今日も歌ってあげるわ」
そうしてスヤスヤと眠りにつく愛国おじいちゃん

それを見届けた「保守」を体現するママ
その姿は電波障害を受けたホログラムのように乱れ、その中から屍の山を築く無数の「英霊たち」、サイパンの絶壁から飛び降りる住民、原爆の炎、そして「星条旗」が垣間見えるのであった




愛国おじいちゃん「今日はボクの大好きな安倍おじさんは売国奴で、ボクの大嫌いな鳩山が愛国者だなんて言う奴がいたんだよ!
でもそいつの言う事を聞いてたら、ほんとにそうかも知れないって思っちゃったんだ…
そいつらは、アメリカの売国要求の年次改革要望書を破棄した鳩山の方がよっぽど愛国だなんて言うんだ
でもママはそんなことボクに教えてくれなかったよね?ボクはママの、お行儀の良いお利口さんな子供だよ!あいつらの言うことはウソだって、ママはそう言ってくれるよね?」

「保守」を体現したママ「あらあら、非国民がまた可愛い坊やを混乱させちゃったのね 安倍おじさんが売国奴なんて、大嘘もいいところよ 
坊やいい?鳩山は私達の敵なの 平和の鳩ぽっぽなんていい冗談よ あいつらの言うこと信じちゃだめよ 坊やはママの言うことだけ聞いていればいいのよ」

愛国おじいちゃん「うん分かった!ごめんねママ、ママを疑うなんて、ボクはいけない子だね!
ねえねえ、今夜もボクの大好きな「爆弾三勇士」の絵本を読んで聞かせて!」

「保守」を体現したママ「はいはい、それじゃ、始めるわね
むかーしむかし、あるところに、三人の勇士がいましたとさ
勤皇の志厚い三人は、鉄条網に肉薄し、その身もろとも爆破に成功!
三人は2階級特進しましたとさ めでたしめでたし」

いつの間にか愛国おじいちゃんはスヤスヤ眠っていた
その姿を、「保守」を体現したママはじっと見つめるのであった




「保守」を体現したママ
(愛国おじいちゃんのおこさまランチを作りながら歌う)
「そうだ一億 火の玉だ〜
一人一人が 決死隊
ガッチリ組んだこの腕で
守る銃後は鉄壁だ
何が何でもやり抜くぞ
進め一億火の玉だ
行くぞ一億 どんと行くぞ!」

愛国おじいちゃん「今日のママはご機嫌だね!ボクも一緒に歌うよ!

行くぞ一億 どんと行くぞ!」

「保守」を体現したママ「ふふふ、坊やも、英霊様に続いて、ど〜んと、行きましょうね!」


そこにチリリーンと電話が鳴り、「保守」を体現するママが取った
「はい…はい。了解しました。そのように誘導します」ガチャン

愛国おじいちゃん「ねえママ、誰からの電話だったの?それに誘導ってなに?」

「保守」を体現したママ「坊やったら、知りたがりさんは、メ、よ?(からかいながら笑う)
誘導っていうのはね、12式地対艦誘導弾のことよ 敵の基地を攻撃することもできるの
坊や、これで憎っくき中国を、叩くことができるのよ!素敵でしょ?」

愛国おじいちゃん「わーい、ボク中国大嫌い!
進め〜一億火の玉だ〜 行くぞ〜一億どんと行くぞ〜」

「保守」を体現するママ「ふふふ、坊やはお利口さんね 
共産主義者は敵 地上から消し去るために私達は一億火の玉になりましょうね!」

 

 

 

 


愛国おじいちゃんは、「保守」を体現するママに連れられ、旅行に出かける事になった
行き先は南海、尖閣諸島周辺の海域である

愛国おじいちゃん「ママ、船旅なんて初めてだよね?潮風ってこんなに気持ちいいんだね!
それにこの辺って、中国の漁船が侵入してきてるんだよね?
そんな奴ら、このボクが追っ払ってやる!
かかってこい!野蛮人ども!」

「保守」を体現するママ「そうよ坊やその意気よ!
坊やがこんなに立派に育って、ママはとっても誇らしいわ!
さあ、このベストを着るのよ!」

愛国おじいちゃん「えっ、ママ?このベスト、なんか爆弾みたいなのがたくさん付いているんだけど…」

「保守」を体現するママ「そうよ!あなたはこれから、あそこに見える中国艦隊に突っ込むのよ!」

愛国おじいちゃん「ママ、そんなの嫌だよ、ママ!」

「保守」を体現するママ「ママがいつも教えていたことをあなたは守らないとでも言うの!そんなことは絶対に許せないわ!」

そして、船員四人に命じて愛国おじいちゃんに無理やり爆弾ベストを着させる!
愛国おじいちゃん「ママ〜、許してよお〜、ママ〜!」
そして愛国おじいちゃんは操縦桿もないただ敵艦に突っ込むだけのボートの船底に縛られた




眼の前には黒黒と浮かぶ中国艦隊
スピーカーの大音量、中国訛の日本語で

「キミタチハスデニワレワレノリョウカイニシンニョウシテイル ワレワレハキミタチニキガイヲクワエルツモリハナイ コノバカラタチサリナサイ」

と聞こえている
周りの海を見ると、愛国おじいちゃんと同じく無数のボートが艦隊に突っ込んていくのが見える
そして、海上のある境界を境に、そこを越えたボートに向けて、中国艦隊が銃砲撃を加えるのが見えた
噴煙に悲鳴、阿鼻叫喚の地獄絵図
ああ、こうしてボクも死ぬのか…


「そうだ一億 火の玉だ〜
一人一人が 決死隊
ガッチリ組んだこの腕で
守る銃後は鉄壁だ
何が何でもやり抜くぞ
進め一億火の玉だ
行くぞ一億 どんと行くぞ!」

愛国おじいちゃんは自然と歌っていた

次の瞬間、耳をつんざく砲弾がボートの近くで破裂し、愛国おじいちゃんは海に投げ出された




「おう、どうやら気づいたようだな」
目覚めた瞬間、そんな声がした
愛国おじいちゃん「ボク…ボクはどうなったの?
ママ…ママはどこ?」
粗暴そうな男「なんだコイツ?ガキみてえな話し方しやがるんだな
お前、いくつだと思ってるんだ?鏡でも見やがれってんだ」
そして鏡に写った自分の姿に愛国おじいちゃんは驚愕した
誰だこの年老いたジジイは…
愛国おじいちゃんはこの時、初めて自分の姿を見たのだった


粗暴そうな男「いいかジジイ、俺達はこの無謀な戦いを止めるためにここにいるレジスタンスだ
お前の愛する国がお前にどんな仕打ちをしたか分かっただろう
俺達に協力するか?」
愛国おじいちゃん「でも、ママは…ママは…」
粗暴そうな男「いつまでママママ言ってやがるんだ
お前の言う「ママ」は、CIAの開発した特殊ホログラム装置内臓のプロパガンダロボットだ!
たまにママの表情が不自然に歪んだりしただろ?それはそういうことなんだよ!」
愛国おじいちゃん「そう言えば…」


そしてレジスタンスに加わることにした愛国おじいちゃん
真実に目覚め、平和を求める愛国おじいちゃんの戦いがここに始まる!