前の記事で、中国の日本人に対するノービザ入国がストップしたまま解除されてない件について話したが、これまで日中関係が悪化しても、こうした実害が出る状況までには至らなかった。
しかしとうとう、経済や民間交流に影響が出るレベルにまで悪化したといえる。
コロナ前にビザ免除されていた3カ国のうち、シンガポールとブルネイは免除再開され日本だけが取り残されたのだから、これは中国の日本に対するメッセージだろうね。
福島の処理水(汚染水?言葉一つで叩かれかねない微妙な問題だ)、台湾をめぐる軋轢、国民感情の悪化、今日本と中国の間は問題がありすぎるくらいあるわけだが、直接的な事の起こりは、以前の記事に書いたことだが、昨年八月のナンシー・ペロシ下院議長の訪台が原因になるだろうか。
これが原因で台湾海峡の緊張が一気に高まったわけなのだが、事実関係をまともに見れば、先に火種を撒いたのはアメリカであって、中国はそれに対して必要な軍事的リアクションを取ったに過ぎない。
本来なら挑発したアメリカを批判すべきなのだが、日本のマスコミはアメリカの挑発はスルーし、中国の脅威のみを煽った。
中国脅威論に染まった世論はそれを丸呑みし、中国の脅威に対抗するための防衛増税が決まったよね。
偏った報道しかしないマスコミと、それに同調する偏った世論。
しかし結局それはアメリカから武器を買うということだった。
確か防衛増税決まった直後、速攻でアメリカは歓迎する声明を出したはずだ。
アメリカにしてみれば自分のまいた火種で日本人が思惑通りに大騒ぎし、武器のセールスにも成功したというわけだ。
日本人が自分の思い通りに動いたことに内心ほくそ笑む思いだったろう。
「日本人は12歳の子供のようだ」とマッカーサーは言ったが、こんな扱いやすい民族はないだろうな。
そして東アジアに争いの火種を作ることに成功し、中国に日本をけしかける代理戦争の布石を打てた。
自分たちの手は汚さずに従属国をけしかけ挑発し戦争を起こさせ、ライバル国を弱体化させる手法は、ウクライナですでに実施済みである。
実際に戦争が始まれば、アメリカはよし来たとばかりに中国を非難し、「民主主義の脅威」だの、「人道上の危機」だの、ヒステリックに叫ぶのだろう。火付け役が何を言うかという話である。
中国=共産主義=悪という単純な価値判断で敵認定し、中国憎しで突っ走る感情論が蔓延している日本人は、それに自分たちの手で歯止めをかけることができるだろうか。
僕たちが日常生活で中国について話すとき、僕は日本人がまるで息を吸って吐くように、当然なことであるかのようにナチュラルな嫌悪感や差別意識を持っているように感じることがある。
政治的得点となる中国叩き。
危機を利用し自分のポイントを稼ぐ政治家と、それに対して、それでこそ日本人だ!と拍手喝采する人々。
僕たちはいたずらに問題を中国のせいにするのではなく、その内在的なマイナス感情の正体について考えるべきなのではないだろうか。
麻生氏「戦う覚悟」発言の異常さ。国交ない台湾との軍事関係強化は外交ルールの逸脱では
「今ほど日本、台湾、アメリカをはじめとした有志の国々に強い抑止力を機能させる覚悟が求められている時代はない」「戦う覚悟だ」「いざとなったら、台湾海峡の安定のために防衛力を使うという明確な意思を相手に伝えることが抑止力になる」などと強調した。
抑止力強化のために「戦う覚悟」を強調したのだが、日米台の連携強化の下で対立を強調されれば、中国は「対中戦争を煽る発言」と受け取るだろう。
日本が台湾問題に首を突っ込むというのはどういうことかというと、1978年の平和条約は台湾は中国の一部という「一つの中国原則」を確認して結ばれたものであるから、日中関係の土台を壊す行為なんだな。
日韓基本条約で慰安婦問題は解決済としたのに何度も蒸し返してくる韓国と同じことをしていると言えば、ネトウヨも少しは目が覚めるのだろうか。
対立をあおっているのはどちらかよく考えてみるとよい。
よく「平和ボケ」と言われるが、防衛力強化しろ!
台湾有事は日本有事!日本も戦う覚悟を!
善隣友好は敵を利する平和ボケだ!
と、 アメリカが作った火種をパタパタ煽り、 火を強くする。
このことこそが平和ボケではないだろうか。