今年8月下旬から城野遺跡の唯一現地が保存された九州最大級の方形周溝墓を「城野遺跡公園」として整備する工事が始まりました。

 

広大な城野遺跡はほぼ全域が破壊されましたが、狭いながらも「城野遺跡公園」は北九州市の弥生時代後期(1800年前/邪馬台国時代)の貴重な歴史を語り続ける大切な場所であり、全滅せず保存活用されることに安堵しました。

 

ところが、10月5日、福岡県の史跡指定範囲である方形周溝墓内にコンクリートのスロープが設置されていることがわかり、文化企画課に確認したところ、「城野遺跡公園」の退避路となる階段の設置工事であることが判明しました。

 

「城野遺跡公園」は、出入口が広かったため退避路は考えず、三方を柵で囲む設計にしたが、今年7月の地元への整備工事の説明の際、一町内会長から「袋小路となっており、安全上退避路をつくって欲しい」と要望があり、必要と判断し、いろいろ検討した結果、もともと通路で窪んでいたこの場所が「最適」と判断し、階段を設置することにしたとのことでした。

 

県の史跡指定範囲であり、工事には必ず立ち会わなければならなかったのに立ち会っていなかったこと、事前に必要だった計画変更申請もしていなかったことも判明し、県の指導により10月中旬から工事は止まっています。

 

11月24日、当会は文化企画課と懇談しましたが、市として初めての史跡整備と言いながら、経過をきくと準備があわただしく、県指定史跡である方形周溝墓を大切に守り、貴重な歴史を語り続ける「城野遺跡公園」として整備活用する緊張感や責任感も疑わざるを得ませんでした。

 

このまま市の計画変更申請を福岡県教育庁が許可すれば、方形周溝墓の復元整備が取り返しのつかないことになることから、10月27日の「抗議文」に続き、12月2日に北橋市長あてに「緊急要望及び質問」の提出、12月3日には福岡県教育庁にも「緊急要望及び質問」を添付して方形周溝墓内の階段設置は許可しないよう「再要望書」を送りました。

 

<緊急要望の主な内容>

① 方形周溝墓内の階段は撤去してください。窪んだ場所は階段設置ではなく修復整備すべき場所です。

② 安全上退避路が必要であれば方形周溝墓外に設置してください(場所も提案)。方形周溝墓には街灯を設置し夜間でも明るくしてください。

③ 方形周溝墓は史跡であり、見学のために散策する場所であることがわかるようにしてください。

④ 方形周溝墓の全面をアスファルトにし、箱式石棺を陶板にする復元整備は見直し、遺構の保存を万全にしながら、外観は芝生や土など自然なものにしてください。

 

北橋市長あての「緊急要望及び質問」を添付します。若干長文ですが、城野遺跡や今回の階段設置についてまとめていますので、お読みいただけると幸いです。

 

 

【動画 城野遺跡発掘調査記録 朱塗り石棺の謎】(14分)

方形周溝墓発掘調査の唯一の録画です。発掘当時の感動がよみがえります。

ぜひご覧ください。ここをクリックしてください。

https://www.youtube.com/watch?v=QxvY4FBnXq0.

 

 

■12月2日に北橋市長に提出した「緊急要望及び質問」です。12月3日に福岡県教育庁にも「再要望書」に添付して郵送しました。

 

■10月5日に着手された退避路(階段)の設置工事。コンクリート部分は全て方形周溝墓(県史跡指定範囲)内です。計画変更申請することなく工事に着手したため、10月中旬から工事は止まっています。現在、市は県に計画変更申請を提出し、県教育庁文化財保護課で検討中です。

 

■当会が提案している退避路の設置場所は黄色の資格部分です。点線は史跡指定範囲です。現在の階段設置場所は遺構を壊していないと聞いていますが、最も重要な周溝に近く心配です。

 

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■当初の整備計画ですが、階段設置の計画はありません。階段設置の工事がされているのは青字の「ココ」の場所です。