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ギリシャ悲劇
「王女メディアの物語」

美術制作メイキングレポ!

第16弾はちょっと番外編的に…

材料のお話、アトリエの諸々のお話を…



東京文化会館での初演の際、
国内におけるダンボール生産の最大手…
レンゴー株式会社さんが、資材スポンサーとなってくださり、なんと!!この「王女メディアの物語」に必要なダンボール素材を全て提供してくださいました!!

これは本当にありがたかったです…。





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品川にあるレンゴー株式会社さんの本社ビルにて打ち合わせ…。


担当の方のダンボールへの愛に私は感動しっぱなしでした。ダンボールのことを語り出すと、まるで愛しい我が子か、最愛の恋人か妻のことを話しているかのように嬉しそうにされるのです。こちらまで笑顔になります。



ダンボールの厚さには色々ありますが、その厚さの単位を、ダンボール業界では「フルート」と言うそうです。ダンボールを長年使ってきた私ですが、これは今回初めて知りました。


厚さ5ミリのダンボールを
Aフルート

3ミリのダンボールを
Bフルート


フルートは「波」の意味で、楽器のフルートとも同じ綴りだそうです。


そのことを嬉しそうに説明してくださる担当者さん。


担当者さん「私はいつもこう言うんです。ダンボールの波のことをフルートと言いますから、ダンボールは、波の彼方から美しい音色が聴こえてくるかもしれませんよ…。て」

私「(絶句)。」



ダンボールへの愛を語り出したら止まらない担当者さん。ダンボールについてこんなにも熱く誰かと語り合ったのは後にも先にもこのときだけです。事務的な打ち合わせをしつつ、ダンボールについての夢を語り合いました。



私が使用するダンボールは全てAフルート(厚さ5ミリのシングル)です!

これは、子ども向けダンボール作品の「お花のハナックの物語」のときからそうです。

子供達とのワークショップでダンボール蝶々などを作る際はBフルート(厚さ3ミリのシングル)を使用していますが、私の舞台では全てAフルートです。ダンボール独特の柔らかさや温かみが生かされるためには、私としてはAフルートが理想的です。


「お花のハナックの物語」の際とは比べ物にならない程のダンボールの量が必要でしたので、この度の資材提供は本当にありがたかったです。

レンゴー株式会社さん、ありがとうございました!!





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ここからはその他の資材について…

ほとんどの接着は布ガムテープと両面テープで行い、一部に木工用ボンドと医療テープを使用します。


ガムテープは昔からコレ!!

テラオカさんの布ガムテープ
同じテラオカさんならどれでも良いわけではございません!





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資材はいつもストックがありますが、稀に在庫切れすることがあります。ネットで注文して待つ時間もないときには急遽、東急ハンズや世界堂へ買い出しに行きます。

自分で買いに行けないときはスタッフさんにお願いします。買い出しに行くスタッフさんが間違えないように、アトリエには理想ガムテープについての説明が用意してあります!w


テラオカさんの「この!」テープでないと、全くもって作業になりません!!

なぜコレでないとダメなのかを説明し出すと今回の投稿が長くなり過ぎるのでこのくらいにしておきます。




そして両面テープは愛しの「ナイスタック・野外掲示用」!!

こちらも昔から愛用しています!



他の製品が出る度に何度かそれらも試しましたが…結局はナイスタックに戻ります。ダンボールと相性が良い!!

素材によっては異なる両面テープを使うこともありますが、ダンボールにはナイスタックです!!

ナイスタック!!響きも良い!!w


ナイスタックの購入だけでもかなりの額でした!!汗。…と、生々しい話…。



そして、液体接着剤は…ナイスタックの後ろに写る、我らの強い味方!木工用ボンド!!

こんなバケツみたいのに入った木工用ボンドがアトリエでは年中みるみるうちに無くなります。



東急ハンズさん、最近、木工用ボンドの大きいのとか、大きなパックの詰め替え、置いてあったり置いてなかったり…。

店員さん曰く…
「あんまり売れないんですよ…。だからって置かないのダメなんですけどね…。」と。

そっかあ…色々事情はあるよな…。確かに、都内で大量の木工用ボンドを東急ハンズで買う人はあまり居ないかも??




とは言え…東急ハンズ様々です!!
東急ハンズが無ければ私の人形劇は完成していません!そして新宿オカダヤ(生地屋さん)!!


新作仕込み期間に入ると東急ハンズと新宿オカダヤへ何度行くことか!?



はい、接着剤の話に戻します…。





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通常の人形制作の際はもっぱらG10が活躍します!

我々の業界では「ジーテン!」と呼ばれることが多いです!

あっちもこっちもジーテンです!





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あとはカネスチック!こちらもよく使います!布系にはカネスチックが活躍します。

用途によって接着剤も様々…。


このジーテンもカネスチックも万能でしっかりと接着されますが、ダンボール美術には木工用ボンドが適します。

木工用ボンドはすぐに乾かないところか難点ですが、それが利点でもあります。つくりながら多少の修正が可能なのです。





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早めに乾かしたいときにはドライヤーが大活躍!
美術チームのSちゃん、グラウケの髪の毛を乾かしているところです。


まつ毛は洗濯バサミで固定中…。


奥に大量の黄色の洗濯バサミが見えるでしょうか??大きめの洗濯バサミです。

今回、制作中にコレを何個使ったことか…。


パーツによっては洗濯バサミで固定をして1日置きます。


木工用ボンドが完全に乾くまでは約12時間!!この乾き待ちも計算に入れて作業をスケジューリングしなくてはいけません。





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作業終盤になると、出来上がってきた作品と、手が足りず増員された美術スタッフさんで…狭いアトリエはギュウギュウです。





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炊き出し!!

アトリエの狭いキッチンで、炊き出しチームがご飯づくり!!


日頃はシアター・ジョウの受付諸々をしてくださっているMちゃん、この日は炊き出しの強い味方!所属事務所のスタッフさんも炊き出しのお手伝いに来てくれました!





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作品の山で食べる場所も無くなってきて…隙間を見つけて交代でご飯!!


外食やコンビニが続いている最中に炊き出しは本当にありがたいです!!


途切れていた集中力が復活してきます!!





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普段は劇の公演をしているシアター・ジョウも工房と化しますが、帰りは毎日お片付け…。





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所定の位置に整理整頓です!!

あ!カッターとかハサミにも色々とこだわりがあるんですけど、それはまたの機会に…。

短めの番外編のつもりがなんだかとてもマニアックで長い内容になってしまいました!!汗。





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第7弾の「メディアの息子編」でのクリップのお話、覚えている方は居ますでしょうか?


制作現場ではデザイン画がとても重要!そしてよく行方不明になる…。同じアイテムでもパーツごとに手分けをして別々な時間に作っていたりもします。帰りは必ず所定の位置に戻して退勤!それがルール!



その際のクリップの話…

未完成は成長過程の意でヒヨコクリップ。
完成品は普通クリップ。

けれどほんとはコレ、赤リンゴと青リンゴにしたい…ずっと探してるけどない…という話。





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Facebookにて、親切なフォロワーさんより素晴らしい情報を頂戴しました!!ありがとうございます!!

そしてゲット!!

横浜の果物グッズのお店「グラシス」さんの通販サイトで取り扱っておりました。


これで次の新作の作業現場が少し楽しくなりそうです!w


未完成組は青リンゴクリップでまとめる!
完成組は「実った!」…の意で、赤リンゴクリップでまとめる!



はい、作業そのものには全く関係ないお話でした…。






「王女メディアの物語」
美術制作メイキングレポ!

残すところあと2つ!!

衣裳のこと、主人公メディアのこと、
これでフィニッシュ!!



ひきつづき、メイキングレポをお楽しみください。

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ギリシャ悲劇
「王女メディアの物語」

ダンボールによる美術制作メイキングレポ!!

いよいよ終盤戦でございます!!

第15弾は竜!!



王女メディアが恐ろしい企みを成し遂げた後、メディアを救い出すかの如く登場する竜…。





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アトリエでの作業最終日…。
この竜だけ出来ていませんでした。


サイズがあまりに大きく、狭いアトリエでの作業が困難だったこともありますが、それよりなにより、あまりに大量な美術アイテムと、予想外の試行錯誤により、美術部員を増員しても作業は押しに押しました。竜は稽古場での制作を決意。





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美術制作が佳境に入ると、我がアトリエで必ず作られるのがこの見渡せるトゥードゥーリスト!通称「プレッシャーボード」!!


それぞれが担当する作業工程を終えたらマル!

斜線消しは我がアトリエでは禁止!無かったことになる気がするからです。



こちらのブログではお馴染みの、衣裳担当のNちゃんが…

Nちゃん「作業を終えたときに、マルするだけじゃなくて何か楽しみがほしい」

私「えっ!?飴とかお菓子?お酒?w」

Nちゃん「いや、シールとか」

一同「(それ良い!!…と歓声)」

私「そんなので良いの!?w」





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その意見を踏まえ、「ハムレット」からはこのシール貼りが採用されました。大人になってもシールは嬉しいものです。





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全体リストとは別に個人リストが。

こちらが正しく!プレッシャーボード!
プレッシャーシート!!

皆、シール貼りたさに作業が捗ります。

この伝統芸は「3びきのこぶた」や「ウォルターのおくりもの」でも引き継がれます。

「ハムレット」や「ウォルターのおくりもの」の美術制作メイキングはまたいつかの機会にお届けするとして…。




メディアの竜の話に戻りましょう。





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広い稽古場を利用して、音楽家さんとの合わせ稽古が始まる前に竜を完成させなくてはいけません。夕方まで立ち稽古を行い。夜は竜!という日々。





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なんと!
人手が足りず…黒衣(くろこ)さんまで竜制作に巻き込まれます!汗。





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竜の顔を運ぶ台車は舞台監督さんによる手作り!

そして、舞台監督さんにもダンボールによる竜制作を手伝ってもらいました。





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何人もの手が掛かり、数日の間に竜が完成しました!





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この竜の顔、
初演となった東京文化会館でのメインステージの奥行きが2メートルと少ししかなく、舞台袖も無いに等しい程狭く…この顔の出し入れが不可能でした。





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そこで、竜の顔はパーツを分け、舞台上で音楽に同調しながら組み立ててゆく…という演出にしました。



会場が新国立劇場となり、竜の顔がそのまま出入りすることが可能となりましたが、この組み立て演出は、怪我の功名ながら、実に場面にマッチしていました。

巨大な竜が徐々にこちらへ近付いてくる恐ろしさが際立ったからです。



そこで、ツアー版となる新国立劇場での演出も、一部のパーツ組み立て方式を残しました。

目のパーツのみ、黒衣(くろこ)さんによって、軽やかに艶やかに、そして恐ろしげに運ばれてゆきます。





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世にも恐ろしい事を成し遂げたメディアは、勝ち誇った表情で、竜の上からイアソンを見降ろします。





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最後のメディアとイアソンの会話は夫婦喧嘩の最上級…。


愛し合っていたはずなのに…

すれ違うメディアとイアソン…



この恐ろしくも詩的な会話が、今から2500年程も前に書かれていたなんて…信じられません。その内容は、おぞましくもありながら、あまりにも普遍的です。


私の脚本では、現代の日本の観客に馴染む翻訳を心掛け、わかりやすい言葉の選択はしているものの、このメディアとイアソンの会話の幹となる言葉の内容は原作のままです。




「王女メディアの物語」は大人向け作品ですが、小学生からの入場が可能です。

とある小学生の女の子の感想…
「パパとママの喧嘩見てるみたいだった。」


うぅ…、なんとも秀逸な感想です。



男と女の言い争い…
太古の昔から受け継がれている伝統芸なのですね。

喧嘩するほど仲が良い…

会話があるということはコミュニケーションがある…ということ。それは素晴らしいこと。

とは言え、メディアやイアソンの様な行動をするちょっと手前で軌道修正できないものなのか…。



劇的な夫婦喧嘩の末路を、どうぞ劇場で堪能してください。


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公演情報
詳しくは…
をご覧ください。




それぞれの入場制限についてのお知らせ
3作全て大人向け作品となりますが、作品ごとに、年齢制限が異なります。

9/30(土)18:00〜
「王女メディアの物語」
未就学児童入場不可。
小学生より入場可。

10/1(日)18:00〜
「はなれ瞽女おりん」
小学生以下入場不可。
中学生より入場可。

10/2(月)18:00〜
「毛皮のマリー」
R-15指定
15才以上の方入場可。





人形劇俳優たいらじょうの世界
「女」三部作 一挙上演
@新国立劇場

開幕まであと…11日!


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ギリシャ悲劇
「王女メディアの物語」

ダンボールによる美術制作メイキングレポ!

第14弾は小道具編!



この舞台では様々な小道具が登場しますが、それらも全てダンボールで作られています。


メイキング第1弾で、今回最も時間が掛かった美術…ショールについてお届けしました。
そして、第11弾では花々について、第12弾では3つの壺について。それぞれ書いて参りましたが、ここで、その他の小道具をザザッとご紹介!!



メディアがグラウケに贈るワケありの品。
黄金細工の冠!





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作りは実にシンプルですが、黒い舞台にとても映えます。

人間の頭にもちょうど良い…。小道具で遊んではいけませんが、我慢が出来ず、思わずかぶってしまいました!汗。気分はグラウケです。


物語の中ではとても恐ろしい冠です。
かぶってはいけません!!大変なことになります!!

虚構と分かっていても、かぶって写真を撮ったらすぐに外しました!汗。恐ろしいですから!





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剣と刀のデザイン画。
左がイアソンの剣。
右がメディアの刀です。

優秀な美術チームの協力もあって、剣と刀もみるみるうちに完成。実は細かな飾りが付けられております。この飾りによって、刃物としての緊張感が出ます!





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この剣を私が身に付けることで、私は黒衣からイアソンへと変わります。





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メディアが刀を持つ姿。
恐ろしい場面です。

小道具を持つ…という作業。
人間であれば容易ですが、人形ではひと苦労…。
このとき、私の右手の指、大変なことになってます。5本の指の全てに神経を注ぎます。

そして左手で持つメディアの首(かしら=顔のことです)の重いことこの上ない!

手と腕の力だけではとても持てません。背筋も利用して、腰を入れながら、カラダ全体で操ります。

ダンボールだと軽くて良いですね…とか時折言われますが、いやいや…汗。

実は…女性ひとりでは操れない重さなんです!男性でも慣れてないと難しいかも。

特に、このメディアは「うなずき」と呼ばれる顔を上下に頷かせるための仕掛けがあり、その「うなずき」を機能させるための「小猿(コザル)」という仕掛けを指で引くのが大変…。私の作品は「うなずき」のある人形の登場がとても多いですが、どれも工夫して作られているため、比較的容易に「うなずき」を機能させられます。しかし!メディアはとにかく顔が重たい!!紙!恐るべし!!テクニックを向上させないことにはカラダが負けてしまいます。

右手同様、左手も全身も大変なことになりながら操るのがメディアさんなのです。そんな人形ですが…カラダと人形が一心同体になり、心が通い合ったとき、とんでもない説得力を人形が生み出してくれます!



そしてこの「うなずき」!!
人形に色気を出してくれるんです!!

私は昔から「うなずき」のある人形が大好き!そして2つの手のそれぞれに操作棒が付けられている「差し金(さしがね)式」の人形が大好き!!なのです。



うう、今回は小道具編でした!メディアについては追ってまた!!





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試行錯誤の炎…。
ダンボールで炎…。

どの美術も、茶色のスプレーでヨゴシメイクこそするものの、着彩はなし!

ダンボールで炎…

これは悩みました!

まずはデザイン画の通り作ると…





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炎に見えない!泣。

全部で6面の炎が必要だったため、ダンボールの切り出し自体はこの写真の6倍の量を既に終わらせていました。

いざひと面を貼り合わせてみると。


誰がどう見ても炎に見えない!!泣泣。


これじゃ蓮の花だ!!



ということで!これはボツ!!!泣泣泣。
これぞ試行錯誤。しょうがないです…。





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炎その2!!
これでイケる…かな!!??

…と思っていたら…

演出助手のKちゃん
「あのお…申し上げにくいのですが…ワカメに見えます。」

ううっ!!確かに…涙。

妥協はしたくない…。


この炎についてはデザインを担当していた私自身も迷宮入りしてしまい、かなり悩みました。


今回、この美術チームの中に、本業でイラストレーターをしているMくんが居ました。炎に迷宮入りした私はMくんに相談。優しいMくん「このワカメバージョンのベースを使って炎にできると思いますよ…。」と。Mくんにも助けてもらい、色々と試行錯誤の末…。





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できた!!

とにかく、

メラメラ…を合言葉に試行錯誤!





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実際の舞台では照明効果も相俟って、炎そのもの!!

蓮の花で妥協しなくて良かった!ワカメで妥協しなくて良かった!!
ボツ組には申し訳ないけど、その過程あってこそのこの炎です!!





さてこの炎のシーン

2幕前半の衝撃的なシーンです。

黒衣チームの動きも美しい…。

音楽と光が見事に絡むシーンです。




そして、この炎のシーンの後の暗転中…実は舞台上は嵐です。東京文化会館での初演の際は生演奏のため、静かに静かに舞台転換でした。

新国立劇場バージョンからは音楽が録音になり、その音楽の長さも3分の1に縮小。短い暗転中に舞台は一気に変わります。

我々は衝撃的な舞台の悲しさに浸ることなく暗闇の中を物凄い速さで転換しているのです。蓄光テープという僅かに光るテープの印を頼りに、黒衣さんと私がぶつからないように必死で舞台転換をしております。

この作品はほとんどのシーンが明転(めいてん=見せながらの転換)ですが、今回はここだけ唯一、しばしの暗転となります。




と、そんな裏話をしましたが、ご覧になる方はただただ劇世界に没頭していただき、暗転中は音楽と共に心を落ち着かせていただければと思います。


このツアー版の「王女メディアの物語」から、音楽は生演奏ではなくなりましたが、それによって、よりスタイリッシュになった場面も多数ございます。また、初演では生演奏を堪能していただくために演奏中は舞台上が暗転だった場面が、今回から見せ転換になったり、原作の詩的な台詞が復活したり、全体的なテンポが良くなりつつ、更に洗練されました。何より、信頼する音響マンMさんとの息の合ったコンビネーション!!堪能してください!!Mさんの技術とセンス…凄いんです。




どうして私は話があっちへこっちへ飛ぶのでしょう…。


小道具についてもまだまだ語りたいところですが、この辺で…。



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公演情報
詳しくは…
をご覧ください。




「王女メディアの物語」
美術制作メイキングレポ
終盤戦に入って参りました!!

ひきつづき、ぜひご覧ください!!




人形劇俳優たいらじょうの世界
「女」三部作 一挙上演
@新国立劇場


開幕まであと…11日!


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ギリシャ悲劇
「王女メディアの物語」

ダンボールによる美術制作メイキングレポ!

数日空いてしまいました!!汗。
ここから巻き返します!!

第13弾は、2人の王様の制作メイキングです。


デザイン画はいつもながらざっくり!!
細かな設計図は頭の中…。

ダンボールを用いてどう表現したいのか…を緻密な絵にするのは難しく、また、それぞれの人形の「顔」については基本的に私自身が作成するため、どこかに発注するわけではありません。

デザイン画については、何をしたいのか…どんなバランスなのかを把握くするための目安!というわけなので、本当にざっくりとしたデッサンです。





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まずは手始めに、デザインが直線的で比較的作りやすい「クレオン」から制作。

劇中の舞台となるコリントスの王です。
威厳はありつつもどこか滑稽な存在…。この2面性を同居させるデザインを心掛けました。

2人の王の美術的イメージは、大きな仮面風…です。舞台上では、さながら盾の様にしながら、この2体を操り芝居をします。

写真はクレオンに「鼻」が付けられる瞬間。
ほとんどの接着はガムテープと両面テープで行っています。ボンドなどの液体の接着剤は使ったり使わなかったり…。また、それらのテープ類ですが、このメーカーのコレでないと!!という色々なこだわりがございます。それらの資材については、追って「材料編」を載せたいと思っております!





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顔らしくなってきました…。





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耳や髪の毛が付けられ更にそれらしくなってきました…。





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冠部分の飾りは即興的に取り付けてゆきます。





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王女メディアの救世主的存在…
アテナイ(現在のアテネ)の王様アイゲウス。
こちらは彼の性格を表すために丸みのあるデザイン。

顔などの私が直接手を動かし担当する美術は、大抵真夜中に仕込まれます。昼間は美術チームへの指示出しに明け暮れますので、人が居なくなったアトリエでしっぽりとこれらの作業をすることか多いです。それと、何故か集中力と創造性が高まるのが真夜中…。台本も大抵夜中に執筆します。これホント朝方に変えたいのですが、どうにもならない…。





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メディアの顔と並ぶとこんな感じです。

色々書きたいですが、この辺にしておきます。




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公演情報
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「女」三部作 一挙上演
開幕まであと…11日!

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ギリシャ悲劇
「王女メディアの物語」

ダンボールによる美術制作メイキングレポ!

第12弾は壺!!





今回の新国立劇場での「女」三部作一挙上演!の開幕前に、他の演目である「はなれ瞽女おりん」や「毛皮のマリー」についてのコラムもお届けしたいので…この辺から「王女メディアの物語」のメイキングレポのペースを上げていかないと全てを終われない!!

がんばらねば!!w




というわけで、今回は壺です!!

前回の第11弾でお届けした「草花人形劇」のこと、そのお話とも繋がります。

劇の冒頭にお届けする、メディアの「乳母」による「草花人形劇」。劇本編に至るまでのギリシャ神話上の歴史、主要の人物達の因果関係を説明パフォーマンスするコーナーです。


この場面では、3つの壺が、この物語に関わる3つの地域を表します。そして、それぞれの壺に、そのそれぞれの地域に居る人々を表した花を生けながら見せてゆきます。花による見立て芝居です。うぅ…、説明が難しい。詳しくはひとつ前の更新をご覧ください!何より舞台をご覧いただくのが一番ですが!



さてこの壺ですが…

生ける花がかなり巨大で大きいため、ダンボールのみでの作成では強度が…足りません。
何か土台が必要でした。

木材で土台を作ることも考えましたが、市販品の何かで土台にならないかと考えました。始めは本物の別な壺や、傘立て、バケツ、植木鉢…などを考えましたが、どれも寸胴過ぎて理想的ではありませんでした。安全性もあり、楕円形で筒状のもの…そこで思い付いたのが…





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お風呂椅子!!

今回、演出助手のKちゃんは、美術制作でも沢山お世話になりました!

他のアイテムを我々が制作している最中、Kちゃん、あちこちのお店でお風呂椅子を物色してくださいました!!

背が高めでしっかりとしたお風呂椅子、いざ探すと中々見つからないのですが、何店舗かを巡り、ようやく理想のお風呂椅子発見!!そしてベースづくりも彼女が受け持ってくれました!





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このメイキングレポの初回でお届けしたショールの話がここで繋がります。


ダンボールで柔らかなショールをどう表現するかで最初に試んだのが、1センチ幅のダンボール帯の編み込みでした。何列か繋がったところで…、これはショールではなくまるでカゴだ!!とこちらはボツ!!しかし何かに使える予感がしたので処分はせずに確保しておきました。どこかに使える、どこかに使える…と、目立つ場所に飾り続けました。





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第8弾でお届けした「草、草、草」編で載せた写真にコレが写っていたのに気付いた方は居ますでしょうか!??

写真右上、ピアノの上に置かれているのがソレです!!


確保しておいて良かったー!!
この編み編みちゃんが、壺で役に立ったのです!!





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この編み込みダンボールを壺に張り付けると…





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なんということでしょう…

まったいらな壺の表面が、それはそれはエキゾチックになるではございませんか…



この後、別現場にて、スプーンによるヨゴシメイクが施され完全な完成となります。



左端の壺
メディアの故郷…コルキスを表現します。
魔力のあるメディア雰囲気を出しました。


右端の壺
メディアの夫イアソンの故郷…イオルコスを表現します。
男社会の権力争いを表現するため、背が高めの壺になっています。


そして真ん中の壺
本編の舞台となる…コリントスを表します。
不気味な雲の流れ、そして、メディアとイアソンが最終的に辿りつき落ち着く場所という安定感、けれども何やら不安が見え隠れ…という雰囲気を表しています。

この壺に…メディアの花(ユリ)とその子どもらの花(2つのチューリップ)、そしてイアソンの花(ヒマワリ)がが生けられる…その様子が冒頭の写真です。

始めは家族揃って生けられいますが、劇が進むと、その壺にヒマワリの花は無く…ユリとチューリップだけが何とも寂しげに生けられているというわけです。


子ども達に巻き起こる残忍な運命の末…、劇の中で、ここの2つのチューリップがどこにあるか(誰が持っているか)、注目してみてください。





アトリエでの話に戻しましょう…


実はこの壺の勢揃いの写真を撮ったときは、アトリエでの作業最終日。
アトリエでの作業ラストは壺の仕上げでした。
写真を見ると、夜中の3:30だったことがわかります。変なアドレナリンが出ていたように思います。


稽古場移動後も作業はまだありましたが、ひとまず、アトリエでの作業はここまで!!


ここから、壮大なる掃除と梱包に朝までかかります。



他のアイテムの美術メイキングレポが終わっていませんが、この流れでその片付けと梱包の話を…





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この日、アトリエ作業最終日の徹夜組を引き受けてくれたのはMちゃん!

彼女が居なければ稽古場入りは出来なかった…。

どんな細かい作業も黙々と熟すMちゃん。元々は某劇団の衣裳さん!その後の「ハムレット」でもお世話になります。みんなの癒し系Mちゃんです。


美術制作の作業…、
作業用アトリエだけではスペースが足りず、この様な大型作品の美術制作期間はシアター・ジョウも工房と化します。こちらの写真はシアター・ジョウの舞台上の片付けの様子。舞台床面が大変なことになってます。新聞紙を敷き詰めて作業をしてたのですが結果はこんな状態。この作品の初演直後、舞台専用の保護シートを作りました。





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公演がないとき、現在はこの保護シートを敷いています。この流れに関係ない写真ですが、現在はワンちゃんが舞台に上がっても安心です!w

可愛い可愛いこのワンちゃんのお話は別の機会にお話するとして…

この保護シートは役者で壁紙貼り職人でもあるSくんのお手製です。この保護シートが出来て以来、シアターでの作業も快適になりました!ありがとうSくん!!




さ、話を戻しましょう。


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全ての梱包作業を終えたのはトラックが迎えに来る直前でした。全部魔法で一瞬で運べたら良いのですがそうはいきません。





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デリケートな美術品は全てボックスに…。





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ボックスの外側にはそれぞれのアイテムの名称が。
この養生テープに名称作戦は、我ら、たいらじょうカンパニーの伝統。w

時々、アイテムの入れ替えがあったり、ボックスを変更したり、取材などで一部のアイテムが必要で取り出し別の場所へ行くことがあったり…。名札が移動出来るこのシステムはとても便利です。



梱包のプチプチに、それぞれ名札を付けるのも重要。くるんであれば良い…と、ついおろそかになりがちですが、公演現場でのバラシ(片付け・梱包)作業の際、この名札があるのとないのとでは作業時間が全然違う…。

「王女メディアの物語」は極めてアイテム数がも多いため、名札と梱包材も大量です。





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ボックスには納まらないアイテムは専用の棚へ。この様な棚が数台ございます。

全ての棚は、我らが舞台監督UさんとHさんの手作り!!美しい棚です!!

この棚のおかげで、デリケートな美術アイテムの全てを安心してトラックに積み込めます!!



まだまだ書きたいことがありますが、今日はこの辺にしておきましょう。



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公演情報
詳しくは…
をご覧ください。




梱包作業のお話をお届けしましたが、美術制作メイキングレポはまだまだ続きます!!


巨大な竜の顔、2人の王様、小道具達、衣裳など…
そして主人公メディアの制作レポも!!…まだ終わっていません!汗。


次回はその2人王様のメイキングをお届けする予定です!



明日以降もぜひお付き合いくださいませ。