【総括・2023年】

今年ほどインパクトの強い1年はありませんでした。

声帯ポリープの摘出手術、
東京文化会館での新制作「ピノッキオ」、
そして「曾根崎心中」の開幕。

アトリエのお引越し…
自宅のお引越し…

「オズの魔法使い」の新演出の開幕、
3年振りの「毛皮のマリ―」の上演、
4年振りの「お花のハナックの物語」の上演、
「ピーターパン」の全国ツアー、
各地でのワークショップ…etc.

ヨーデル歌唱の修行開始!

インスタライブ
「とにかく10時の生配信」のチャレンジ開始!
そして連続200日突破!

これらが全て今年1年の出来事だったなんて…
自分でも信じられません。

長文なので、トピックごとに★で区切りました。
寛大な方、お付き合いいただければ幸いです。


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声帯の手術後、しばらくの沈黙生活。

筆談での生活はとてつもないインパクトでした。
見事な施術によって、私に新たな声を授けてくださった先生、親切な看護師の皆様、そして、困難な状況をご理解くださったお仕事関係者の皆様、支えてくださった家族・友人、応援してくださったお客様に感謝です。


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「ピノッキオ」や「曾根崎心中」のような、私にとって大規模とされる新作が1年の間に2本上演されることは初めてのことでした。この規模の作品はリサーチから含めると2年の歳月を要します。「ピノッキオ」はイタリア語からの翻訳作業…、「曾根崎心中」は古典文学からの現代語訳という繊細な作業…。ピノッキオを終えてから曾根崎…ではとても間に合わず、なにもかもが同時進行で進められました。素晴らしいスタッフの皆々様、ミュージシャン、黒衣(くろこ)さんに支えられ、両作品とも、無事に開幕となりました。全国・世界各地での上演へと繋がることを切に願います。


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14年間過ごしたアトリエのお引越しは実に壮大な作業でした。物件探しに2年の月日を要しました。創作意欲の湧く空間…という私のこだわりは実にわがままな条件ばかり…。しかし、遂に、それらの条件を兼ね備えた素晴らしい空間と出会うことができました。旧アトリエでの最後の美術制作は「お花のハナックの物語」のライオンのタテガミ新調作業でした。私の原点とも言える作品の美術作業をひとりで行う…、静かな締めくくり…、感慨深いものとなりました。そしてこの地での最後の仕事は「オズの魔法使い」の黒衣(くろこ)さんとのお稽古。思い起こせば、このアトリエを使い始めた2009年は「オズの魔法使い」の上演に向けて準備をしている頃でした。オズで始まりオズで終わるアトリエとなりました。


西新宿から代々木へ…



新たなアトリエは都内を一望でき、広大な空を眺めることのできる最高の空間です。新天地へのお引越し後の最初の上演作品は「オズの魔法使い」。やはり、私はこのオズという作品に何か導かれているのでしょうか。節目を共に迎えるオズがまた愛おしくなりました。そしてこの地での最初の美術制作は「曾根崎心中」となりました。美術チームの面々も居心地の良さを絶賛してくれて、瞬く間に、皆がこの環境に馴染み、ずっと昔からここで創っていたかのようだ…という声が。そんな環境に出逢えたことは奇跡です。物件捜索・契約の諸々にご尽力いただいた方々に感謝です。




そして、ご縁の皆々様が、新しいアトリエの窓にロールスクリーンを寄贈してくださいました。仲間の愛情を日々感じながら創作に励んでおります。


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長らく上演が途絶えていた作品も続々と再開いたしました。
特に、「オズの魔法使い」や「お花のハナックの物語」は、客席での演出が必須となる作品です。これらの上演の再開は実に嬉しいものでした。




「オズの魔法使い」は脚本やナンバーを再構築し、3時間近くあった当初のバージョンから2時間バージョンに凝縮!ダイナミックなスケールはそのままに、より幅広い世代にお楽しみいただける作品となりました。




2020年にパンデミック渦で初演を迎えた「ピーターパン」(初演は無観客ライブ配信)も、遂に客席演出が解禁!ティンカー・ベルやピーターが、念願叶って客席内を自由に飛び回れるようになりました。子ども達はもちろん、大人達も大興奮する姿に…、コレコレ、やっぱりコレだよね…と、こちらも大興奮。ワークショップでのマスクも遂に外され、子ども達の豊かな表情と向き合えたことも幸せでした。



「毛皮のマリ―」の再演も大変に嬉しい出来事でした。今の年齢を迎えたからこそ見えてくること、表現できること…があり、多くの新発見と共に、新たな気持ちで上演を迎えました。この作品は来年、更に新たな展開を迎えます。お知らせをお楽しみに!


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兼ねてよりレッスンを受けている「フランス語」に加え、今年から「ヨーデル」のレッスンを始めました。フランス語もヨーデルも、全ては声と演技の質的向上のため…です。フランス語の中に存在する独特な響きの数々、なんとしても習得したい…、そして、長らく解明できずにいたヨーデル。歌を聞くだけでは真似ることすら出来ず、どうなっているのだろう…とずっと興味がありました。

この度の声帯手術を受け、新たな健康的な声を手に入れ、今こそ挑戦のときだ!と思い、レッスン受講を決意しました。目からウロコの連続…。そういう仕組みだったのか…と感動。

まだまだ入口に立った程度ですが、新たな歌唱法の習得に、これまた大興奮の日々です。素晴らしい技を、根気よく丁寧にご指導くださる先生に感謝です。インスタライブでは時折ヨーデル披露をさせていただいておりますが、舞台に取り入れる日はそう遠くないかも…?本番前の発声練習では既に必須項目となっております。これほど声帯が柔軟に目覚めてくれる発声法は、今のところ、ほかには知りません。学び始めて本当に良かった!!


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今年、私に絶大なインパクトを与えたのは、なんといっても…
インスタライブ「とにかく10時の生配信」です。

声帯手術を受け、沈黙生活、リハビリを経て、遂に「舞台発声解禁!」と先生からお許しをいただいたタイミングで、この声が皆さんに届く新たな挑戦をしたくなりました。これといった計画性もなく衝動的に生配信を始めたのは今年の6月1日。今日から毎晩10時に生配信をします!!と始まったこのチャレンジ企画。お引越しや新制作のてんやわんや…、体調を崩した時も、遠征先のホテルからも、移動中の新幹線のデッキからも、飲み会へべれけの最中からも、稽古後、本番後、どんなときでも夜の10時に配信を続けてきました。

最初は2週間くらい続けば良いかな…と思っていたこの生配信。視聴者さんの応援に励まされ、気が付けば…、その連続チャレンジは200日を超えました!

もちろん、今晩の大晦日も実施予定!実現すればチャレンジ連続214日目となります。

この配信は、言わば「リアルドキュメンタリーショー」。どんな状況でも、とにかくその日の夜10時にそのときの心境を語るという淡々とした企画ですが、思いがけない大爆笑や涙…、ほっこりしたり、ためになったり、視聴者さんとのライブでの相互作用によりたくさんの感動が生まれています。どこまで続くか分かりませんが、この挑戦をもう少し続けてみようと思っています。


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そんなこんなで、長くなりましたが、私の2023年を振り返らせていただきました。

今年を無事に乗り越えることができたのは、家族・友人・仕事仲間、関係者の皆様の支え、お客様からのご声援があってこそです。本当にありがとうございます。

活動に際して何よりの糧となる舞台公演の場を企画してくださる各地の主催者の皆様に、心より御礼申し上げます。今後とも、どうぞよろしくお願いします。

また、活動を持続させていくための多大なご支援も頂戴いたしました。何度も倒れそうになっては手を差し伸べていただき、多くの励ましてと応援、お導きをくださる方々に、心より感謝申し上げます。

この年末年始も、次なる企画の準備に励んでおります。情報公開は少し先になりますが、お知らせを楽しみにしていただけると幸いです。ここまで続けてきたからこそ実現する企画の数々が、皆様と対面するのを心待ちにしています。実現するその日まで、健康管理に努め、更に芸を磨きつつ、鍛錬を重ね、備えて参ります。劇場や配信で、皆様にお会いできるのを楽しみにしています!

この文章を最後まで読んでくださる奇特な方がどれほど居てくださるか謎ですが、大切な記録のひとつとして残させていただきます。

全て読んでくださったあなたに…
「よく読んでくれたで賞」を授与させていただきます。
授与された方はコメント欄で教えてください。

今年も、本当にお世話になりました。

2024年も、皆様が健やかに幸せ暮らせることを願って、ご挨拶とさせていただきます。

来る年も、どうぞよろしくお願いします。

2023年12月31日 大晦日
平常/Jo Taira