こちらの写真は…先日の「ピーターパン」ライブ配信の裏側です。


私にとってはセンセーショナルな体験となりました。これも、2020年の混乱がなければ経験できなかったこと。新しい時代の中で自分に何ができるのか…、この模索を益々深めていきたいと思っています。


今年、新たなウィルスの登場まもない頃、私は自分のキャリアの中でも初となった〈裏方に徹する本格的な舞台〉に挑戦することができました。


東京文化会館にて上演された…歌劇「400歳のカストラート」にて、脚本・演出・美術を担当させていただきました。客観視に全力投球することで得た経験は紛れもなく豊かな経験となり、その後の自分の舞台にも大きな影響を与えられるものとなりました。


「400歳のカストラート」初演の1週間後、愛知県武豊町では「毛皮のマリー」の上演がありました。昨年のロングラン公演を経て迎えたこの公演はこれまでのマリーにはなかった極限的な充実感を得ることができました。


その愛知県での公演から1週間後、全国・全世界の劇場が閉鎖へと追い込まれました。


カストラートもマリーも…、今思えば奇跡的に迎えることのできた公演。上演日が少し遅ければ中止となっていたことでしょう…。


その後、春から夏に予定していた全ての公演がキャンセルとなり、この先どうなってしまうのだろうという不安を抱える日々を迎えました。同時に…あたりまえの幸せを噛み締め、芸術がもたらす可能性を追求・模索する機会にも恵まれました。


予定されていた公演について実現するかどうかの話し合いは日々重ねられてゆきました。


当初の予定を変え、人数を制限しての講演会形式になったイベントやリモート形式のワークショップなどもありました。あらゆる課題を乗り越え実現へと導いてくださった主催者の皆さん、リスクを承知で参加してくださったお客様に感謝申し上げます。また、中止に伴ってのご心配やご配慮をいただいた主催関係者の皆様にも感謝申し上げます。


自粛期間を経て最初の公演は故郷の北海道で迎えました。飛沫防止の観点から、客席での演出を排除し、全て舞台上で完結する構成での上演。これもまた実に刺激的で貴重な体験となりました。


そして…
秋の新作公演
「ピーターパン」


美術制作も感染対策を徹底し、作業人数を細かく分け地道に制作を重ねました。


長年に渡り実現を夢見た作品。


本番は…、無観客上演・オンライン配信という異例の初演を迎えました。自分だけでは到底叶わないシステム環境を実行委員会の皆さんが見事に構築してくださいました。


ターニングポイントは時間を経てから気がつくものなのでしょうが…、このオンライン配信での公演は間違いなく私にとってのターニングポイントとなりました。


「劇場」にほとばしる濃密な空気感…、あの奇跡のような時間を体験している者として、その体験を新たな時代にどう伝え共有していくのか…。神様に新たな宿題を渡され試されているような思いです。


自分に与えられた使命を信じ、探究し、模索し、鍛錬を重ね、新たな時代を全身全霊で大歓迎したいと思います!


お世話になった皆々様、全ての関係者の皆様、家族、友人、そしてお客様、応援してくださっている皆々様、いつもいつも…本当にありがとうございます。2020年も生きていることができました。


全ての出来事、全ての出会い、全ての経験がお恵みでした!どうか来年も、何卒よろしくお願いします!


皆さん、良いお年を!
どうかご無事で!健やかに!


お伝えしたいことは山ほどあるのですが、気がつけばもうあと数時間で新年!駆け足な乱文となり恐縮ではございますが、本年の大晦日の御挨拶とさせていただきます。



2020年
大晦日

平常/Jo Taira