これまでも、公演などで何度か訪れたことのある広島。
ですがこれまで伺わずに居た場所があります。
「原爆ドーム」
スケジュールがいつもハードだったこともありますが、通り掛かりに“立ち寄る”という感覚ではいられなかったのと、その場所に行くこと自体に正直、恐怖がありました。
ですが日本人として、今を生きる人間として、その場所を感じるべき…と思い、北九州での公演後、小倉駅から新幹線に乗り、広島にやって来ました。
広島駅で路面電車に乗り換え向かいました。
梅雨時とは思えない程の広島の晴れた空。
夏目前の暑さと梅雨時期独特の湿度があるものの、外を歩くのが気持ち良い日。
広島の空…、
同じ日本でも違う印象を受けます。
広島独特の空の雰囲気があります。なぜかジンと来る空です。
晴れ空の下辿り着いた原爆ドーム。
目の前にすると衝撃を隠せません。靴を履いて普通に歩いている自分の姿さえ何なんだろう…と思ってしまう…。ごめんなさい。今はあまりうまい言葉で語れません。
「平和記念資料館」には様々な展示がされていました。昼過ぎに入館したのですが気が付けば閉館時間に…。一日では受け入れきれない内容でした…。
なぜこんなことが起きてしまったのか…。
もしそこに自分が居たら…。
想像ではとても追い付かない想像を巡らしていると時間が止まったような感覚になりつつ、気が付けば沢山の時間が過ぎていました。
今も残る語り尽くせない程の被害の辛さも当然の衝撃ですが、私は原爆投下までの経緯が記されたコーナーはあまりにあまりな衝撃でした。これまで報道などではあまり切りとられていない部分というのもありますが…自分の無知を反省しました。
私の人形劇が、ドイツやアメリカで普通に上演されたことも、少し時代が違えば行くことすら許されない…。
何と言うことでしょうか。
もっと早くこの場所に訪れておきたかった。今まで伺わなかったことを後悔しました。
日本が戦時中、私はその場所に居たわけではありません。しかし今、被爆体験者の生の声を聴き、触れ、感じることができます。
でもいつかはそれらの「体験」を語り継ぐ人がこの世にはいなくなるのも事実であり、私の命があれば、いつかは体験者が居ない世の中を生きることになります。
これからは、私達が伝えてゆかなくてはいけない…。私達の使命として…。
人間は戦争をする生き物ではありません。人間は戦争をするために生まれてきてはしていません。人間は戦争を繰り返してはいけません。
いかなることがあろうとも…、どんなことがあろうとも…、人間が人間の命を奪う権利などありません。
この世に生まれさせてもらったこの体…、どの体にも尊い心があり、その心と体にはとっても大切な役目があり、その役目を全うするために生きるのです。内容はそれぞれ違っても、皆が他者の幸せを考えとき、健全な暮らしが出来、その上でまた更に…誰かの役に立てるのだと思います…。
私には今、命があります。水も飲めます。話すことも出来るし、歩くことだって出来ます。だから出来ることが沢山あります。この命を大切に抱きながら、これからも人々に「心の栄養」を届けます。それが今の自分に出来る最大の役目と信じながら…。