東北大学、東京大学、マイアミ大学のグループが静磁場中で起電力が生じる「スピン起電力効果」を実証したそうです。

(論文のファーストオーサーのファム・ナム・ハイさんは、東大の博士課程の学生さんのようです。)


約180年前に発見されたファラデーの電磁誘導の法則では、発電するためには磁場中でコイルを動かす、あるいは、コイルを固定しておいて磁場を動かす必要がありました。

ところが、今回の研究成果によると、何も動かさなくても起電力が生じるというのです。

ビックリです。


詳しい原理はさっぱりわかりませんが、磁場中で上向きスピンの電子と下向きスピンの電子の間にエネルギー差を生じるゼーマン効果を利用しているそうです。

熱湯に入れると起電力が回復する電池とか、磁石にくっつけておくと起電力が回復する電池とか、なんか、すごいものが作れる可能性がありそうな気がします。


下の解説記事のPDFに入っている図を見ると、閃亜鉛鉱型(zinc-blende)MnAs(マンガン砒素)驚くほど複雑そうなデバイスを作っていることがわかります。

どこから出てきた発想なのか、ビックリしまくりです。



東北大学金属材料研究所、電気・磁気変換の新原理「スピン起電力」の実現に成功

電気・磁気変換の新原理「スピン起電力」の実現に成功
-ナノデバイスによる新しい電磁気学と「超」巨大磁気抵抗効果-

 東北大学金属材料研究所の 前川禎通教授、東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻の 田中雅明教授、及び米国マイアミ大学のS.E.Barnes教授の研究グループは、強磁性ナノ粒子を含む磁気トンネルデバイスにおいて、静磁場により起電力が発生する「スピン起電力」の効果の存在を世界で初めて実証した。本研究は電磁気学の基本法則を約180年ぶりに拡張し、トンネル磁気抵抗デバイスを用いて実験的にも証明したものである。さらに、この「スピン起電力」により、従来技術の1000倍となる抵抗比100,000%を超えるきわめて大きな磁気抵抗効果を実現した。これにより、磁気エネルギーから電気エネルギーへの効率的な変換が可能になり、新しいタイプの電池「スピン電池」や超高感度磁気センサーとしての応用が期待される。本研究成果は英国科学誌「Nature(ネイチャー)」Online版(2009年3月8日付)に掲載される。

http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=214444
(PDF)http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0214444_01.pdf



実証した元論文

"Electromotive force and huge magnetoresistance in magnetic tunnel junctions", Pham Nam Hai, Shinobu Ohya, Masaaki Tanaka, Stewart E. Barnes, Sadamichi Maekawa, Nature, advance online publication 8 March 2009

doi: 10.1038/nature07879

http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/abs/nature07879.html



理論の論文

"Generalization of Faraday's Law to Include Nonconservative Spin Forces", S. E. Barnes, S. Maekawa, Phys. Rev. Lett. 98, 246601 (2007)
DOI:10.1103/PhysRevLett.98.246601
http://link.aps.org/doi/10.1103/PhysRevLett.98.246601




追記

とりあえずは、ごく低温での話しのようです。


近くに磁石置くだけで発電「スピン起電力」…東大チーム
3月10日9時11分配信 読売新聞
 田中教授らは、ガリウムやヒ素、マンガンなどを材料にして、特定の向きのスピンを持つ電子だけが出入りできるような微細な磁石の粒を素子の中に作り、強めの永久磁石に相当する磁場の中に置いた。
 すると、21ミリ・ボルトの電圧が発生した。実験時の温度は、零下270度近辺と極めて低いが、半導体の作り方を工夫すれば、室温でも同様な現象を引き出せる可能性がある。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090309-00000706-yom-sci




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