カーボンナノチューブ(CNT)は炭素原子が筒状に並んだ(黒鉛のシートを丸めたような)炭素の同素体で、さまざまな電子的な素子(デバイス)への応用研究が続けられています。

しかし、炭素の並び方(カイラリティー)の違いにより、CNTには金属的な性質を示す分子と半導体的な性質を示す分子が存在します。

CNTで作ったデバイスに異なる性質のCNTが混ざっていると様々な支障をきたすため、CNTを種類ごとに分離するのが望ましいのですが、簡便は方法はありませんでした。



今回、産業技術総合研究所(産総研)で、金属型と半導体型の単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を分離する非常に簡便な方法が開発されました。

その方法とは・・・


1.SWCNT入りのアガロースゲル(寒天のゼリー)を作る。

2.1のゼリーを冷凍する。

3.2のゼリーを解凍する。

4.指で搾る。

(搾って出てきた液体には金属型が含まれ、ゼリーの残りには半導体型が含まれる。)


物理的に搾るというのが面白いですね。


SWCNT入りのゼリーを遠心分離して液体とゼリーにすると金属と半導体を分離できるとわかったことを元に、高野豆腐を見て、この冷凍-解凍という方法を思いついたらしいです。


分離できる原理は、金属型と半導体型でゼリーに対する吸着力が違うから、のようです。



詳細は

産総研:プレス・リリース 金属型と半導体型のカーボンナノチューブを極めて簡単に分離

http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2009/pr20090304/pr20090304.html



Nano Letters掲載論文

"Simple and Scalable Gel-Based Separation of Metallic and Semiconducting Carbon Nanotubes", Takeshi Tanaka, Hehua Jin, Yasumitsu Miyata, Shunjiro Fujii, Hiroshi Suga, Yasuhisa Naitoh, Takeo Minari, Tetsuhiko Miyadera, Kazuhito Tsukagoshi, Hiromichi Kataura, Nano Lett., Publication Date (Web): February 25, 2009 (Letter)
DOI: 10.1021/nl8034866
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nl8034866