イグノーベル賞 (Ig Nobel Prize) とは、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられる賞です。
去年(2007年)はウシのふんからバニラの芳香成分「バニリン」を抽出した山本麻由さんが化学賞を受賞しました。
それ以前には、バウリンガル(2002年 平和賞)、カラオケ(2004年 平和賞)の発明者などが受賞しています。
(詳しくはWikipedia をご覧ください。)
今年は「粘菌が迷路を解く」ということを発見した中垣俊之・北海道大准教授らがイグ・ノーベル賞の認知科学賞を受賞しました。
南方熊楠さんが研究したことで有名になった真正粘菌(変形菌)は、あるときはカビやキノコのように振舞い、あるときはアメーバのように振舞うという、植物と動物の性質を併せ持つような奇妙な生物です。
脳も神経も無いのですが、次の2ステップで迷路を解くそうです。
(1)アメーバ状の粘菌(単細胞、多核)を迷路に置くと、粘菌迷路全体に広がる。
(2)迷路の入口と出口にエサを置くと、入口と出口を最短で結ぶ経路を残す形に縮まる。
単細胞のくせに、すごいですね。
詳しくは
不思議なアメーバ生物―粘菌に学ぶ賢い計算法―
http://www.hokudai.ac.jp/bureau/populi/edition16/toku7.html
粘菌に関しては以下のページの説明がわかりやすそうです。
真性粘菌のページ
http://homepage2.nifty.com/halhy/nenkin.html
「迷路の近道、菌でも探せる」中垣氏らにイグ・ノーベル賞
2008年10月3日11時08分 読売新聞
ノーベル賞をもじって、ユーモアあふれる研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が2日、米ハーバード大で行われ、単細胞生物の真正粘菌が迷路の最短経路を見つけることを発見した中垣俊之・北海道大准教授ら6人に、今年の「認知科学賞」が贈られた。AP通信が伝えた。
中垣准教授らは、真正粘菌が迷路全体に広がった後、エサを迷路の入り口と出口に与える実験を行った。粘菌は、最短経路以外に広がっていた部分を次第に縮小し、最後は1本の管状になって両端でエサを食べる最も効率的な形になった。「脳も神経もない原始的生物でも、高度な情報処理機能をもつ」として8年前、英科学誌ネイチャーに発表した。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20081003-OYT1T00264.htm
元論文
"Maze-solving by an amoeboid organism", Toshiyuki Nakagaki, Hiroyasu Yamada, Ágota Tóth, Nature, 407, 470 (2000)
doi:10.1038/35035159
http://www.nature.com/nature/journal/v407/n6803/abs/407470a0.html
最新の総説
手老 篤史、小林 亮、中垣 俊之 :
「アメーバの迷路解きに学ぼう」, 数理科学, NO.535, 7-11, (2008)
その他の論文、総説等は下記サイトを参照してください。
NAKAGAKI Toshiyuki(北海道大学)
http://www.es.hokudai.ac.jp/labo/cell/indexTNV2.html
関連ニュース
だいたい正しい 世界最低速の計算機
2008年11月4日 中日新聞
世界がスパコンの速さを競う中、理化学研究所で「世界最低速の計算機」が開発された。そのうえ、単細胞でときどき間違えるのが特長という。まるで私のようだ-と思ったら大正解。人間の脳のように情報を処理する未来の計算機のヒントがその中にあるのだという。
計算機は「巡回セールスマン問題」を解いているところだった。四つの都市ABCDを一度ずつ訪ねて元に戻る場合、どう回れば効率的かを決める問題。都市数が増えると計算量が急増する難問だ。
円盤を詳しく見ると中央に十六本の放射状の溝があり、中心に縮まった粘菌がいる。溝にはA1~A4、B1~B4、C1~C4、D1~D4の番号がついている。例えばB3は「B市を三番目に訪問する」ことを指す。
やがて粘菌が、いろいろな溝に“手”を伸ばし始める。図中央の答えのように最終的に「A4、B3、C2、D1」の溝に手を伸ばすと、DCBAの順に都市を回るという答えを表す。
同じ都市は二度訪問できない。Aの溝を二度選ばないよう、いったんAを選ぶと、ほかのAの溝に自動的に強い光が当たる。粘菌は光を嫌うので残りのAには手を出しにくい。こうしてルールを与えると、一時間ほどで四本の溝に手を伸ばして答えに達する。
普通の計算機はこれで終わるが、この計算機は違う。伸縮を繰り返す性質のため、粘菌は再び手を縮めて答えをご破算にし、別の答えを探し始める。
この問題は正解の逆回りも正解だ。そんな残りの解も探す。途中たまに間違って少し遠い道順を示したり、ごくたまに最悪の遠回りを選ぶこともある。この計算機は「だいたい正しい答え」を見つける能力を持つのだ。
原さんは「サッカーで最適なパスを厳密に計算すると時間がかかる。人間はだいたいよさそうなコースにパスを出し、十回に一回ぐらい得点を得る」と、その能力の重要性を説明する。今の計算機の苦手な分野だ。
http://www.chunichi.co.jp/article/technology/science/CK2008110402000183.html
【NHKプロフェッショナル様】頭がいい単細胞 爆笑問題も負けた!
2009年12月20日15時55分 / 提供:J-CASTテレビウォッチ
http://news.livedoor.com/article/detail/4513770/