DNAはたんぱく質の設計図ですから(DNAがアミノ酸の順番を決めている)、DNAに異常が生じればたんぱく質が異常になるのは当然です。
しかし、たんぱく質の構造はアミノ酸の順番だけでは決まらないので、難しいです。
BSEなどのプリオン病の原因は、異常プリオンの蓄積によるものだとされています。
異常プリオンは、通常、正常プリオンたんぱく質の構造(2次構造)がらせん状(αへリックス)からシート状(βシート)に変わることによって生じます。
この異常プリオンには正常プリオンを次々にβシート構造に変えていく働きがあるため、最初はごく微量の異常プリオンであっても、長期間経つと、発症するに十分な異常プリオンが蓄積する可能性があります。
下記のPLoS Pathogensに掲載された論文は、αへリックスからからβシートに変化するのではなく、遺伝子の異常によって、最初からβシートのプリオンが出来るケースが確認されたということのようです。
人間には遺伝性のクロイツフェルトヤコブ病(CJD)というものがありますし、BSEについて予想できたことだと思いますが、確認されたのがたぶん初めてということでしょう。
遺伝性のBSE発見、牛の体内で異常プリオン
9月12日23時4分配信 読売新聞
BSE(牛海綿状脳症)の病原体である異常プリオンが、外部から感染しなくても、遺伝子の変異によって牛の体内で作られ、発症につながる例もあることが、米農務省国立動物病センターなどの研究で分かった。
研究したユルゲン・リヒト現カンザス州立大教授は「BSEがないと言われているどの国でも、この病気は発生しうる」と指摘、専門誌プロス・パソジェンズに11日発表した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080912-00000071-yom-sci
突然変異で異常プリオンをつくる遺伝子が出来たとしても、それが遺伝するかどうかは別問題なので(生殖細胞にその遺伝子がなければ遺伝しない)、「遺伝性のBSE」というタイトルの付け方にはちょっと疑問が残ります。
アメリカとしては、突然変異は世界中どこでも起こる可能性があるのだから、神経質になっても仕方ないと言いたいのかもしれません。
元論文
"BSE Case Associated with Prion Protein Gene Mutation", Jürgen A. Richt, S. Mark Hall, PLoS Pathog., 4(9): e1000156 (2008)
doi:10.1371/journal.ppat.1000156
http://www.plospathogens.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.ppat.1000156