7/9放送のNHK「ためしてガッテン」で「驚きの氷早作り技」として紹介され、ネット上で話題になっています。
常識逆転! お湯は水より早く凍る
氷を作るとき、普通は、水とお湯では水のほうが早く凍ると思うことでしょう。しかし!約20℃以上の水ならば、なんと温度が高いほど早く凍るのです。
http://www3.nhk.or.jp/gatten/archive/2008q3/20080709.html
Wikipediaより
ムペンバ効果(-こうか、Mpemba effect)は、特定の状況下で高温の水がより低温の水よりも短時間で凍る現象のことである。雑誌 New Scientist (en) は、この現象を確認したい場合、効果が最大されるよう摂氏35度と摂氏5度の水で実験を行うことを推奨している。
(「ムベンバ効果」ではなく、「ムペンバ効果」です。)
本当なのでしょうか?
ニセ科学のニオイがしますけど。
理科実験で有名なNPO法人ガリレオ工房の理事長で東京大学客員教授の滝川洋二さんは、この現象を「対流によるもの」と説明しています。
対流によって、お湯の方が早く冷えるということです。
水のおもしろ実験「お湯が先に凍る?」|「安全でおいしい水プロジェクト」オフィシャルサイト
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/tokyo-sui/kids/kids_jikken17.html
ホンマかな?
冷却過程をサーモグラフィーで見てみたいものです。
他には「気化熱(蒸発熱)」や「過冷却」が原因ではないかという説があるようです(Wikipediaなど参照)。
「気化熱」説は、温度が高いほうが蒸発が激しいから、お湯の方が早く冷えるということでしょう。
ホンマかな?
「過冷却」とは、液体が凝固点以下になっても固体にならない現象のことです。
「過冷却」説は、「対流」説や「気化熱」説と異なり、水から凍らせた方が温度は低くなっているのだけれど、なんらかの原因によって、水の方が過冷却になりやすいということでしょう。
「なんらかの原因」が曲者ですが。
(「なんらかの原因」のひとつとして、水のクラスター構造が挙げられています。)
http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/~yoshino/Lect/water/chapter12.pdf
早稲田大学名誉教授の大槻義彦さんは、この「ためしてガッテン」の内容を「誤放送」として批判しています。
―大槻義彦公式ブログ― powered by ココログ: 7月 第2回 【ムペンバ効果】
http://ohtsuki-yoshihiko.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/72_2893.html
実験状況によってはお湯の方が先に凍るということを、必ず起こる現象のように放送したのがマズイということなのでしょうね。
様々な要因が考えられそうなので、「物理現象」として解明するのは難しそうです。
小学生や中学生の自由研究に、温度や容器をいろいろ変えて実験してみると何かわかるかもしれませんよ。
「水よりお湯の方が早く凍る!」 「ためしてガッテン」実験は本当か
7月26日18時25分配信 J-CASTニュース
水よりもお湯の方が早く氷になる――。NHKがこんな氷の早作り技を番組で紹介したところ、早大の大槻義彦名誉教授がブログで「物理学で未解明」などと激しく批判。一方、NHKでは、「実際に実験で確認しており、番組に問題はない」と反論している。
(略)
番組制作に当たっては、北大低温科学研究所の前野紀一名誉教授が監修したとしている。さらに、「その監修に沿って、番組では、まだ未解明の部分が多いことにも触れています」と理解を求める。
大槻名誉教授とNHKは主張が対立している形だが、物理学界では、ムペンバ効果をどう見ているのだろうか。
J-CASTニュースが、何人かの専門家に聞いたところ、ムペンバ効果を知る人はいなかった。
そのうち、ある国立大の講師は、この効果のことを話すと、懐疑的な見方をした。「水は高温にすると、泡が出て空気が抜けます。ゴミなどの不純物があればそれを核にして一気に凍りますが、空気も不純物と考えると、それが抜けたお湯なら、なかなか凍りにくいかもしれません」
一方、京都大の小貫明教授は、効果が現れる可能性を指摘する。「お湯の場合、蒸発すると冷える潜熱があることと、水と空気の対流によって熱が運ばれたのかもしれません。即断はできませんが、何か理由があるのでは」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080726-00000001-jct-soci