惑星探査機ボイジャー(Voyager)からのデータによって、太陽系(solar sistem ソーラーシステム)は卵型であることがわかったそうです。
興味深いですね。
でも、これで教科書書き換えが必要かというと、そんなことはありません。


水星から海王星までの8個の惑星の軌道はほとんど円形です。
冥王星になると、ちょっとゆがんでいますが、卵形は言い過ぎです。
ニュース記事に「太陽系は円形ではなく卵形、NASA研究」なんていう見出しがつけられていると、海王星、冥王星の軌道が卵型かと思ってしまいますが。


今回ヴォイジャーが明らかにしたのは、惑星が回っている軌道の外側の「太陽圏」(heliosphere ヘリオスフェア)の形です。
したがって、高校の教科書でも発展的な内容として扱ってもいいかもしれない(一部の大学入試では応用問題として出るかも?)というレベルの話だと思います。
基本的には従来の教科書で全く問題ありません。


Wikipediaの「太陽系 」のところの画像がわかりやすいかも。


太陽圏

Wikipediaより
太陽から放出された粒子(太陽風)は、エッジワース・カイパーベルトの外側にある末端衝撃波面を越えると恒星間空間を満たす星間物質や宇宙線の抵抗によって減速し、やがて星間物質の一部となる。太陽風が到達する範囲を太陽圏(ヘリオスフィア)、その境界面をヘリオポーズと呼ぶ。太陽が銀河系の中を公転しているため、その進行方向ではヘリオポーズは太陽に近く、後方では遠くなる。ボイジャー1号は21世紀初頭に末端衝撃波面を通過し、ヘリオポーズのすぐ内側のヘリオシースを飛行中である。


今回のボイジャー2号の成果によると、末端衝撃波面(termination shock)の形が上図よりもっと楕円になるということでしょうか?
(上の図は今回のネイチャーの論文が出版になる前に書かれていたっぽいです。誰が書いているのか知りませんが、すごいですね。)




HIGHLIGHTS
Nature vol.454 (7200), (3 Jul 2008)
Cover Story: 太陽圏から離れる:ボイジャー2号からの報告
ボイジャー2号は、2007年8月30日、太陽風末端衝撃波面を通過し始めた。この領域は、太陽と銀河系内の他の領域との相互作用によって形成される境界で、超音速で吹き出す太陽風が周囲の星間物質に押しつけられるために急激に減速している。今週号の5編の論文では、ボイジャー2号から送信されてきたデータが紹介されている。この探査機は、ボイジャー1号に比べて15億キロメートルも太陽に近い位置で衝撃波面を通過しており、このことから太陽圏が非対称であることがわかった。プラズマ実験(p.63)、低エネルギー粒子(p.67)、宇宙線(p.71)、磁場(p.75)、プラズマ波検出器(p.78)から得られた各データから、数日ではなく数時間のスケールで形を変化させる、複雑で活動的な衝撃波面が明らかになった。
http://www.natureasia.com/japan/nature/updates/index.php?i=67100

(↑登録が必要です。)


動画(英語)
Streaming video: Voyager
http://www.nature.com/nature/videoarchive/voyager/




News and Views
"Solar System: A shock for Voyager 2", J. R. Jokipii, Nature 454, 38-39 (2008)
doi:10.1038/454038a
http://www.nature.com/nature/journal/v454/n7200/full/454038a.html




一連の関連論文

末端衝撃波面における低温のヘリオシースプラズマと風上側の太陽風の減速
"Cool heliosheath plasma and deceleration of the upstream solar wind at the termination shock",John D. Richardson, Justin C. Kasper, Chi Wang, John W. Belcher, Alan J. Lazarus, Nature 454, 63-66 (2008)
doi:10.1038/nature07024
http://www.nature.com/nature/journal/v454/n7200/full/nature07024.html


非熱的イオンによる太陽風末端衝撃波面の媒介

"Mediation of the solar wind termination shock by non-thermal ions", R. B. Decker, S. M. Krimigis, E. C. Roelof, M. E. Hill, T. P. Armstrong, G. Gloeckler, D. C. Hamilton, L. J. Lanzerotti, Nature 454, 67-70 (2008)
doi:10.1038/nature07030
http://www.nature.com/nature/journal/v454/n7200/full/nature07030.html


非対称な太陽風末端衝撃波面

"An asymmetric solar wind termination shock", Edward C. Stone, Alan C. Cummings, Frank B. McDonald, Bryant C. Heikkila, Nand Lal, William R. Webber, Nature 454, 71-74 (2008)
doi:10.1038/nature07022
http://www.nature.com/nature/journal/v454/n7200/full/nature07022.html


太陽風末端衝撃波面における磁場

"Magnetic fields at the solar wind termination shock", L. F. Burlaga, N. F. Ness, M. H. Acuña, R. P. Lepping, J. E. P. Connerney, J. D. Richardson, Nature 454, 75-77 (2008)
doi:10.1038/nature07029
http://www.nature.com/nature/journal/v454/n7200/full/nature07029.html


太陽風末端衝撃波面およびその付近での強力なプラズマ波

"Intense plasma waves at and near the solar wind termination shock", D. A. Gurnett, W. S. Kurth, Nature 454, 78-80 (2008)
doi:10.1038/nature07023
http://www.nature.com/nature/journal/v454/n7200/full/nature07023.html




ボイジャーのin situ観測を補う、STEREO衛星A、Bの2機を用いたヘリオシース(太陽系の外縁)内の高エネルギー中性原子の新たな測定結果の論文

中性原子の観測から明らかにされた、衝撃波加速されたピックアップ・イオンが大部分を占めるヘリオシース圧
"Domination of heliosheath pressure by shock-accelerated pickup ions from observations of neutral atoms", Linghua Wang, Robert P. Lin, Davin E. Larson, Janet G. Luhmann, Nature 454, 81-83 (2008)
doi:10.1038/nature07068
http://www.nature.com/nature/journal/v454/n7200/full/nature07068.html