京都市立堀川高校について、堀川高校の校長先生が書かれた新書です。1月末に発売され、京都の書店ではベストセラーになっています。
少し前まで、京都の公立高校(市立、府立とも)では国公立大学にはほとんど合格できなかったのです。
国公立大学に行きたかったら私立高校か、国立の京都教育大付属高校に行くことが常識になっていました。
京都の高校入試には、高校ごとの募集ではなく京都の高校全体で募集が行われ、合格すれば家に近い高校に行くという制度(総合選抜)があります。
高校格差を無くす、受験戦争の激化を防ぐという意味で良い制度ではあるのですが、学力の低下を招きやすいという欠点があります。
(学力伸長コース(II類)、個性伸長コース(III類)では単独選抜が行われています。)
(参考)
http://www.o-shinken.co.jp/koritu/sjkyt.html
http://kyoto.kansai-school.net/selection/synthesis/
堀川高校も例外ではなく、この本の帯によると、2001年には6人しか合格できなかったのに、2005年には180人になったとのことです。(ちなみに今年(2007年)の国公立大全体の成果はわかりませんが、京大だけで42人らしいです。)
(堀川高校には1996年まで音楽科があり、普通科より音楽科の方が有名でした(たぶん)。音楽科は1997年に京都市立音楽高校として独立。)
変革のきっかけとなったのが、1999年に探究科という専門学科(個性伸長コース(III類))が出来、京都全体から生徒を集められるようになったことでした。
この本には、その変革がどのように行われたのか、今の堀川高校ではどのようなことが行われているのかを中心にいろいろな教育問題(ゆとり教育、履修漏れ、いじめ、教育基本法改正など)を含めて書かれていて、興味深く読めました。
堀川みたいに偏差値では測れない「見えない力」を育てるのが「ゆとり」であって、「ゆとり=勉強しなくていい」というのは誤解であると書かれていて、なるほどでした。
京都全体から生徒を集められるというだけで、学校が変わるわけではありません。
すごい苦労と努力が必要だったこと、その努力が今も続けられていることがわかります。
「奇跡」なんかじゃないんです。
国公立大学への合格者を増やすだけなら、そんなに難しくないかもしれません。
堀川高校のすごさは「探究基礎」という科目にあることがわかります。
高校生が大学生顔負けのテーマを自分で決めて、自分で研究を進めていくなんて、教師がそういう方向に高校生を導くなんて、易々とできるものではありません。
すごいです。
堀川高校の卒業生には敵わない気がします。
- 荒瀬 克己
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