『青天を衝け』第30回―五代家について | 歴史愛~歴史を学び、実生活を豊かにする~

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「温故知新」とは言いますが、世の中を見渡すと表面的な教訓ばかりでイマイチ実生活に活かすことのできない解説ばかりです。歴史的な出来事を、具体的な行動に置き換えて実生活をより豊かにし、願望を実現する手助けになるように翻訳していきます。


※こちらの記事は、令和3年10月22日に書かれたものです。

皆さんこんばんは。
今回は令和3年の大河ドラマ『青天を衝け』第30回に関しての楽しむためのヒントを解説したいと思います。

大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。

【『青天を衝け』の楽しむヒント】
・第1回―渋沢家について・第2回―身分秩序について
・第3回―平岡家について・第4回―阿部家について
・第5回―藤田家について・第6回―美賀君の血筋
・第7回―井伊家について・第8回―岩瀬忠震の出自
・第9回―安政頃の西郷吉之助・第10回―安藤信正について
・第11回―高崎城について・第12回―一橋徳川家について
・第13回―越前松平家について・第14回―島津家について
・第15回―三島家について・第16回―池田屋事件について
・第17回―武田耕雲斎について・第18回―天狗党の乱について
・第19回―小栗家について・第20回―土方家について
・第21回―杉浦愛蔵について・第22回―保科俊太郎について
・第23回―栗本鋤雲について ・第24回―証券とは何か
・第25回―貨幣経済とは?・第26回―高松凌雲について
・第27回―「藩」はどうなったのか?・第28回―大隈重信について
・第29回―伊藤博文について





第30回のあらすじ


明治4年(1871年)、渋沢栄一美雄(吉沢亮)は大阪にいた。

栄一は、そこで新たに鋳造(ちゅうぞう)した貨幣「一円」の出来具合を診ていたのである。

その夜、三井(みつい)が主催する接待の場には「五代(ごだい)」なる男がいた。

それは、栄一がかつて「篤太夫」と名乗り、民部公子(みんぶこうし)・徳川民部大輔昭武(板垣李光人)の供としてフランス・パリにいた時、幕府(ばくふ)がフランスから受けるはずだった借款(しゃっかん)をつぶした男「五代」であった。

栄一は、恨みのある五代才助友厚(ディーン・フジオカ)に食って掛かるが、友厚は夢を語った。

大商人や政府だけでお金が回るのではなく、民を豊かにしなければならないと。

友厚にパリでの恨みをぶつけた栄一だが、段々と彼の夢に惹かれていく。

栄一が東京(とうきょう)に戻ると、新政府では大久保一蔵利通(石丸幹二)や岩倉具視(山内圭哉)ら首脳が廃藩置県(はいはんちけん)について話し合い、もめていた。

大久保らに東京に呼び戻された西郷吉之助隆盛(博多華丸)は、埒(らち)の開かない会議に呆れ、席を立った。

西郷は「まだ戦が足りん」という。

まるで「小田原評定(おだわら ひょうじょう)」さながらの首脳の会議に呆れる栄一と杉浦愛蔵譲(志尊淳)は、新しく上司となった井上聞多馨(福士誠治)に呼び出される。

井上は、戦をしてでも廃藩置県を断行するという。

それに対して栄一は、「戦をしてはならない」という。

そのために栄一は改正掛(かいせいがかり)を鼓舞(こぶ)し、たった4日間で全藩の藩札(はんさつ)の価値や物価、借金の多寡(たか)を調べ上げ、一切の血を流さずに「廃藩置県」を実施させることに成功した。

大手柄を立てた栄一だが、突然やってきた大久保に政府の予算についての意見を求められ、率直な意見を述べた。

しかし、それについて「逆らった」と言いがかりをつけられ改正掛を解散させられてしまう。

失意と疲労困憊(ひろうこんぱい)で自邸に戻った栄一だったが、「父危篤」の知らせを受け、故郷・血洗島(ちあらいじま)に急行した。

ということで、




第30回「渋沢栄一の父」の感想


今回も泣きそうになりました。

が、それは後で書くとして、またしても栄一は幕府が倒されたことについて思いの丈をぶつけることができてスカッとしましたw

相手はもちろん五代才助友厚。

パリ万博(ばんぱく)の際の五代才助の暗躍を描いた回についての記事を読みたい方は、下記リンクをタップしてください:
『青天を衝け』第19回―小栗家について

しかし、今回は五代の方が一段上で「そんなことはどうでもいい」と言わんばかりのキラキラした対応でしたね。

あのまま幕府があっても民が潤うことはできなかった。

今の新政府もだめだ。

幕府とか新政府とか関係なく、自分は民が潤う社会を作りたい。

そんな感じでしたね。

パリでは僕も「五代憎し」という気持ちでしたが、今回本人の話を聞くことができて、彼には彼なりの志があることがわかりました。

人って得てしてそんなもんです。

端から見ていると部分的な情報しかなく、また、一面しか見えないことで「憎し」と思える人物でも、その人のことをよく知り、志や背景事情を知ると魅力的に思えるものです。

ですから、逆に部分的な情報で他人のことを評価しがちな人は、意見をコロコロ変えがちなので気を付けた方がいいということですw

他人を評価することに慎重な人の方が信用できます。


そしてついに出ました。不倫ですw

渋沢栄一のことをいろいろと調べていると女好きであったことがわかるので、今までのドラマでの栄一が清廉潔白(せいれんけっぱく)過ぎて逆に不自然だったんですよw

そこへきて突然の不倫の描写ですから、清廉潔白な栄一を信じていた人はショックを受けたのではないかと思います。

不思議なことに、人は「不倫しそうな人」が不倫しても「あ、そう」で済ませたりしますが、一見「不倫しなそうな人」が不倫すると猛烈に批判するんですね。

いい加減なもんです。

ただ、不倫された千代(ちよ)(橋本愛)さんはかわいそうですし、不倫相手の方も実らない色恋に巻き込まれるわけですから、やはりあんまりよくないとは思います。

※あと、この頃はおそらく現代のような「一夫一婦制(いっぷいっぷせい)」が定着していたわけではなく、江戸(えど)時代の妾(めかけ)の習慣が色濃く残っていた時期だと思いますので、今より多くの人が大っぴらに「妾」を作っていたものと思われます。

そして、大久保卿の言いがかりはひどかったですね。

自分で意見を言わせたくせに、それをつらまえてイチャモンをつけて改正掛を解散させるとは…

ただ、twitterでもつぶやいた通り、上の人間からすると自分の知らない所で改革をされるのは恐怖そのものなんです。

責任者なのに責任が取れない状況に陥りますから。

とは言いつつも、「大久保憎し!」と思ってしまう軽々しい筆者でしたw


大久保利通関連の記事:
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最後は父、市郎右衛門(小林薫)の死。

泣きそうになりました。

いいお父さんでしたね。

息子にも娘にも「教育が大事」と論語(ろんご)の教育を授け、自身は村民のため、上州(じょうしゅう)や信州(しんしゅう)の藍葉(あいば)農家のため、努力を重ね、「中の家(なかんち)」に一財を築いた人です。

そして、「尊王攘夷(そんのうじょうい)」とか訳の分からないことを言って過激なことを企むだけでなく、家の売り上げを横領した息子を快く許し、老齢になっても仕事の最前線に立っていた父。

その後幕臣(ばくしん)となり、官吏(かんり)となった息子を「誇り」だという。

渋沢栄一の功績は素晴らしいものですが、父親の市郎右衛門さんが立派な方であったことも大きかったのでしょうね。
※ただし、自分ができないことを親のせいにしてはいけません。自分の人生の主導権は自分で握りましょうw




第30回のヒント―五代家について―


今回は、俳優のディーン・フジオカ氏の魅力もあってか、これまでの渋沢ファンの「五代憎し」の評判を一気に「五代ラブ」に変えた五代友厚について、家系(かけい)を中心に調べてみたいと思います。

「五代」という名字は非常に珍しい名字なのですが、実はとても由緒(ゆいしょ)の正しい家柄なんです。

大元は、秦(はた)氏の末裔(まつえい)である惟宗(これむね)氏。

わかる人はこれでピンと来たと思うのですが、薩摩(さつま)で惟宗氏と言えば、なんといっても藩主(はんしゅ)の島津(しまづ)です。


島津家関連の記事:
『青天を衝け』第14回―島津家について

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五代家は島津家とは同じ惟宗氏で同族ではあるのですが、少し前に分かれた家系なんです。

島津家の祖は島津三郎惟宗忠久ですが、五代家はその大叔父に当たる惟宗忠親の末裔に当たります。

忠親の子孫である惟宗康友は、薩摩の新田宮八幡(にったのみやはちまん)の執印職(しゅういん しき)を務め「執印」の名字を名乗ります。
※「鹿児島(かごしま)」の名字も名乗っています。

康友は五大院(ごだいいん)の院主職(いんじゅ しき)も務め、子・康忠が院主職を継ぎます。

この康忠が「五大院〔五代院〕」から「五代」を取り、五代家の祖となります。

その後の五代家の足跡は全く分からないのですが、戦国(せんごく)時代になって歴史に再登場します。

島津惟新義弘の家老(かろう)五代右京亮友喜なる人物がいます。

右京亮は元亀(げんき)2年(1571年)の木崎原(きさきばる)の戦いに従軍し、天正(てんしょう)18年(1590年)の小田原征伐(おだわら せいばつ)にも出陣。

関連記事:
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慶長(けいちょう)5年(1600年)の関ヶ原(せきがはら)の戦いの時には留守居(るすい)として薩摩にいて、加藤主計頭清正の動きを警戒していたと言います。

その子・五代勝左衛門友泰も小田原征伐に従軍後、天正20年(1592年)に勃発した文禄(ぶんろく)・慶長の役にも従い、二度朝鮮に渡っています。

ドラマで活躍した五代才助友厚はその子孫とされているので、島津家臣の中でも相当由緒の正しい家柄なんですね。

で、肝心の友厚自身の経歴ですが、五代家の由来に文字数を割きすぎたのでまたの機会に譲りたいと思いますw

こんな感じで、ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

以下もご覧ください!

※トップ画像はイメージです。

○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・渋沢 栄一〔篤太夫、栄二郎、栄一郎〕 源 美雄
しぶさわ えいいち〔とくだゆう、えいじろう、えいいちろう〕 みなもと の よしお
・(清水、水戸)徳川〔松平〕 侍従兼民部大輔〔幼名は余八麿〕 源 朝臣 昭武〔昭徳〕
(しみず、みと)とくがわ〔まつだいら〕 じじゅうけんみんぶのたゆう〔幼名はよはちまろ〕 みなもと の あそん あきたけ〔あきのり〕
・五代 才助 惟宗 友厚
ごだい さいすけ これむね の ともあつ
・大久保 一蔵〔正助〕 藤原 利通〔利済〕
おおくぼ いちぞう〔しょうすけ〕 ふじわら の としみち〔としずみ〕
・岩倉 (官職・通称不明) 源 朝臣 具視
いわくら (官職・通称不明) みなもと の あそん ともみ
・西郷 吉之助〔善兵衛、吉兵衛〕 藤原 隆永〔隆盛〕
さいごう きちのすけ〔ぜんべえ、きちべえ〕 ふじわら の たかなが〔たかもり〕
・杉浦 愛蔵 平? 譲
すぎうら あいぞう たいら? の ゆずる
・井上〔志道〕 聞多〔文之輔〕 源〔大江〕 惟精〔馨〕
いのうえ〔しじ〕 ぶんた〔ぶんのすけ〕 みなもと〔おおえ〕 の これきよ〔かおる〕
・渋沢 市郎右衛門〔元助〕 源 美雅
しぶさわ いちろううえもん〔もとすけ?〕 みなもと の よしまさ
・島津 豊後守〔通称は三郎〕 惟宗〔源〕 朝臣 忠久
しまづ ぶんごのかみ〔通称はさぶろう〕 これむね〔みなもと〕 の あそん ただひさ
・(名字不明) (通称・官職不明) 惟宗 忠親
(名字不明) (通称・官職不明) これむね の ただちか
・執印〔鹿児島〕 (通称・官職不明) 惟宗 康友
しゅういん〔かごしま〕 (通称・官職不明) これむね の やすとも
・五代 (通称・官職不明) 惟宗 康忠
ごだい (通称・官職不明) これむね の やすただ
・島津 参議〔通称は又四郎〕 惟宗〔源〕 朝臣 義弘〔惟新斎〕
しまづ さんぎ〔通称はまたしろう〕 これむね〔みなもと の あそん よしひろ〔いしんさい〕
・五代 右京亮〔通称は勝左衛門〕 惟宗 朝臣 友喜〔友慶〕
ごだい うきょうのすけ〔通称はしょうざえもん〕 これむね の あそん ともよし〔ともよし〕
・加藤 主計頭〔肥後守。通称は虎之助、虎之介〕 藤原 朝臣 清正
かとう かずえのかみ〔ひごのかみ。通称はとらのすけ、とらのすけ〕 ふじわら の あそん きよまさ
・五代 勝左衛門 惟宗 友泰
ごだい しょうざえもん これむね の ともやす
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

参考
2次元なんやかんや
ぴえーるのテレビブログ

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