※こちらの記事は、平成30年11月7日に書かれたものです。
皆さんこんばんは。
今回は新シリーズということで、「記事『大航海(だいこうかい)時代に日本が侵略されなかった理由wwwww』について」の派生として「合戦の戦術について」調べてみようと思います。
今回も『歴史と旅』増刊「日本合戦総覧(昭和63年1/10臨時増刊、秋田書店)」の坂本徳一氏の記事を参考にしています。
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。
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というわけで、
今回は「勝弦峠(かっつるとうげ)の合戦」についてです。
「塩尻峠(しおじりとうげ)の戦い」とも言うのですが、その名の通り塩尻峠、つまり長野県塩尻市・岡谷(おかや)市のあたりで行われた戦いです。
時は天文(てんぶん)17年(1548年)7月。
同年の2月に上田原(うえだはら)の合戦で村上義清に大敗し負傷した武田晴信(信玄)は療養のため甲斐に撤退しました。
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その後しばらく沈黙を保っていたため「武田に再起の力なし」と断じた村上義清は佐久(さく)に侵攻し、信濃守護(しなの・しゅご)小笠原長時は諏訪(すわ)に侵攻しました。
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小笠原(おがさわら)軍が信濃勝弦峠に集結するという情報をつかんだ晴信は、騎馬訓練を装ってのろのろと甲斐大井ヶ森(かい・おおいがもり)(北杜市長坂町(ほくとし ながさかちょう))に3,000騎を集め、その後一気に甲信(こうしん)国境を越えて上原(うえはら)城に入城し、夜明けとともに勝弦峠の小笠原軍5,000を急襲し、大勝利を収めました。
晴信がどこまで考えて行動していたかはわかりませんが、上田原の戦い後にしばらく沈黙していたことで「負け」の流れを断ち切り、さらに小笠原長時を油断させたのだとしたら、相当の「負け上手」といえそうです。
上田原の戦いは晴信にとっての初めての敗戦なのでそこから学び取ることは多かったのだと思いますが、そのショックから学び、なおかつ(そこまで考えていたのかはわかりませんが)次の勝利への布石としたのはすごい器だと思います。
さらに、小笠原軍の行動を把握していた情報力(間者(かんじゃ)の活躍ではありますが)と決戦のときまで騎馬訓練を装ったり、のろのろと行動したりして長時を油断させるという作戦は、上記坂本氏も言っておられますが、まさに「風林火山(ふうりんかざん)」を体現したものですね。
そして、作戦というものは立案の段階では冷静に組み上げることができますが、いざ実行の段階となると細かい齟齬(そご)が出てきてしまったり、入り込みすぎてアツくなってしまってうまく実行できないことが多いですが、それを冷静に遂行していった力量と家臣(かしん)の統率力もすばらしい。
あとは、小笠原軍が寄せ集めの軍隊であったことと、内応(ないおう)者が現れたという説もあるのでそれも手伝ってはいるのかもしれませんが、そもそも「負け」の流れの中で内応者を作るのに、どんな説得を行ったかにも興味がありますね。
勝てない陣営には内応しませんからね。
内応者に、武田(たけだ)家が勝ち、なおかつ武田家に味方した方が得だと思わせたのですから、調略(ちょうりゃく)を行った人の力量もすばらしいですね。
というわけで、戦術の分析というか、武田晴信を褒めちぎって終わってしまいましたが、勝因としては
・相手の心理をたくみに突き、油断させたこと
・相手の行動をいち早く掴み取った情報力
・冷静に作戦を遂行した実行力
・内応者を納得させる説得力
ということになるでしょうか。
とまぁ、こんな感じで戦術分析をしばらく続けてみようと思います!
ぜひ読んでください!
※写真はイメージです。
今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・村上 左近衛少将〔通称不明〕 源 朝臣 義清
むらかみ さこんえのしょうしょう〔通称不明〕 みなもと の あそん よしきよ
・武田 大膳大夫〔通称は太郎〕 源 朝臣 晴信〔信玄〕
たけだ だいぜんのだいぶ〔通称はたろう〕 みなもと の あそん はるのぶ〔しんげん〕
・小笠原 信濃守〔大膳大夫。通称は又二郎〕 源 朝臣 長時
おがさわら しなののかみ〔だいぜんのだいぶ。通称はまたじろう〕 みなもと の あそん ながとき
参考
信州の峠を歩く
長野県の歴史を探し求めて
城・陶芸・ハイキング・ダイビング・スキー・旅行
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