『麒麟がくる』第25回―朝倉氏の系譜 | 歴史愛~歴史を学び、実生活を豊かにする~

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「温故知新」とは言いますが、世の中を見渡すと表面的な教訓ばかりでイマイチ実生活に活かすことのできない解説ばかりです。歴史的な出来事を、具体的な行動に置き換えて実生活をより豊かにし、願望を実現する手助けになるように翻訳していきます。


※こちらの記事は、令和2年10月23日に書かれたものです。

皆さんこんばんは。
今回は令和2年の大河ドラマ『麒麟がくる』第25回に関しての楽しみ方を解説したいと思います。

大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。

【『麒麟がくる』の楽しみ方】
・第1~2回―当時の三傑と明智家/リアルな戦の描写・第3~4回―美濃の情勢/織田家の状況
・第5~6回―当時の京都の情勢・第7~8回―尾張国内の政治情勢/当時の三河情勢
・第9~10回―土岐一族とは/織田家の血縁関係・第11~12回―なぜ朽木谷か?/信長家臣団の萌芽
・第13~14回―戦国最強の傭兵団/村木砦の戦い・第15~16回―織田一族の関係性/新九郎高政の重臣たち
・第17~18回―斎藤家の血族関係/永禄元年までの織田家・第19~20回―足利将軍家の動き/桶狭間の戦い
・第21回―松平蔵人の親族
・『麒麟がくるまでお待ちください』第2~3回―斎藤道三二代説/前田利家の生涯
・『麒麟がくるまでお待ちください』第4回―羽柴藤吉郎の名称
・総集編第1回・第22回―三好氏の血縁関係
・第23回―三好氏の血縁関係(2)・第24回―剣豪の系譜


まずはあらすじ。



第25回のあらすじ


近江・矢島(おうみ・やじま)にて還俗(げんぞく)した僧・覚慶(滝藤賢一)は足利左馬頭義昭と名乗る。
しかし、矢島を領していた六角(ろっかく)家が三好(みよし)家に同調する動きを見せたため、義昭を擁する細川兵部大輔藤孝(眞島秀和)一行は、明智十兵衛光秀(長谷川博己)の手引きで越前・敦賀(えちぜん・つるが)へ移る。

しかし、越前を領する朝倉左衛門督義景(ユースケ・サンタマリア)はあいまいな態度を続け、上洛(じょうらく)する気配を見せぬまま月日が経った。

永禄(えいろく)10年(1567年)、尾張(おわり)織田上総介改め尾張守信長はついに美濃(みの)・斎藤治部大輔龍興を打倒し、美濃一国を手に入れ稲葉山(いなばやま)城へと拠点を移した。

その知らせを受けた十兵衛は、母・牧(まき)(石川さゆり)を連れて故郷である美濃・明智荘(あけちのしょう)を訪れた。

その帰途、稲葉山城の織田信長を訪問した十兵衛は、信長に仕えないかとの誘いを受ける。
やんわりと断った十兵衛は、信長に義昭の上洛を手伝うよう依頼する。
快く引き受け、やる気に満ち溢れる信長であった。

越前に帰った十兵衛は、義昭の訪問を受ける。
義昭は、庭で羽を運ぶ蟻を見て、「皆の力を借りれば大きなことができる」ということを悟り、将軍職(しょうぐんしょく〔本来は「しょくぐんしき」〕)就任への意欲を見せた。

ということで、




第25回「羽運ぶ蟻」の感想


僧・覚慶として奈良(なら)の貧しい民に施しをしていた頃の義昭(※)は、「もしかしたらこの人、器の大きな人なのかも」という匂いがしなくもなかったのですが、前回から今回にかけては将軍職の重圧に苦悶する様子が描かれました。
※この頃の諱(いみな)は本当は「義秋」です。


足利家に興味のある方は、下記リンクをタップしてください:
『麒麟がくる』第36回―足利家について(1)

関連記事:
『麒麟がくる』第37回―足利家について(2)

足利義昭の暗躍:
『麒麟がくる』第43回―波多野家について


このことで十兵衛は「この人には将軍は無理かも」と思ったという描き方をされていますが、これが逆に新鮮でしたね。

今までの創作では義昭が将軍になるまでの過程を描いたものは少なく、あったとしても、初めから次期将軍候補としてエラそうな態度をとっている感じで、「無能将軍」の名をほしいままにしていました。

今回の「苦悩する義昭」という描き方は、のちに将軍職に就いたものの信長との方針の違いに苦悩し、ついには対立の道を歩んでいくという流れになるのではないかな、という予感を感じさせました。

よかったと思います。

それ以外には、十兵衛の母・牧が退場したっぽいことで「丹波(たんば)攻めの母御前(ははごぜ)処刑のエピソードは?」とか、信長の「戦は嫌いではない」発言とか、書きたいことはあるのですが、他の方が書いている感想と大体同じなので割愛します 笑

関連記事:
『麒麟がくるまでお待ちください』第4回―羽柴藤吉郎の名称

あと、ドラマ中では「足利義栄が左馬頭に任官した」と、まるで義昭が義栄に先を超されたような描かれ方をされていましたが、実は

・足利義栄の「左馬頭」任官―永禄9年12月
・足利義昭の「左馬頭」任官―永禄9年4月

ということで、義昭の方が先に左馬頭に任官しております 笑





第25回の楽しみ方―朝倉氏の系譜―


今回は、twitterにて「朝倉(あさくら)氏名門論争」として紛糾した朝倉氏の系譜について説明したいと思います。


朝倉氏はさかのぼると、第9代開化天皇にまでさかのぼります。
※孝徳天皇の末裔(まつえい)という説もあり。

詳しい事情は不明ですが、開化天皇の末裔である日下部(くさかべ)氏は但馬(たじま)で栄え、その一族である日下部宗高が朝倉の名字を名乗ったのが始まりと言われます。

↓越前朝倉家略系図※タップで拡大されます。

※系図作成時に『麒麟がくる』に登場している人物を青文字で示しています。

朝倉家は源平(げんぺい)時代には平家(へいけ)方〔伊勢平氏(いせへいし)方〕につき領地を没収されますが、白猪を射た功で領地を取り戻します。


源平期の関連記事:
鶴岡八幡宮を味わう(3)―源平池とゆかりの人物

同関連記事:
鶴岡八幡宮を味わう(2)―大銀杏と本宮


その後承久(じょうきゅう)の乱で衰退したあと、南北朝(なんぼくちょう)時代に朝倉孫右衛門尉広景が斯波(しば)氏に仕え、その子・弾正左衛門尉高景が越前に所領を得て越前朝倉氏が始まりました。

弾正左衛門尉高景は斯波氏への離反と帰参を経て越前で大きな勢力をもつようになり(※1)、応仁(おうにん)の乱後、その子孫である弾正左衛門尉(英林)孝景(※2)が斯波氏に代わって越前守護(しゅご)に任じられ、朝倉家は代々越前守護に任命されるようになりました。
※1 この頃、朝倉家と並んで守護代(しゅごだい)に任じられた織田家は織田尾張守信長の祖先です。
※2 歴史の教科書にも載っている『朝倉孝景(敏景)条々』で有名です。


その英林孝景の末裔が、今大河ドラマで活躍する朝倉左衛門督義景なのですが、この系譜を見ると「名門」と自称するのはわかる気がしますよね。


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こんな風に、ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!

というわけでまだまだ説明したいことはたくさんありますが、今回は以上です!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

以下もご覧ください!

※トップ画像はイメージです。

○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・足利 左馬頭〔通称不明〕 源 朝臣 義秋〔義昭、一乗院覚慶〕
あしかが さまのかみ〔通称不明〕 みなもと の あそん よしあき〔よしあき、いちじょういんかくけい〕
・細川 兵部大輔〔通称は与一郎〕 源 朝臣 藤孝
ほそかわ ひょうぶのたゆう〔通称はよいちろう〕 みなもと の あそん ふじたか
・明智 十兵衛 源 光秀
あけち じゅうべえ みなもと の みつひで
・朝倉 左衛門督〔通称は孫次郎〕 日下部 朝臣 義景
あさくら さえもんのかみ〔通称はまごじろう〕 くさかべ の あそん よしかげ
・織田 尾張守〔通称は三郎〕 平〔藤原、忌部〕 朝臣 信長
おだ おわりのかみ〔通称はさぶろう〕 たいら〔ふじわら、いんべ〕 の あそん のぶなが
・斎藤〔一色〕 治部大輔〔通称は喜太郎〕 藤原〔源〕 朝臣 龍興
さいとう〔いっしき〕 じぶのたゆう〔通称はきたろう〕 ふじわら〔みなもと〕 の あそん たつおき
・足利 左馬頭〔通称不明〕 源 朝臣 義栄〔義親、義勝〕
あしかが さまのかみ〔通称不明〕 みなもと の あそん よしひで〔よしちか、よしかつ〕
・朝倉 (通称・官職不明) 日下部 宗高
あさくら (通称・官職不明) くさかべ の むねたか
・朝倉 美作守〔通称は孫右衛門尉〕 日下部 朝臣 広景
あさくら みまさかのかみ〔通称はまごうえもんのじょう〕 くさかべ の あそん ひろかげ
・朝倉 下野守〔遠江守。通称は弾正左衛門尉〕 日下部 朝臣 高景
あさくら しもつけのかみ〔とおとうみのかみ。通称はだんじょうさえもんのじょう〕 くさかべ の あそん たかかげ
・朝倉 弾正左衛門尉 日下部 孝景〔敏景、教景。法名英林〕
あさくら だんじょうさえもんのじょう くさかべ の たかかげ〔としかげ、のりかげ。法名えいりん〕
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

参考
地図から見る大河ドラマ
大和&伊勢志摩散歩
韓ドラ大好きおばさんの「言いたい放題いわせてヨ!」

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